石屋戸の外で 天照大御神様の復活を願ひ⑤ことの葉綴り。其の百六
傷心、苦悩し隠れたくなるとき
こんにちは。日曜日、夏用マスクを手作りしてみました。そしてサボらずに、「ことの葉綴り。」に向かいます。
“神様も失敗して成長した”物語。
天照大御神さまも、姫神として高天原を司りながら、弟神の暴虐に心を痛められて、天の石屋戸へ“ひきこもられ”て、お隠れになってしまいました。
太陽の光をあまねく光り輝かせることもできず、世界は真っ暗闇になってしまいました。
それでも、石屋戸の奥に閉じこもってしまいたかったのです。
私たちも生きていれば、傷ついて落ち込んで、
誰にも会いたくない……。
この世から消えてしまいたい……。
何もしたくない……。
私は、ここに生きている価値はない……。
自分なんて、なんの力もない。不十分だ。
もう、誰も信じられない。
人生の荒波に飲み込まれそうなときがありますよね。
偉大な皇祖神の天照大御神さまも、悩まれていた。
“ひきこもられていた”なんて、誰が思うでしょう?
そんな、こと、神話も、しっかり学ばないので、私たちは
意外と知らないですよね。
天照大御神さまの苦悩
天の石屋戸の洞窟に、たったお一柱でお隠れになっているとき、
きっと、姫神としての“自信”もなくされたでしょうし。
偉大な父の伊邪那岐命さまから譲り受けた高天原を統べることを、「私にできるのだろうか」と、プレッシャーもあったでしょう。
暴れん坊の弟神の須佐之男命の、暴力をとめることができなかった……「あのときの私の判断ミスで……」などと、自らを責められたでしょうし。
弟神の暴力で、命を失った機織女のことを悲しまれたでしょうし。
あ~もう、どうしていいのかわからない・・・・・・・。
けれど、私が岩屋戸に、引きこもったことで、余計、八百万の神々には、迷惑をかけてしまっているだろう……。
太陽の光がささず、真っ暗闇になっているだろう。
この洞窟の中のように……。
もんもんとされていた天照大御神さま。
すると、固く閉ざした石屋戸の向こうから
何やら、声が聞こえてきました。
その声は、どんどん大きくなっていきます。
なんだか、八百万の神々のみなさんが、笑っているような?……。
岩の洞窟の奥深くまで、ひきこもられていた姫神さまですが
ようやく立ち上がられました。
どうしたのだろう?
石屋戸まで近づいていきます。
別の貴い神さまって?
あっはははは~
わっははは~
とても楽しそうな、神々のはしゃぐ笑い声のように聞こえます……。
ええ?! どうしてだろう?
世界は真っ暗闇のままのはずだし、なにが起きているのだろう?
うわ~っあっはっはっはっ
いいぞ~っ
あっはははっ、ひゅ~っ
ものすごい歓声と笑い声が、大きく堅い石を通しても
響いてきます。
みんなで笑い踊り、地鳴りまで伝わってきます。
おかしい。
気になる……。
天照大御神さまは、不思議に思われて、天の石屋戸を、
少しだけ細~く開けて、そっと外をのぞきます。
天宇受賣命(あめのうすめのみこと)が、かがり火に照らされて、肌もあらわに踊り狂っている姿が見えました。
そしてこう仰いました。
わたくしが、ここに籠り隠れたことにより、高天の原は、自然と暗くなり、葦原中つ国も、暗闇だけになってしまったはずだと思うのだけれど……。
これ、天宇受賣命。何がそれほど嬉しく、楽しそうに歌い踊っているのです? そして八百万の神々も、みななぜ笑っているのです?
天宇受賣命は、舞い踊りを、いっとき大人しくして、天照大御神さまにこう答えます。
これは、天照大御神さま~~!
実はですね、あなた様よりも貴い神さまがおいでになられたんですよ~。
それでもうみんな大喜びで、嬉しくなって
笑いながら、歌い踊り遊んでいるんですよ~。
私よりも貴い日の神さまがお出ましになったの?
不思議に思われた天照大御神さま。
もう少しだけ見たい。
見て、確かめたい!
そう思われたのでした。
―次回へ。
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