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千鳥ヶ淵の桜並木と my sweet home

夜のニュースで あちこちの桜の景色を見ながら、
りこちゃんと こざる達は、いつものように 夕食を皆で食べています。

「あ、千鳥ヶ淵の桜だ!」
「わぁ、綺麗だねー。」
りこちゃんも、こざる達も、歓声を上げています。

お花見が大好きな りこちゃんと こざる達は、
毎年、千鳥ヶ淵の桜も観に出かけていました。
今は、80を過ぎた りこちゃんに、遠出は負担となるので、
こうしてテレビであちこちの桜を観ています。

「ここの桜並木は、本当に綺麗だねー。」
「お堀になっているのも 解放感があって、いいんだよね。」

りこちゃんと こざる達は、
千鳥ヶ淵にお花見に行った時のことを思い出しています。

「いつも 桜並木の途中で、ちょっと抜けて、
一休みさせてもらってたよね。」
「そう、毎年、行ったよね。」

こざる達が話しているのは、千鳥ヶ淵戦没者墓苑です。
桜並木に沿うようにあります。

りこちゃんの親族が、ここに眠っているわけではありません。
が、小さい女の子だった時に戦争を体験した りこちゃんは、
「ちょっと一休みさせてもいましょう。」と言って、
毎年、お参りしていました。

中は、静かで とても気持ちのいい公園のような空間で、
休憩所もあります。
そこで、一時、ちょっと座って 休憩します。

千鳥ヶ淵の桜並木は、とても有名で 多くの人が訪れて大混雑なのですが、
ここに入ると、外の喧噪が嘘のように とても静かで、
穏やかな空気が流れています。

「うまく言えないけど、なんかね、とても穏やかで 優しい空間で、
落ち着いていたよね。」
「そうだったよね。そこそこ人はいるけれど、皆、静かで、
きっと同じように感じていたんじゃないかな。」

こざるちゃんも、思い出していました。
どこまでも高く青く広がっている空を 思い出していました。

「帰りたくても、帰れなかった人たちが、あそこに眠っているんだよね。」
「うん。」

りこちゃんと こざる達は、こうして、ちょっと一休みして、
また大勢の人たちで賑わう桜並木へと戻って、お花見をしていました。

テレビの映像は、今度は京都の桜に切り替わりました。
皆、夕食を食べ終わったようです。
「じゃあ、ちょっとお茶淹れて来るね。」
「お願いしまーす。」
こざるちゃんが立ち上がって、台所に向かいます。

今日も こざるカフェでは、ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
よい毎日でありますように (^_^)

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