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FC東京 補強診断〜チーム別補強診断#5〜

こんにちは。
Jリーグも開幕してから数ヶ月が経ち、すでに10試合以上のリーグ戦が行われています。
そこで、「チーム別補強診断」シリーズでは、2022シーズン開幕に向けた各チームの補強に関して、現時点までの成績などを踏まえ評価を行っていきたいと思います。
その上で、各選手の補強診断を『S』から『D』の5段階で評価をし、最後はチーム全体の総括も行おうと考えています。

これまでのシリーズ同様、上位カテゴリーから、北から行います。

第5回となる今回は、FC東京編です。

なお、すべての情報は5月20日時点となるので、ご了承ください。
また、試合出場などのスタッツは、transfermarktを引用します。

補強動向

改めて、今オフのFC東京の補強動向を振り返っていきましょう。

なお、この表は以前の記事『2022Jリーグチーム別考察#5 ~FC東京編~』に記載されている表になります。
この表に記載されていない移籍情報は以下の通りです。

【OUT】
 内田宅哉 →名古屋グランパス(期限付き)

試合結果

選手個人個人の試合での出場データなどをみる前に、まずはチームとしてのここまでの成績を見ていきましょう。

J1リーグ

ルヴァンカップ

個人スタッツ

それでは、ここからはオフの移籍市場で加入した選手をポジション順に(GKから)見てきましょう。

①ヤクブ・スウォヴィク(←ベガルタ仙台)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 昨年までは、J1のベガルタ仙台で絶対的守護神として活躍していたスウォヴィク選手は、今季より首都クラブに活躍の場を移しました。
 元々、FC東京には林選手が守護神として君臨していましたが、度重なる長期離脱によってなかなか戦力としてカウントはしにくい状況になっています。加えて、期待の若手である野澤大志ブランドン選手がJ2の岩手で出場機会を積むために期限付き移籍をしていることを踏まえると、波多野選手、児玉選手という2人しかいない状況になっていました。
 昨季は、波多野選手が守護神となっていましたが、林選手やJ1の上位チームのGKと比べると若干力が劣っていると否めない面もあり、そのような中で新たなスタイルへ移行する初年度に守備の安定感を増すためにもJリーグでの実績の豊富な新守護神の獲得に動いたのだと思います。

考察

 リーグ戦ではここまでに全試合にフル出場をするなど、FC東京の絶対的な守護神となっています。
 新スタイルへと移行している初年度ということもあり、試合を見ていてもピンチを迎える機会が本当に多くなっていますが、いわゆる「神セーブ」を多く見せています。時間稼ぎでのカードが多いことが若干が懸念点ですが、とはいえ、スウォヴィク選手がいることで多くの勝ち点を拾っている印象はあるので、従来の期待値以上と言えるのではないでしょうか。

評価

 評価は『S』としました。
 元々の期待値が高いのが事実ではありますが、その期待値を大きく上回るパフォーマンスを見せているとは思います。福岡戦では5失点を喫してしまいましたが、それ以外の試合では安定した守備を後方から支えています

②エンリケ・トレビザン(←大分トリニータ)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 後方からのビルドアップを遂行するために、既存の森重選手という重鎮は残留していましたが、主力を務めていた渡辺選手とジョアン・オマリ選手が退団しており、頭数が2つ減った状態になりました。退団した両選手とも主力級の力を持っている選手でしたので、J1の舞台で主力を張れるような選手の獲得が急務と言える状況でした。
 エンリケ選手は、昨季はポルトガルのエストリルからJ1の大分トリニータへと期限付き移籍で加入し、素晴らしいパフォーマンスを見せていました。特に終盤戦にかけては、いぶし銀の活躍を見せたと言えます
 FC東京のメンバー構成を考えると、センターバックのメンバー構成において負傷など不測の事態を除いては森重選手は主力として間違いなく、「森重+1」を考える際に、後述する木本選手とポジションを争うという構図を構成するための獲得であったと言えるでしょう。

