見出し画像

母と子を祭る最古のお宮 伊邪那岐・伊邪那美さま21 ことの葉綴り。其の七三

初めて葬られた神さま

おはようございます。超サボり屋が、今日もお仕事前にnoteに向かえました。ありがたい。
いつも、お読みいただきありがとうございます。
神話の神さまたちも、人間と同じように悩み苦しみ傷つき涙する“お姿”は、私たちに勇気を与えてくれる。
それを伝えられればいいなと、今日も綴らせて頂きます。

今回から、いよいよ物語の舞台は
地上から、死者の国へ。
黄泉の国へとうつっていきます。

初の夫婦神となられた夫の伊邪那岐命さまは
最愛の妻の伊邪那美命さまのことが
どうしても
どうしても
あきらめきれません。

逢いたい
逢いたい
逢いたい

もう一度、逢いたい

愛する妻の葬送儀礼もおこないました。

伊邪那美命さまは、
日本の神さまの中で
いちばん最初の夫婦神の妻となられ
国土をお産みなり
神さまたちをお産みになった
初めての母親神さま。

そして、初めて亡くなられた神さまであり

初めて、死後の葬送をされた神さまなのです。

大いなる母神は、
鳥取と島根の間にある
比婆山にも葬られました。

参道IMG_1818

母と子神は、花の窟神社に

あるいは、
『日本書紀』によると
伊弉冉尊(いざなみのみこと……と、記されています)は、
紀伊国の熊野の有馬村に葬りまつる。
土俗(くにびと)、
此の神の魂(みたま)を祭るには、
花の時には亦(また)花を以って祭る。
又鼓(つづみ)吹き
旗旗(はた)を用て、
歌ひ舞ひて祭る

とあります。
紀伊の国とよばれる和歌山県と三重県の境で
三重県の熊野市有馬町に
御鎮座する「花の窟神社」さん。
この神社こそ、
神話にも、伊弉冉尊さまが葬られた御陵なのです。

古来より、ご神殿はなく
美しい熊野灘に面した
大きな、大きな
本当に大きな
45メートルもある
巨巌
そのものが
伊弉冉尊さまの
ご神体なのです。

また母神の死の原因となった
火の神の迦具土命(かぐつりのみこと)さまも
軻遇突智(かぐつち)
火産霊(ほむすび)と
母神さまのおそばに
「王子ノ窟」とよばれる
12メートルほどの岩に
お祀りされているのです。


そうです。
少し悲しい物語にも思えましたが、
母神子神さまともにお祀りされている。

なんだか、
ほっとしませんか?
嬉しくなりませんか?


そして、この「花の窟神社」さんは。
日本最古のお社の一つとして今も在るのです。


神話に綴られているように
季節のお花をお供えして飾り
伊弉冉尊さまをお祀りしたことから
花窟(はなのいわや)と
お宮のお名前がついたのです。

画像3

神話は今も生きている

年に二度の例大祭には、
伊弉冉尊さまのご神体である
大きく霊威の強い
巨岩窟の上から
境内にある松のご神木へ向けて
170メートルにも及ぶ
大きな綱をお渡しする
「御綱掛け神事」が
古来よりとりおこなわれています。
伊弉冉尊さま、子の軻遇突智(かぐつち)さまに
舞を奉納する
のです。

祭日毎年二月二日、十月二日両度なり。寛文記に昔の祭日には紅の縄、錦の幡、金銀にて花を作り散らし、火の祭と云ひしとあり。

遥かなる時空を超えて
神話の物語の神々は
今も、息づいていらっしゃる。
神々をお祀りする
祈りのこころ
信仰は
今もなお受け継がれています。

画像5

道なき道を切り開かれた母神


改めて、振り返ってみますと
伊邪那美命さまは、
すべて「初めて」のことをなさっている
道なき道を切り開かれていかれている。

私たち人間でも、
初めてのこと
誰もが経験していないこと
未知の分野
知らない世界

0から1へと踏み出す
ときの、不安と興奮
挑戦しようとする意欲
凄さ
勇気
芯の強さ
先駆者
まさにこの地上の
パイオニア!!


同じ女性として
ほんとうにすごい!!
そう、感じます。

初めて「死」も経験されて
黄泉の国にも旅立たれて……。

ある意味、
全力で
魂すべてで
“生ききられた”

そんな風に感じました。


女神・母神・伊邪那美命さまの
偉大さに
頭を垂れる想いです。

画像4

妻を失った夫神の想い

同時に、
そりゃあ、こんな妻が
最愛の妻が
人生の伴奏者が
突然いなくなった夫神が

悲しい
悔しい
寂しい

あ~逢いたい

どうしても、逢いたい

あきらめきれない!!

逢いたい気持ちはおさえきれない。

あ~~
妻を黄泉の国から
なんとか、連れ戻せないものか!!


そうです。
初の夫婦神の伊邪那岐命・伊邪那美命さまは
「結婚」の儀式だって
やりなおされたのですから……

死の国からだって
やりなおせるんじゃないのか?!

と、思われたとしてもおかしくないですね。

そして、伊邪那岐命さまは
愛する妻を追いかけて
黄泉の国へと
向かわれるのです。

画像5

―次回へ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?