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フクロウで苦労知らず、福来る

 もうすぐクリスマスです。
こざる達は、クリスマスの食器を探しています。
毎年、クリスマスが終わると すぐ大晦日、お正月がやって来て、
新しい年を迎える準備で慌ただしくしていると、
ここにしまったはずと思っていても、
いざ開けてみると入っていなかったりするのです。

 そして今年も、ここにしまったと思っていたところを
開けてみたのですが、クリスマスの食器は ありません。

「もしかしたら、お正月のお皿と一緒に入っているのかなぁ?」
「じゃあ見てみようよ。」
「うん、そうしよう。」

 こざる達は、また別の戸棚を開けてみます。
「よいしょ。」
手前の箱を出して開けて、包み紙を開けます。

「あれ? これは?」
「あったの?」
「なんか ちがうのが出てきたよ。」

 別の箱を開けていた こざるちゃんも やって来ます。

「あ! それ、前に りこちゃんの部屋にあったんじゃない?」
こざる達が見つけたのは、フクロウの小さな置物です。

りこちゃんは、人間のおばあさん。
ここで、こざる達と暮しています。

「そうだよ、りこちゃんの本棚のところにあったよ。」
どうやら、紛れ込んでしまってしまったようです。

「重いねぇ、石でできているんだね。」
「手作り、イタリア製って書いてあるよ。」
少しはがれかかっている金色のシールに そう書いてあります。

「イタリアで、職人さんが作ったんだね。」
「あれ、こっちにもあるよ。」
もうひとつ もっと小さなフクロウが顔を出します。

「わぁ、親子のフクロウだね。」
こざる達は、クリスマスの食器を探しているのも忘れて、
じーっと見ています。

「フクロウは、不苦労とか 福来郎と言われて、縁起がいいんだよ。」
本を読むのが大好きなこざるが言います。
「そうなんだ。縁起がいいんだね。これからお正月も来るから、
ちょうどいいね。」
「うん、そうだね。ちょうど良かったね。」
「じゃあ、りこちゃんの部屋に戻そうよ。縁起物だからね。」

 りこちゃんは、このフクロウ親子が どうやってイタリアから
やって来たのか、覚えていないでしょう。
りこちゃんがイタリアへ旅行に行った時に買ったのか、
りこちゃんの友達のお土産なのか、
それとも日本で見つけたのかもしれません。

 こざる達は、遠いイタリアで 職人さんが石を彫って色を付けて
一所懸命作ったフクロウ親子が、縁あって、
ここまで やって来たことに思いを馳せます。
 そしてクリスマスの食器を探すのをすっかり忘れて、
フクロウ親子を りこちゃんの部屋に持って行きます。

 慌ただしい師走の中、
こざるカフェは、いつもと同じように のんびりしています。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
縁起物は、古今東西いろんなものがあって、
見ていると心が休まります。気の持ちようは大事です。
よい毎日でありますように (^_^)


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