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結びの力で 神様も失敗して成長した 大国主神⑦ ことのは綴り 其の二二

第二夜の試練と須勢理比売の助け

「人生に失敗がないと 人生を失敗する」
こんにちわ。更新復帰11回目。昨日は久しぶりに一日外でお仕事でした。
そして、心優しき、元祖“いじめられって子”大国主命さまの「ヒーローズ・ジャーニー」もう7回目になりました。

根の堅洲国(かたすくに)で、6代前のご先祖でもある須佐之男命さまから、巨大な毒まむしたちの寝床である「蛇の室戸で一晩を過ごせ」と、無理難題をかけられた、大穴牟遅神(おほなむじのかみ)様。
けれども、運命の出会いをした須勢理比売(すせりひめ)さまの、助けがあり、無事に一夜を過ごすことができました。

第一関門、突破~!!

安心したのもつかの間、須佐之男命さまから、次なる命がけの“サバイバル”が与えられます。
って、なんだか冒険ゲームみたいですよね。そうした今でも私たちを虜にしてくれる“冒険話”の元型も、神話にみることができるんです。
そう思うと、古も今も、そしてきっと未来も、何か一つのもので“つながっている”気がしませんか?

さて、では、大国主神さまに与えられた次の試練とは……

翌日の夜、「お前はこの部屋で休みなさい」と、大穴牟遅神さまが入れられる部屋は、
「百足(むかで)と蜂の室屋」でした。
床には百足たちが、ゾロゾロはっています。
空中には、蜂の軍勢が、ブンブン飛び回っています。
床に座ろうにも百足に刺されるし、立っていても蜂たちが襲ってきます。
刺されると痛いし毒もあるし
身の置き場もありません。

そこでも助け船を出したのは、愛する須勢理比売さまでした。
「これは、蜂の比礼(ひれ)です。ムカデと蜂が襲ってきたら、この布を三度振ってお祓いしてくださいね」
比礼とは、古代の女性が、首から左右にかけて垂らしていた、今でいうスカーフやショールのような布で、邪を祓う力をもっていたのです。

(こんな感じ)

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大穴牟遅神さまと須勢理比売さまは、恋人同士。2人で力を合わせて、この試練に立ち向かう決意をされていたのでしょう。
大穴牟遅神さまは、美しい比礼を受け取ると、須勢理比売さまとみつめあい、しっかりと頷いて、ムカデと蜂が待ち受ける部屋へと、入っていったのでした。

大穴牟遅神さま、葦原(地上)にいたときと、どこか違いを感じませんか?
もはや、心優しいけれど、ナイーブないじめられっ子ではありません。
強い信頼関係に“結ばれた”恋人
その“つながり”が、青年神の大穴牟遅神さまに、勇気を与えました。


産霊(むすひ)のこころ

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神道では、むすひ(産霊)というものを大切にします。
これは、天地、万物のあらゆるものを生成・発展させていく神霊の働きをさします。
むすは生みだし、ひは霊力。
人と人の縁も、結ぶといいますよね。
大穴牟遅神さまと須勢理比売さまも、“むすばれ”て二柱の神さまは、互いに成長・発展していっているのです。
一人よりも、信頼できる、大切な人との、結びが産み出していく力も教えてくれている気がします。
また、お米を手でにぎる、「おむすび」も、この「産霊(むすひ)」からきています。

須勢比比売さまの比礼を三度振り祓うと、不思議や不思議、ムカデも蜂も室戸の隅にいき、とても大人しくなっていきました。

そのおかげで、大穴牟遅神さまは、その夜も、ぐっすりと眠りにつくことができました。
どんな夢をご覧になったのでしょう。
愛する須勢理比売さま、葦原にいる優しい母神さま、因幡の白兎……
夢で、身心のお疲れをおとりになりました。

翌朝
すっきりと爽やかな顔で「おはようございます」と現れた大穴牟遅神さまの姿を見て
ご先祖であり、恋人の父でもある須佐之男命さまは、内心、こう思われたのです。

「こ奴、なかなか勇気もあるじゃないか、優しいだけじゃない、しぶとい奴だ。では、今度は、こ奴には智慧があるかどうかを試してみるか……」


須佐之男命さまからの試練は、まだ続くのです。

とはいえ、怒りや恨み、嫉妬に狂った兄神たちと、大穴牟遅神さまの間には、信頼関係は結ばれていません。
傷ついたところを、大穴牟遅神さまのアドバイスに従い、傷を癒した白兎は、大穴牟遅神さまのことを、信頼したでしょうし感謝もしたでしょう。
その「結び」つきにより、白兎は。傷だけではなくこころも癒されたはずです。

そして、大穴牟遅神さまと須勢理比売さま。
二人で懸命に難関を乗り越えようとする、強い信頼関係と
共に惚れあっている愛情
大穴牟遅神さまは、困難な中にあっても、その温かく確かな「結びつき」を感じて、どこかこれまで味わったことのない「幸せ」も感じていたのではないでしょうか。

人生で困難にあっても、信頼しあえる相手、それが恋人、夫婦、友人、家族、愛犬や愛猫かもしれない……そうした信頼できる「結び」は、生きる力をサポートしてくれます。
私たちも、そんな「結び」のご縁が、身近にあるかもしれません。
それも美しい「宝もの」です。

あなたの「結び」の「宝物」は誰ですか? 


次回へ――

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