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八岐大蛇退治 須佐之男命様の“変容”ことの葉綴り。其の百十六

八岐大蛇現る!


おはようございます。“サボり”屋の私が、今朝もお仕事前に、神話の物語に向かいます。
神様も“失敗”されて成長された物語。
須佐之男命さま、愛する櫛名田比売を守るため、
八俣の大蛇を退治することを決意します。

さて、どうやって八俣大蛇を退治するか?

須佐之男命さまは、知恵を絞り作戦を練りました。

櫛名田比売を、櫛に変えて、角髪につけて身を隠しました
父母の足名推・手名椎に、強い強いお酒と、八つの垣根、
八つの桟敷、八つの酒樽を用意してもらいました

夜のとばりがおりると、風に血の匂いが混じってきます。
やがて地をゾロリゾロリと這うような音とともに
八俣大蛇がその怪物の姿を現しはじめたのです。

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一つの体に、そこに檜、杉、キノコやコケが生えて、体中から血を流してただれています。
八つの頭には、真っ赤な熟れたほおずきのような恐ろしい鋭い目と、八つの尾。
その身は、八つの谷と山を越える距離があります。

足名椎・手名椎は、木の影に身を寄せ合い隠れて震えています。

「足名椎の言ったとおり。こんな奴はみたことがない。
けれど、私が必ず、櫛名田比売と両親を守って見せる!」

杉の大木に身を隠している須佐之男命さまも、背筋が伸びる想いです。

八岐大蛇が動くたびに、大地に地響きがして、樹々がざわざわざわと鳴り、山もドシンドシンと揺れます。
どんどん血の匂いが強くなり、あたりに充満してきました。

八岐大蛇は、足名椎の家に近づくと、八つの頭が、垣根を越えて侵入しようとしてきます。

と、いったん、動きが止まります。
庭に据えられた八つの桟敷と、そこに強いお酒の匂いに気づいたようです。
すると、赤い目がぎょろりとひかり、長い舌が伸びてきました

手名椎は、恐怖のあまり、声をあげそうになります!
夫である足名椎が、手名椎の口をそっとふさぎ、肩を抱きます。
手名椎も震えが止まりません。
足名推は、「もう須佐之男命さまにお任せするしかない」
妻に、そう目で語りかけました。

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酒を飲む八岐大蛇


今日は、とてもいい酒の匂いがするぞ。

八俣大蛇は、酒が大好きでした。
八つの頭が、酒をみつけて、それぞれ赤い目を見合わせています。

八つの酒があるじゃないか。

須佐之男命さまは、「よし、その酒を飲んでくれ」そう祈ります。

八岐大蛇は、それぞれのお酒の入った樽に、
自分の頭を一つずつ
突っ込んで、お酒を飲み始めました。

舌なめずりをしながら、
うまい、うまい!
満足をして、お酒を飲むのをやめません。
最後は木の樽を壊してまで、好物の酒をなめています

すると、そのときです。
八岐大蛇の一つの頭が、突然動きを止めて
バタっと地面に臥しました

ドドンっと地面に地響きがします。

足名椎と手名椎は、ハッと息を呑み体が固まります。

ググーゥ、ググーゥ

大きな音が聞こえてきます。
そして、動かなくなり、赤い目も閉じてしまいました。

須佐之男命さまは、「その調子だ」と、大きく頷きます。

八俣の大蛇の、その頭は、強いお酒に酔って眠ってしまったのです。

やがて、ほかの頭も、一つずつ頭が地面に落ちて、
ググーゥ、ググーゥ
と、いびきをかいて眠っていきます

不思議そうに首を回した頭も、バタッドンと大きな身を大地にふせました。

最後の頭は、よほどお酒がおいしかったのか、満足そうに上を向いて大地に寝転がったのです。

八岐大蛇、八つの頭一つの身、八つの尾まで、強い酒に酔って
その場から動かずに、爆睡したのです

今だ~~!!!

須佐之男命さまは、腰にさしておられた、
十の拳の長さほどある「十拳剣(とつかのつるぎ)」を、
颯爽と抜かれると
八岐大蛇に、勇ましく斬りかかられました

八つの頭、八つの尾、身を、
ずたずたに斬りきざまれた
のです。

あまりの血の量が肥の川に流れ込むと、川は真っ赤になりました。

須佐之男命さまは、愛する人を護ると
肚を決められて、
ただ無心に、
ただ強く、
同時に、軽やかにしなやかな身の動きは
まるで舞うがごとくに
八岐大蛇を、成敗していきました

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草薙の剣と三種の神器

八つの尾の、真ん中にある尾に、十拳剣を振り下ろしたときです。

カッキーン

須佐之男命さまの両手に、ものすごい衝撃が走りました。

尾の中にある、何か堅いものにぶつかったようです。

みると、十拳剣の刃がかけていたのです。

ええ? なんだ?

これは怪しいと思われた須佐之男命さまは、八岐大蛇のその尾を
縦に切り裂いて、のぞいて見ました。

すると、そこには、とても鋭く光る美しい大刀があらわれたのです!

あまりにも不思議で、意味があるに違いないとお考えになった須佐之男命さま。

後日談ですが、八岐大蛇退治のあと
高天原を統べる、姉の天照大御神さまに
地上に降りてからの、ご自身の変容と
八岐大蛇を退治したこと
ご自身が大切な存在と出会い結婚されたことなどを
ご報告申し上げました。
そのときに、この八岐大蛇の尾から出た太刀を
天照大御神さまに、献上します

この太刀こそは、「草薙の剣」(くさなぎのつるぎ)なのです。

愛知県の名古屋市にある「熱田神宮」さまのご神体の御剣です。

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神話の物語「天孫降臨(てんそんこうりん)」のときに
天照大御神さまは、孫神の邇邇芸命(ににぎのみこと)に
お授けになった「三種の神器」

そのおひとつとなったのが、この「草薙の剣」です。

あとは、天照大御神さまが、「天の石屋戸」からお出になるために
八百万の神さまたちが、お祭りをしましたね。
そのときに作り使われた「八咫の鏡」(やたのかがみ)と、
「八尺瓊勾玉」(やさかにのまがたま)

「八咫の鏡」と「草薙の剣」は、
第10代崇神天皇様のときに、
あまりにも強いご神意を畏れて、宮中から、お出になります。
「八咫の鏡」は、皇女豊鋤入姫命(とよすきいりひめのみこと)さま、
そして第11代、垂仁天皇の皇女倭姫命(やまとひめのみこと)さまが、永遠にご神事を続けられるところを探し巡幸されて
やがて「伊勢の神宮」にお祀りされました


そして、「草薙の剣」は、その後「熱田神宮」にお祀りされて、
「熱田大神」(あつたのおおかみ)として、
今も、お祀りされているのです。

神話は今も生きている! ってつくづく思いませんか?

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―次回へ

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