ウロコ

AYA世代だったパートナーと、四年の闘病を経て死別。闘病中からの記録となりました。 現…

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AYA世代だったパートナーと、四年の闘病を経て死別。闘病中からの記録となりました。 現在は死別後のあれこれを徒然と。。

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告知の日

ダンナ君は何でもモノをボロボロになるまで使う。というか、ボロボロになっても使い続ける。 穴の空いたヨレヨレのアンダーシャツ、壊れて印刷線が途切れるプリンター、古すぎてブレーキペダルがおかしくなった中古車。 いわば魂の乗り物である身体についても多分そんな感じで、我慢の限界が分からず病気が見つかるのが遅れてしまった。 MRIを撮った地域の泌尿器科からの切羽詰まった呼び出しがあり、土砂降りの中、大病院の紹介状を持たされて到着するなりそのまま緊急手術。 私は連絡を受けて動転し

    • 記憶と約束

      久々に、ダンナ君の最期や闘病を書き留めたnoteを見返した。 この時、何を話したんだっけ? どんな冗談を言ったんだっけ? 明確に書いてなくても以前は芋づる式に詳細に思い出していた記憶がこぼれ落ちている。 なんでもっと細かく書いておかなかったんだ。 後悔しつつも、枝葉末節まで書いていたら記事として破綻してまうから仕方ない。。 最初のてんかんの発作で倒れ、開頭手術を受けた2週間後、抗がん剤再開の直前の週末に外泊許可をもらって家に帰り、長い入院生活をいったんリセットできて

      • 朝方の夢

        一人でいる事に平気になるのと比例して遠のいていく、ダンナ君のいた頃の記憶。 その事に自分の薄情さを思ったり、寂しいような気持ちになったりする。 実は自分はずっと一人だったかのような気さえし始めていたこの頃。 ***** そろそろ暑くなってきたので、昨日は今シーズン初のハーゲンダッツを久々にお仏壇にお供えしてみた。 気まぐれなお供え。 おーい元気かー、病院でよく食べたよね。だんだん遠のいていくけどちゃんと覚えてるで。 そして今朝、夢を見た。 朝方、もう起きないと、と

        • 孤独と自由

          G.W.中、数年ぶりに開催された某市を挙げてのフェスの渦中にいた。 あちこちの会場で入場制限がかかる程の人出で、暑い日差しのもとで冷たいビールも販売され、皆マスクをしている事以外は数年前と何も変わりないように見えた。 そもそも人混みは苦手なので出番が終わればそれほど長居はしないけど、お祭り騒ぎの渦中、テンション高めで沢山の人と交流した後で、帰って一人になった時のギャップ。。 それぞれの家族と帰って行く仲間達の姿を思い出し、やっぱり寂しくなる。 そりゃ孤独と自由は抱き合

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        告知の日

          桜、桜

          休みの日で、車から遠目に公園の桜が咲いているのが見えて、明日は雨らしい。 今年の桜をちゃんと見られるのは今日しかないと思って帰ってから自転車で出直した。 まあ別に見なくていいか、とはならなかった自分にフムフム、となる。 ダンナ君と過ごして、「次」があるとは限らないから「今」の一瞬を大事にしようと思うようになった。 言葉にするとなんか安っぽいな… それにしても不安感も喪失感もなしに桜を直視できたのはいつぶりだろうか。

          3/18

          ゾロ目でもないし、誕生日とかじゃなければ大概の人にとっては何でもない日なんだけど、一応結婚記念日だったりして。 ダンナ君が旅立ってから二回目。 去年より気持ちが落ち着いているので、美味しいケーキ屋さんでダンナ君の好きなチョコケーキでも買ってこようかというくらいなんだけど、なんだかんだで用事があって無理そう。。 ゴメン、今度…! そんなタイミングなので久しぶりに写真を見返してみると、6年前の二人がとっても幼く見える。 いや、すでにいい大人なんだけど、若いというより幼い。

          大雑把なノウミソ

          の話の前に、血で血を洗う争いが早く収まりますように。 痛みや苦しみの連鎖が早く止まりますように。。 ****** 気持ちが落ちている時、実際に起きているかどうかも分からない悪い妄想や、まだ起きていない不安な未来の想像に囚われてしまってる事が多い。 不安や心配がヒトの生存本能から来るものだとしても、ちょっと働きすぎるのは何とかならんもんかなーと思っていると、いくつか面白い記事に当たったのでなるほどと思った事を勝手にまとめて覚書に。。 らしい。 (※ただし雑多な雑学ペー

          大雑把なノウミソ

          ちょいスピ日記

          最近、エネルギーチャージというより、なんかエネルギー自体の交換が必要な気がする。 長い間モヤモヤしていた事が飽和して、エネルギーは不足してないけど、汚れている。 車で例えるとオイル交換とフラッシングの時期みたいな??知らんけど。 なのでそのために出来そうな事を色々してみる事にした。 そういえば初詣らしい事をしてないな、御神籤をひいたりしようかなと思い、たまに足を運ぶ少し離れた所にある大きな神社に参拝してきた。 以下、スピリチュアル系が苦手な方は薄目でスルーしてください