考察

 開幕戦こそ、スタメン出場を果たしましたが、ベストメンバーで試合を組める際のベストコンビは「森重+木本」というコンビであると思います。森重選手の負傷もあり、多くの出場機会を掴んでおり、決して「期待はずれ」という状態ではないでしょう。
 国立競技場で開催されたガンバ大阪戦で肩を負傷してしまい、現在は負傷離脱中となっていますが、それまではコンスタントに出場機会を掴んでおり、期待された役割を果たしていると言えると思います。

評価

 評価は『B』としました。
 苦しいチームの台所事情でありながらも多くの出場機会を掴んでいるということはポジティブな要素です。一方で、もちろん期待はずれではありませんが
負傷離脱により数ヶ月試合に絡めない状態になっているという状況を鑑みると、「期待値以上」という『A』などという評価はつけにくいのが現状です。

③木本恭生(←名古屋グランパス)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 FC東京としては、長谷川健太監督が監督を務めていた際から継続してオファーを出していた選手であるため、悲願の獲得と言えるでしょう。守備的なMFやセンターバックでハイレベルでプレーすることができる選手であるが故に、「便利屋」的な使い方をされがちな選手ですが、本人はセンターバックでの起用を強く望んでいるようです。
 セレッソ大阪時代にはロティーナ監督の指導を受けており、ハイレベルなフィードを持ち味としている選手で、最後方で守備ブロックを形成しながら、一つのパスで攻撃を組み立てることができる、ある意味、アルベル監督のサッカーに完璧にマッチする選手であると言えます。エンリケ選手の欄で書いたように、「森重+1」の1の部分をエンリケ選手と争うという意味での獲得であったと言えるでしょう。

考察

 リーグ戦では、第8節の浦和レッズ戦を除き全ての試合でスタメン出場を果たしており、今のFC東京に欠かせない選手になっています。守備時での貢献度が高いのはもちろんですが、後方からさまざまな質のフィードを送ることによる攻撃時のスイッチを入れる役割も非常に高くなっています。
 負傷者が続出してしまったセンターバック陣の中で、過密日程でありながらも多くの試合に出場し負傷などもなく安定したパフォーマンスを見せているという点でも、木本選手の獲得は非常に大きいと思います。

評価

 評価は『S』としました。
 正直、異論はないのではないでしょうか。木本選手は、ゴールなど目に見える結果は少ないですが、一つ一つのプレーの質が非常に高く、今のFC東京の試合を見ている人からすれば、今オフの補強で一番の補強と言っても過言ではないでしょう。

④岡庭愁人(←明治大学)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 FC東京は、アカデミー出身選手が明治大学に進んだ後に出戻りしてくることが多くあります。また、ほぼ毎年明治大学より新加入選手が加入している状況で、岡庭選手は、U17やU18の代表や大学日本代表にも選出されたことのある、大学世代No.1のDFであると言えます。
 出戻りという面もあるとは思いますが、左サイドバックやセンターバックでプレー可能な選手ですので、若手のバングーナガンデ選手との序列争いを想定しての核と言えるのではないでしょうか。

考察

 リーグ戦では、出場どころかメンバー入りもできていません。
 FC東京のサイドバックは、小川選手やバングーナガンデ選手、長友選手など多くの実績や経験、期待のある選手が多く在籍しており、メンバー争いが激しいことは確かです。一方で、明治大学から加入した中村選手や安部選手が初年度から素晴らしいパフォーマンスを見せていたということを考えると、ルヴァンカップで2試合のみの出場にとどまっており、スタメン出場が1回しかない現状は若干期待はずれと言わざるを得ません。

評価

 評価は『C』としました。
 通常の大卒ルーキーよりも期待値が非常に高かった選手であるが故に、このような評価にしています。ましてや、センターバックに怪我人が出ている状況下においてもメンバー入りできていないことを考えると、若干期待はずれと言わざるを得ません。

