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遠く離れても 大好きな ごごらじ

 りこちゃんは、夜、寝るとき以外は、ラジオをつけています。
ラジオ以外で、音楽をかけたり、テレビを見たりすることもありますが、
基本的には ラジオをずっとつけています。

 りこちゃんは、おばあさんなので、
ウトウトしたり 昼寝をしたり、そういうことも もちろんありますが、
賑やかなのが好きなので、シーンとしているのではなく、
こうして ラジオの音や、生活の音が聴こえるようにと
こざる達も そうするようにしています。

「だって、りこちゃんは、おばあさんだけれど、病人じゃないからね。」
こざるちゃんは 言います。

 それに りこちゃんは若い頃からいつもラジオをつけて、
小さな台所に立って、聴こえてくる歌を一緒に歌いながら
料理をしていました。
りこちゃんは、ラジオが大好きなのです。

 昨日の午後も、いつものように りこちゃんはラジオを聞きながら、
こざるちゃんと一緒に おやつを食べていました。

 いつも聞いているNHKの「ごごらじ」は、
りこちゃんも、こざる達も大好きな番組です。
「歌も、いろんな種類の歌が、たくさんかかるし、
司会の二人が とっても楽しいんだ。」
こざるちゃんは言います。

 りこちゃんは、番組のすべてを ちゃんと把握したり、
それを覚えていることはできませんが、
その時、その時を 楽しんで聞いていて、よく笑っています。

 司会の二人の声も とても楽しく明るく、そして優しくて、
りこちゃんも「そうねー」「それがいいねー」などと言ったり、
うんうんと 頷いて 聴いていることもあります。

 ラジオから聴こえてくる声は、テレビと違って視覚がなく、
声に より表情が感じられます。
りこちゃんは 二人の声を聴いて、それを感じていて、
きっと とても心地いいのでしょう。

 ところが、昨日、その二人、
神門アナウンサーと、石垣キャスターが、
3月いっぱいで番組から異動することになったという知らせが
ラジオから聴こえてきたのです。

「えっ?」
こざるちゃんは、びっくりしました。
ラジオの前まで行って、じーっとラジオを見ながら聴きました。

りこちゃんは、こざるちゃんを見ています。

「りこちゃん、司会の二人が ごごらじをやるのは 来月までで、
4月からは この番組には出ないんだって。」
こざるちゃんは、静かに言います。
「あらー、それは寂しいねー。」
りこちゃんも、状況がわかったようで、悲しそうな顔になります。

 こうして、毎日、ラジオを聴いていると、
二人は知らない人なのに、なんだか昔から知っている人のような
そんな感じになります。
だからこそ、異動と聞いて、寂しく感じるのですよね。

「でもね、まだ あと一ヶ月くらいは、こうして二人の声を聞けるよ。」
「うん、そうだね。」
二人は、ニコニコします。

春は異動の季節なのですよね。

 番組が終わって、こざるちゃんは、ちょっとラジオを消して、
今度は、CDをかけてみます。

「なんだかね、この歌が聞きたいんだ。」

「遠く 遠く 離れていても 僕のことがわかるように」
槇原敬之の『遠く遠く』です。
こざるちゃんも 一緒に歌います。
りこちゃんは、その様子をニコニコ見ています。

こざるカフェは、今日もゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
また別の番組で、お二人の声が聞けると嬉しいです。
よい毎日でありますように (^_^)

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