一目惚れの恋 神様も“失敗”して成長した ことの葉綴り。百五五
見目麗しい女神
こんにちは。窓外からセミの鳴き声が聞こえて夏を実感します。
日曜のお昼、「ことの葉綴り。」に、のんびり向かいます。
前回は、芸能の神さまの天宇受賣命さまを
元祖“仕事もデキる”女神さまとご紹介しました。
今日の神話は、「恋」です。「恋」♡
天孫降臨された、邇邇芸命(ににぎのみこと)さま。
筑紫の日向にある、美しい朝日が昇り、茜色の夕日が照り輝く笠沙の岬を、ある日、散歩されておりました。
すると、そのときです。
視線の先に、美しい花が咲いたような光が目に入りました。
なんだろう?
邇邇芸命(ににぎのみこと)さまの足は、自然と、その光の方へと歩んでいきました。
すると、そこには桜の花のように麗しい美人(をとめ)がいたのです。
なんと美しい……
その見目麗しく綺麗な姫神に吸い寄せられていくようです。
近づくと、香しい花の香もしているではありませんか。
邇邇芸命(ににぎのみこと)さまの、胸はドキドキ、バクバクしています。
言葉をかけずにはいられませんでした。
そなたは、誰の娘なのか?
木花佐久夜毘賣(このはなさくやひめ)
突然、声をかけられた美人(をとめ)は、驚いて顔をあげました。
目と目があった瞬間、邇邇芸命(ににぎのみこと)さまは
恋に堕ちました。
あ~近づいて見つめると、よけい美しい~。
今でいうと、“美しすぎる”〇〇じゃないですが
高天原から地上へと降りてこられた邇邇芸命さまにすると、
これほど美しすぎる姫が、豊葦原中つ国にいるのか~
という驚きもあったかもしれません。
その美人(をとめ)の姫神は、こう答えました。
私は、大山津見神の娘、神阿多都比賣(かむあたつひめ)
またの名を、木花(このはな)の佐久夜毘賣(さくやひめ)
と申します。
なんと、清らかな声音であることか……。
名も、その美しさにぴったりだ!!
邇邇芸命さまの心臓は、さらにドキドキ高鳴ってきます。
ちょいと“野暮”ですが、ここで姫の解説をば。
神阿多都比賣(かむあたつひめ)というのは、
今でいう九州の鹿児島にある日置郡の
阿多の地にちなんだ土地名で、
神は、美弥で、美しい阿多の姫神ということ。
木花佐久夜毘賣(このはなさくやひめ)は、
その美しさを、木の花の美しさに例えているのです。
(解説終わり)
突然のプロポーズ
そなた、兄弟(はらから)はいるのか?
一目ぼれをした邇邇芸命さま。
積極的ですね~、
会話を続けます。
はい。私には、石長比賣(いわながひめ)という姉がおります。
答えを待つ間もなく、邇邇芸命さまは、
すぐさま
私は、あなたとまぐはいたい!
いきなりの、プロポーズ!!
まぐはいは、以前の、伊邪那岐命・伊邪那美命さまのものがたりでも登場しました。夫婦の関係のこと。
そなたを見た瞬間、愛おしいと思った。
妻になってほしい……どうだろう?
出逢った瞬間に、一目惚れで恋に堕ちた邇邇芸命さまは、
いきなり、婚姻を求めたのです。
さあ、この恋は、どうなるでしょう?
―次回へ。
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