⑤平川怜(←松本山雅FC)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 昨年は、J2の松本山雅に期限付き移籍をしていました。松本山雅の監督は磐田で活躍した伝説のパサーである名波監督であり、アンダー世代から持ち前のパス精度、パス感覚で試合を作る才能に長けている平川選手が覚醒するかに思いましたが、出場機会を掴んでいながらも負傷離脱をしてしまいました。
 今季は、期限付き移籍期間満了に伴い、所属元であったFC東京へと復帰を果たし、カウンターサッカーからパスサッカーに大きくスタイルを移行する中で、アルベル監督の元持ち前のパスセンスは生きるかもしれません。中盤から、試合をつくという面で、すぐに「主力」とはいきませんが、カップ戦などで出場機会を掴みつつリーグ戦でも出番をうかがっていくという感じのイメージでの復帰でしょう。

考察

 リーグ戦では、メンバー入り1回で出場がなしと苦戦しています。他方、カップ戦では、開幕から4試合は継続して出場しており、才能の片鱗を見せていましたが、ここのところはベンチ外となっており、序列の低下が見て取れると言えるでしょう。
 持っているセンスなどは間違いのない選手ですが、現状は品田選手や高卒一年目の梶浦選手との競争と言えるでしょう。

評価

 評価は『C』としました。
 ルヴァンカップで開幕から継続して出場機会を得たことを含め、「超期待はずれ」の「D」ではないでしょう。一方で、だんだんと出場機会を失っていっているという現状を鑑みると、なかなか苦戦しているようで、22歳という年齢を考えても勝負の年と言えるでしょう。

⑥松木玖生(←青森山田高校)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 高校サッカーのスターであった松木玖生選手は、海外からのオファーも複数あったようですが、コロナ禍の影響をあり、最終的にはFC東京に加入しました。
 松木選手視点では長友選手の存在が大きかったようですが、FC東京視点で見れば、新スタイルに移行する中で、球際での激しいプレーを厭わない松木選手が加入することで、中盤の強度が格段に上昇するということを考えているでしょう。あとは、高校サッカーのスターですので、グッズ等の売上に関しても想像したものであると思います。

考察

 リーグ戦では、開幕戦でスタメン出場を果たすと、出場停止となった7節の神戸戦を除き全試合に出場しています。青木選手をワンアンカーに置いて、安部選手と共にインサイドハーフを組むというのが、現在のFC東京の鉄板コンビとなっており、欠かせない戦力であり、絶対的な主力になっています。
 元々の期待値が高い選手であることは事実ですが、開幕からここまで試合に出場し、安定したパフォーマンスを継続して見せるということは大きく期待値を上回っていると言えるでしょう。

評価

 評価は『S』でしょう。
 これも、木本選手同様、異論はないのではないでしょうか。
 高卒ルーキーでありながら、開幕から主力に定着したこと加え、プロでも通用する身体ができていて、当たり負けしない点などをみても、期待値は大きく上回っていると言えます。

⑦安田虎士朗(←FC東京U18)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 安田選手は、名門とも言えるFC東京の下部組織で背番号10を背負っていた経験もあり、U15やU16などの年代別代表への選出経験もある選手です。また、2019年にはFC東京U23においてJ3リーグ9試合に出場した経験のある選手です。
 攻撃的な選手で、173cmと小柄な選手ながら、スピードタイプではなく、華麗なテクニックで攻撃にリズムを加えることのできる選手です。
 今の、FC東京にはいないタイプの選手で、途中出場でも違いを生むことのできる選手ですので、5年後ほどにレギュラーとなることを見越しての昇格ではないでしょうか。
 初年度の今季はカップ戦などを中心に試合に出場したいところです。

考察

 リーグ戦でのメンバー入りはいまだにありません。が、ルヴァンカップでは、グループリーグの後半戦になるにつれ徐々に出場機会を掴んでおり、先日のアビスパ福岡戦では公式戦初先発を果たしました。
 チームとしてなかなか得点を取れない中での起用ということで難しい面もありますが、とはいえ、58分間堂々たるプレーを見せました。「今後もルヴァンカップで…」と言いたいところですが、チームの敗退が決まってしまっていることは懸念点です。