          ちょいスピ日記

          断片

          ダンナ君が楽しみにしていたのに観れなかった夏のオリンピックとは違い、冬のオリンピックには何の想いもないまま。 一人になってからは、他県に住む姉が見処の競技をお知らせしてくれるので、促されてノーマルヒルにチャンネルを合わせた。 映し出される、白いジャンプ台に宙を舞う選手たち。 に、、ふと蘇るダンナ君。 「テレマーク。」と言いながら着地のポーズを真似して喜んでいた。 語感とポーズが気に入ったらしい。 そうか、、平昌オリンピックがあったな。忘れてたけど一緒に見てたのか。

          あの日見た景色

          とても苦しい自分の誕生日をやり過ごした。 死別経験者の記念日反応とも違うその感じは言葉にして後に残したくないくらい、、なので今のところは書かない事にする。(笑) そして時間はやっぱり螺旋状で、ダンナ君のいた最後の一年を辿る想いがある。 けどその一年は、隣のそのまた隣の軸になってしまっている。 確実に薄れていく記憶を繋ぎ止めたくて、スマホの写真を遡って日付を確認する。 ただただ、自分のための覚書。 2020.1/1 足の痛みをおして頑張って歩いて行った近所の神社

          あの日見た景色

          年の始まり

          喪が空けて最初の新年を迎えた。 ダンナ君がいた時は、大晦日は0時前になると近所の神社に初詣に行き、ワンカップとお菓子をもらって焚き火にあたるのが恒例だった。 知り合うずっと昔からのダンナ君の習慣。 ダンナ君の入院期間にあたった年は私が一人で行ったし、最後の年はステロイドの副作用で大腿骨頭が壊死し始めていて、亡くなった父親の杖をつきながらなんとか少しずつ歩いて行った。 頑固なところがあるダンナ君、そこまで無理しなくても、と思いながらも見守ることしかできなかった。 次々

          年の始まり

          一年。

          ダンナ君が旅立ってから一年が過ぎた。 Twitterで配偶者を亡くした色んな方の呟きを見ていると、自分は比較的元気な方だなと思う。 それでもまだ生々しくぶり返す事もやっぱりたまにはある。 夢の狭間で隣にダンナ君が眠っている時の安心感がよみがえり、目が覚めて現実に戻った時に孤独感に潰されそうになったり。 遠い親戚の訃報に、旅立ちの数日前から急激に弱っていくダンナ君の姿やその表情を思い出して、胸が苦しく、苦しくなったり。 そしてその都度、このとてつもない悲しみやら苦しみ

          一年。

          登山とアシの話

          またまた登山へ行ってきた。 低山とはいえ荒々しい足元を進むのはかなりキツくて、楽しいかと聞かれたら今のところ楽しいとは言えない。 けどシーズンごとのトレッキング用の装備を買っていくうちに既にまあまあお金がかかっているので、もったいなくて途中でやめられないっていう。。 なにより間違いなく運動不足解消になるしな。 その日の夜、痛む足にダンナ君が使い切らずにたくさん残っているケトプロフェンテープを貼った。 大腿骨頭壊死症を発症して整形外科にかかり始めた頃から、毎日寝る前に

          登山とアシの話

          夏の後半

          今年の夏はますます異常な天候ですね。 でもお盆を過ぎた頃からちゃんと日が短くなっていくのを感じるし、夜になると秋の虫が鳴き始める。 高校野球も見応えのある試合が展開される頃。 ダンナ君の入院中は、iPadでイヤホンジャックを2人用に分けてベッドの上で一緒に観戦したものだ。(有料のテレビは使わなかった。。) 糊の効いたベッドシーツ、入院中だけしか使わないボディソープの匂い、抗がん剤の5日間の連続投与が終わった後に下のコンビニで買って来る「お疲れ様」のハーゲンダッツ。

          夏の後半

          始まる。

          なんだかんだで始まったら観る五輪。 開会式を観ながら色々めぐる思いもありつつ。。 もともとテレビにそれほど執着がなくて何でも良いという二人だったけど、せっかくなのでこの際大きくて綺麗な画面で東京五輪を見るためにちゃんとしたテレビを買ったのが2年くらい前だったか。 ダンナ君はその頃はまだ歩けていたし、家電量販店にちょくちょく足を運んでは一緒にあれこれ物色できていた。 営業をかけてくる店員さんの長い話を聞くのは頭がしんどくて厳しかったけど。 これを観るために買ったのになー

          始まる。

          夏が来た。

          さては真夏だな。 久々に行き当たりばったりでドライブに行ってきた。 夏パワーのおかげで、ずっとどこかにさまよい出ていた自分の一部がやっと戻ってきた気がする。 薄まっていた自分の濃度が濃くなった感じ。 さらに一段上がれたかな? がんばるよ。

          夏が来た。