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学生時代のメタ認知の質が低かった話

皆さんは、学生時代に自分のやりたい仕事が明確でしたか?

多くの人は「なんとなく〇〇の方が向いているな」とか「△△はなんか嫌だな」くらいの感覚で、ある程度職種や業界を絞り、就職活動を進めたのではないでしょうか。
もっというと、自分がどれだけ仕事に関する体力や熱量があるか分かっていましたか?これについては、働いてないうちは自覚するのがもっと難しく、私自身も働いてから自分のキャパシティを認識しました。

過去の自分をこうして振り返ってみても、明確にやりたいことなどはなかったし、向き不向きもそれなりに考えはしたけれども、それまでのたった二十数年の思い込みで決めてしまっていたりしていたと思います。
そしておそらく私だけではなく、多くの方がそのようなフワフワした状態で、そんな中でも頑張って何か自分に向いている仕事を探そうとしたのではないでしょうか。

今日はそんな過去の自分への振り返りと共に、新卒採用の難しさについて考えていきたいと思います。

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自分には体力が無いという思い込み

私は2019年に社会人になり、初めてフルタイムで働くということを経験しました。それまでは、もともと家が好きで、よく風邪も引き、すぐ疲れるし、夏は暑さに弱く、冬は寒さに弱く、無人島に行ったら真っ先に力尽きるタイプwだと自認しておりました。なので、いわゆる体育会系の職場は考えもしなかったし、最終的に入社するか非常に迷ったコンサルティング会社も、体力面の不安もあり辞退したのです。

ただ、働いて4年が経った今の自分を見てみると、そこまで体力がないわけでもないな、と思っています。私が働いたメーカーはいわゆるホワイト企業で会社全体での平均残業時間は本当に少ないところでした。(月単位での表記が「え、これ週単位じゃない?」って疑うほど少ない)
とはいえ、人事部そして新卒採用チームは時期によってかなり忙しい時もあるのが事実で、3ヶ月くらい続く繁忙期は毎日7時から21時くらいまで働いて、最長では0時前まで会社に残ったこともありました。また職業柄、休日出勤も多かったです。
疲れないと言ったら嘘になるし、これが毎日365日続くと思うと体力も持たなかったと思いますが、学生時代に構えてたほど負担には思いませんでした。

これについては、もちろん自分ひとりで生きているわけではないので、周りのサポートがあっての仕事ライフだったとは思います。ただ、やっぱり学生時代の思い込みで構えすぎてたなあ、という反省もあります。こればっかりは、仕事してみないとわからないので、仕方ないのかもしれませんが。

仕事に対する熱量の見積もりミス

しかし、体力についてすべて思い込みだったとは思えません。構えすぎてたところはありますが、やっぱり疲れやすいタイプであることは間違いないと思うのです。ではなぜ、そんな私でもゴリゴリ仕事できたのでしょうか。そこはやっぱり働くうちに、仕事に対する責任感とか、情熱とか、そういう思いが芽生えたからなのかな、と思っています。

そもそも私は、体力だけでなく、もっと淡々と仕事をするタイプだと思ってましたw (過去の自分のメタ認知がことごとく間違っていることについては、目を瞑ってくださいw)だから、定時で帰って、プライベートも趣味いっぱいあるしそれを楽しんで、ワークライフバランスをとりながら、夏休みはイタリアの実家に2週間帰ろうって思ってました。

でも、いざ仕事をしてみたら、もちろんうまくいかないことも怒られることも沢山ありましたが、やっぱりやればやるほど面白いし、できるようになればなるほど「もっとこうしたらうまくいくんじゃないか」という仮説の精度も高くなっていき、より積極的に取り組むようになる。(もちろん、こんな正のループばかりではなかったし、メンタル病みそうになったこともあるけれど。)

結局、学生時代の自己認識は甘い

まあ、何が言いたかったかというと、学生時代の自分の認識なんて所詮そんなもん、ってことなんですよ。日本の大学生は私よりもうちょっと真面目に就活をする子も多いので、もうちょっとしっかり自己認識をしているかもしれませんがw

まあでも、大差ないでしょう。だって、仕事というものを経験していない人が、今までの仕事以外の経験で自分が何に向いていて、どれくらいで力尽きるか、なんてわからんでしょ。

だから、そのような状態の学生に志望動機を聞くことは、果たしてどれほどの意味があるのかなあと、思うわけです。みんな頑張ってロジックがブレないように回答内容もそれなりにしっかり考えるけどさ。
また、適性検査で「自分は〇〇な方だ」みたいな設問を何問も答えさせられるやつ、あれもあくまでもその時点での自己認識だから、仕事でどれだけその通りになるかはわからないですよね。実際私は、入社してから自分自身の結果シート見て、変わらないものもあるけど、働いて変わった部分もたくさんあるな、と思ったんですよね。

もちろん、適性検査が万能ではないことは知ってるし、あくまでもアセスメントツールのうちの一つではあるわけですが。盲信しないで欲しいと、一学生だった者として言いたいよねw

もちろん未来の自分は現在、そして過去の自分の積み重ねであることは事実なので、過去情報をベースに仮説を立てることは間違っていない
そもそも面接をする側の企業も、過去情報でしか「どれだけこの人が自分の会社に必要な人材か」は推測できないわけなので、面接で聞く質問や適性検査がすべておかしいと言いたいわけではないんです。

ただ、仕事って人生の中で結構大きな経験なので、それを経験する前と後ではその人のスタンスが結構変わったりするもんなんじゃないかなーとも思います。逆に完璧なロジックで面接に挑んでる子がいたとして、それは素晴らしいんだけど、本当にその通りに行くのかい?と思ってしまいます。

採用の難しさ

人材を採用するってだけですごく難しいのに、特に新卒採用は独特の難しさがありますね。中途採用の候補者も玉石混淆だとは思いますが、やっぱり経験を経て「〇〇は向いてるけど△△はどうしても無理」みたいな具合で、より仕事側面の自分の特性が学生時代よりかは明確になっている人が増えていると思います。新卒採用で、学生にその粒度の自己認識を求めるのはかなり難しいし、そんな中で企業は5年後、10年後活躍してくれる人材を探さないといけない。

この業務特有の難しさは認識しつつも、良い候補者とはどんな特徴を持っていて欲しいのか?活躍できる人材の特徴は何か?5年後、10年後に会社はどこへ向かいたいのか?そういった情報を洗い出し、それらをもとに具体的なペルソナ像を作り出す必要があると、私は考えています。

新卒採用はおろか、中途採用でもここまでできている会社は、特にJTCでは少ないと思います。で、その結果、なんとなく自分たちに似ている候補者を採りがち。口ではイノベーションとかいうけど、結局同族が集まる組織になり、新規事業も生まれず、スタートアップにディスラプト(disrupt)されてしまうのでした。

大企業を離れた今、スタートアップで採用面の強化をお手伝いする機会があり、中途採用ではありますが上記をかなり意識した採用設計を行っています。日本の大手企業も、知名度にあぐらかいてないで、本気で採用やりましょうよ。と思う今日この頃です。

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