評価

 評価は『B』ではないでしょうか。
 高卒一年目で、しっかりとルヴァンカップで出場していることなどを考えると、あくまで期待通りと言えそうです。他方、ルヴァンカップの敗退が決まってしまっているチーム状況ですので、場合によっては育成型期限付き移籍などをするかもしれません。

⑧梶浦勇輝(←FC東京U18)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 安田選手と同じく育成の名門、FC東京U18より昇格した選手です。安田選手とは異なり、J3での出場経験はありませんが、U15やU16の年代別代表になっていた選手です。
 攻守のリンクマンとしての資質が非常に高い選手であり、「守から攻」「攻から守」といった近代のサッカーで非常に質が上がってきている部分をハイレベルでこなすことのできる選手です。
 現在のFC東京には高萩選手や東選手など似たようなタイプの選手も多く所属していますが、初年度となる今季はルヴァンカップを中心にメンバー入りをし、シーズン終盤戦にかけてリーグ戦に少し絡んでいければというイメージではないでしょうか。

考察

 リーグ戦でのメンバー入りはありません。一方で、ルヴァンカップでは開幕より途中出場で出場機会を積みました。第5節のジュビロ磐田戦ではスタメン出場を果たし、1ゴールを挙げるなど、結果も出しています。
 チームとしてはルヴァンカップは悲しい結果になってしまいましたが、それでも継続してルヴァンカップで出場機会を掴んだというのは、高卒一年目と考えれば、十分に合格点ではないでしょうか。

評価

 評価は『B』としました。
 ルヴァンカップで継続して出場機会を掴んでいるということを踏まえると、期待値を上回る活躍を見せていると思います。しかし、ルヴァンカップでの出場だけでリーグ戦でのメンバー入りを果たせていないということを考えると、なかなか『A』評価にしにくいのが現状です。

⑨山下敬大(←サガン鳥栖)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 昨年はサガン鳥栖で9得点を挙げ、Jリーグ屈指の日本人FWとして名を挙げた選手です。泥臭いプレーが特徴の選手で、今オフには報道されただけでも、FC東京と名古屋グランパスから獲得オファーがあったそうですが、FC東京へ移籍することになりました。
 FC東京には、「ディエゴ・オリヴェイラ、レアンドロ、アダイウトン」という強力なFW3人に加え、永井選手や紺野選手など実力者のFWが多い中ですが、前述の5選手に山下選手を加えることで、2パターンのJ1屈指の攻撃陣を組むことができるようになります。
 ブラジル人FWがあまりにも強力であるが故に、すぐに主力となることはあまり期待されていないでしょう。初めは「準レギュラー」として徐々に出場機会を積んでいき、最終的にはディエゴ選手も30をこえてしまっているので、未来の主力候補と言えるのではないでしょうか。

考察

 リーグ戦では開幕戦の川崎フロンターレ戦こそベンチ外となりましたが、その後はリーグ戦では途中出場を中心に、ルヴァンカップではスタメン出場を中心に多くの出場機会を積みました。
 リーグ戦のサンフレッチェ広島戦ではゴールネットこそ揺らしましたが、VARの判定により得点は取り消しとなってしまい、新天地で得点を挙げることはできていません。
 ここのところは、公式戦3試合連続でベンチ外になっており、序列の低下が否めない状況と言えるのではないでしょうか。

評価

 評価は『C』としました。
 シーズン当初こそは、期待された活躍をしていたと思いますが、最近は出場機会を失っていることや、得点を取れていないことを考えると、苦戦している印象を受け、若干「期待はずれ」とも言えるのではないでしょうか。

全体評価

それでは、全選手の評価を振り返っていきましょう。

ヤクブ・スウォヴィク S
エンリケ・トレビザン B
木本恭生 S
岡庭愁人 C
平川怜 C
松木玖生 S
安田虎士朗 B
梶浦勇輝 B
山下敬大 C

以上のことを踏まえた総合評価は以下のとおりです。

全体評価は「A」としました。
 平均値は「B」と「A」の間でしたが、即戦力として獲得した選手の多くが、開幕より安定した出場機会を得ていて、総じてこのオフの補強は成功と言えるのではないでしょうか。

最後に

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