マガジンのカバー画像

マンホール探訪記

51
ときには立ち止まり、足元を見つめる。
運営しているクリエイター

#旅行

北海道札幌市のマンホール

北海道札幌市のマンホール

 日本の大都市は、そのほとんどが城下町から成り立っている。
 しかし、札幌の場合は違っていて、明治初年の都市建設のときに、都市とはこうあるべきだという概念の上に出来あがった。
 街並みは、秩序だっている。東京のように雑然とはしていない。
 もちろん、ウィスキーの箱のような味気ないビルがたくさん建っているし、目障りな看板や電光掲示板もある。
 それでも、秩序だった街区を歩くのは、気分がいい。

 北

もっとみる
三重県四日市市のマンホール

三重県四日市市のマンホール

 中京工業地帯の代表的工業都市である四日市市は、三重県下で最大の人口を擁し、悪名高い公害、四日市ぜんそくでも有名だ。
 現在では、科学技術の向上や法整備などの対策が進み、工業地帯周辺の大気もおおむね良好となっている。
 四日市というおもしろい地名の由来は、毎月、四日に市場が開かれていたからであり、滋賀の八日市や広島の五日市、千葉の八日市場も由来は同じである。

 三重県四日市市のマンホールには、四

もっとみる
三重県伊勢市のマンホール

三重県伊勢市のマンホール

 抜群の知名度を誇る赤福は、どこでも食べることができるが、本物の伊勢うどんとなると、やはり伊勢まで行かなければ食べられないであろう。
 伊勢うどんは、独特の太い麺とコシのやわらかさが特徴で、讃岐うどんとは違って、頼むとすぐに出てくる。だから街道筋で発展した、非常に理にかなった食べ物なのだ。

 三重県伊勢市のマンホールには、江戸時代のお伊勢まいりをする人々が描かれている。

 皆、清々しい顔をして

もっとみる
三重県志摩市(旧阿児町)のマンホール

三重県志摩市(旧阿児町)のマンホール

 リアス式海岸の景観が美しい英虞湾は、今でも真珠の養殖が盛んで、周辺の町では、真珠を売る店がたくさんある。その真珠を、道端にあるU字溝の蓋に埋め込み、町の特産品としてアピールしているのが愉快だった。

 三重県志摩市(旧阿児町)のマンホールには、英虞湾に浮かぶ真珠養殖の筏が描かれている。

岐阜県大野郡白川村のマンホール

岐阜県大野郡白川村のマンホール

 言うまでもないことだが、白川村には世界遺産となった、合掌造り家屋の集落がある。
 この世界遺産のすごいところは、ヨーロッパの世界遺産のように、実際にそこで、住民が生活を営んでいることだ。

 岐阜県大野郡白川村のマンホールには、合掌造りの家々が描かれている。晴れ間に漂う、「白川郷」の書体が良い。

 屋内を見学しておもうことは、これでは冬は凍える寒さだろうな、という一点。

青森県八戸市のマンホール

青森県八戸市のマンホール

 八戸市では、スーパーホテルという御大層な名前のホテルで一泊したのだが、ビュッフェ形式の朝食で、せんべい汁というものが出されていた。その時は、見た目がなんだか気持ち悪かったので素通りしてしまったのだが、後で調べてみたら、土地の郷土料理であった。そんなことならば、チャレンジしておけばよかったと、いまさらながら悔やんでいる。
 好奇心のアンテナが、寝起き直後で、まだ十分に機能していなかったのかもしれな

もっとみる
鳥取県八頭郡八頭町(旧郡家町)のマンホール

鳥取県八頭郡八頭町(旧郡家町)のマンホール

 たとえば、毎年春には満開の桜の写真を撮らなければ気が済まないのと同じで、秋になると、柿の木の前でシャッターを切り、一人、悦に入っている。
 ただ食べるとなると、干し柿は好きなのだが、生の柿はそれほどでもない。柿は好きだが干し柿は駄目、という人もいるそうで、その意見もわかるような気がする。

 鳥取県八頭郡の旧郡家町は、花御所柿という柿が名産品で、それがマンホールのデザインに採用されている。

鳥取県境港市のマンホール

鳥取県境港市のマンホール

 昨年亡くなった漫画家の水木しげるは、幼少期を、鳥取県境港市で過ごした。
 市はそれにあやかり、町の中心に、水木しげるロードや水木しげる記念館を造り、観光スポットにした。
 市のマンホールも、彼の代表作「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクターがデザインされている。

鳥取県鳥取市のマンホール

鳥取県鳥取市のマンホール

 「傘がない」という、井上陽水の歌がある。とても恥ずかしい歌だとおもう。
 正確な歌詞は覚えていないが、おおよそ、「新聞で、若者の自殺についての記事を読んだ。だが、そんなことはどうでもいい、傘がない、女のところに行かなければならないのに」というものだ。
 今風にすれば、「ネットで、欧州の移民問題や、北朝鮮の核実験についての記事を読んだ。でも、そんなことは知ったことじゃない。スマホをなくしてしまった

もっとみる
鳥取県米子市旧淀江町のマンホール

鳥取県米子市旧淀江町のマンホール

 黒澤映画の名作「七人の侍」で、水車小屋が燃え盛るシーンがあるが、黒澤は、火の勢いに迫力がないと言って、水車小屋を6回立て直させ、燃やした。そうして、あの名シーンは生まれたのだ。

 鳥取県米子市旧淀江町のマンホールには、名水百選にも選ばれた、集落の湧水地と水車がデザインされている。

 この水車は、古くから生活に密着した道具として利用されていて、現在でも、精米精粉は、この水車で行われている。

島根県安来市のマンホール

島根県安来市のマンホール

 安来節は、島根県安来市の民謡であり、全国的に有名な、ひょっとこ顔で滑稽な踊りをする、「どじょうすくい」も安来節の一部だ。それが、市のマンホールのデザインにもなっている。

 「どじょう」とは、安来鋼を造るための原料となる、砂鉄採りの際の動作である、「土壌」をすくう、が由来という説もある。
 砂鉄による製鉄は、現在の近代的な製鉄の前では採算が合わず、今ではめっきり廃れている。ところが、安来では砂鉄

もっとみる