巨大風船が 第977話・9.28
「なにやっているの?」家の裏山の上にある小さな祠の前で、女の子が風船を片手に何かを探しているようなしぐさをしている。彼女は兄の娘、つまり姪であった。
「あ、うん、空飛べるかなって」「空?」今は時間があった。だから子供の空想話に付き合うことにする。
「お空に飛びたいけど、鳥さんのように羽をもっていない」姪はそう言って空を見た。
「そうだね、鳥さんは空を飛べるね」姪の話は、小さな子供ならごく普通に思うような疑問。そういえば「自分にもこんな頃があったなあ」と、ふと思い出す。
だ