見出し画像

【エンタメを狙うならこのコンテスト!】文学賞ガイド ノンジャンル エンタメ小説編


 ノンジャンルとは、エンターテインメント小説であればジャンルは問わないという文学賞です。
 ミステリー、サスペンス、ホラー、ファンタジー、SF、歴史、時代、恋愛小説などなんでもOK。こうした文学賞のうち、ここではプロの登竜門としての位置づけのある9賞をガイドします。明日の人気作家を目指して、年間計画でじっくり計画を立てましょう!

※掲載している情報は過去のものの場合があります。今年度の開催状況は、主催者サイトを随時ご確認ください。

小説すばる新人賞

 集英社「小説すばる」は昭和62年創刊のエンタメ小説誌。創刊と同時に小説すばる新人賞を創設し、以来、花村萬月、篠田節子、村山由佳、佐藤賢一、荻原浩、熊谷達也、堂場瞬一、朝井リョウ、千早茜など人気作家を輩出している。

〔一口メモ〕のちの直木賞作家も多く、新人作家の発掘と育成に独自のノウハウを持っている模様。応募数も長編エンタメ小説賞としては多く1150編(第36回)。

小説現代長編新人賞

 明治44年~昭和37年まで刊行された「講談倶楽部」に代わり創刊されたのが「小説現代」。創刊と同時に小説現代新人賞を創設し、五木寛之などを輩出。平成18年(2006年)から規定枚数を増やし、小説現代長編新人賞に衣替え。朝井まかて、塩田武士らを発掘している。

〔一口メモ〕2018年に読者層の若返りを図ってリニューアル。設定から面白く、瑞々しく、若い層にも支持される作品が受賞している。応募数は1163編(第18回)。

松本清張賞

 母体となる雑誌はないが、発表媒体は文藝春秋の「オール讀物」が受け持つ。第11回(2004年)からはノンジャンルの長編エンタメ小説の賞に。出身者は短編賞時代に横山秀夫を、長編賞になってからは葉室麟、阿部智里、山口恵以子、額賀澪、川越宗一を発掘している。

〔一口メモ〕松本清張と言えば推理小説だが、本格推理などでの受賞は少ない。ミステリー以外のエンタメ小説、特に歴史ものが多い印象。応募数は677編(第30回)。

メフィスト賞

 講談社の小説誌「メフィスト」(「小説現代」別冊)が母体。選考は編集部。タイトルにはないが、新人賞(プロの応募は不可)。森博嗣、舞城王太郎、西尾維新、辻村深月を輩出。受賞作は本格推理もあればライトノベルに近いもの、純文学風のものなど幅広い。

〔一口メモ〕ノンジャンルというより、その作品自体がジャンルという作品が受賞している印象。最大で年3回座談会を実施し、2023年下期座談会での選考対象作品は600編超。

小説 野性時代新人賞

 2011年から「小説 野性時代」に誌名変更。文学賞の選考委員は冲方丁、辻村深月、道尾秀介、森美登美彦。実力がありながらフレッシュな面々を起用。読む者の心を揺さぶる、将来性豊かな、希代のストーリーテラーの登場を期待している。出身者には芦沢央、蝉谷めぐ実がいる。

〔一口メモ〕ラノベ、アニメに強いKADOKAWAだけに新人賞でも若い層に向けた斬新なエンタメが受賞している印象。応募数は614編(第15回)。

ポプラ社小説新人賞

 前身はポプラ社小説大賞。賞金は下がったが、編集部が選考というスタイルは踏襲された。応募は新人に限る。出身者には小川糸(入選はしていないが編集者の目に留まる)、寺地はるならがいる。母体となる小説誌はないが、文芸書とポプラ文庫がある。

〔一口メモ〕傾向は特にないが、ポプラ社は児童書の出版社だけにしみじみ、ほっこりするような作風が受賞している印象。応募数は915編(第13回)。

集英社 2025年 ノベル大賞

 前身はコバルトノベル大賞。主催は集英社と一ツ橋文芸教育振興会。幅広く楽しめるエンターテインメント作品を募集するプロ・アマ不問の賞。選考委員は、今野緒雪、似鳥鶏、三浦しをん、丑尾健太郎と、小説家でないメンバーを加えている。受賞するとオレンジ文庫でデビューできる。

〔一口メモ〕コバルト時代同様、年4回募集の「短編小説新人賞」を実施。長編が書けない人はここからステップアップ! ノベル大賞のほうの応募数は1743編(2023年)。

角川春樹小説賞

 角川春樹事務所主催。長編のエンタメ小説を募集。ジャンルは問わず、プロ・アマも不問。出身者に、第166回直木賞を受賞した今村翔吾がいる。作家修業をする小説誌はないが、受賞作は単行本化されるので、作家デビューできる。

〔一口メモ〕文学賞でもなく新人賞でもなく小説賞。文学性より、痛快でよみやすく、ストーリー性豊かなものが受賞する。ミステリー色が強い。応募数は344編(第15回)。

女による女のためのR-18文学賞

 当初、官能小説の賞として始まったが、現在は女性ならではの感性を生かした小説を募集。応募資格は性自認が女性限定。出身者に山内マリコ、窪美澄、彩瀬まる、町田そのこ、宮島未奈らがいる。堂々たるプロの登竜門ながら、規定枚数は400字詰原稿用紙30~50枚と短い。

〔一口メモ〕予選も本選も選考委員も応募者もすべて女性。受賞作のほか、友近一人で選ぶ友近賞もある(読者賞は第21回からなし)。応募数772編(第22回)。

 いかがでしたでしょうか。前回分が締め切ったばかりという賞もありますが、いずれにしても受賞作を書くためにはある程度の時間がかかります。題材の決定から推敲まで、じっくりやりましょう。それがアマチュアの特典でもあります。

 アマチュアといえば、タイトルに「新人賞」とあるものは新人が対象になります。過去にメジャーな文学賞を受賞していたり、商業出版をしている人は対象外です。一方、応募資格に「プロ・アマ不問」とあるものは、プロ作家ではあるが再デビューを狙っているという方もOKです。

 それでは皆さん、頑張って応募し、受賞を目指しましょう。受賞したら、真っ先に公募ガイド社までご連絡ください! 取材させていただきます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?