見出し画像

天照大御神さまの言よさし④ 神様も“失敗”して成長した ことの葉綴り。百二八

“婿”殿になっていた!?


おはようございます。雨音がする朝、「ことの葉綴り。」のひとときです。
神さまも“失敗”を経験されて成長されていく神話の物語。
地上の豊葦原の水穂國は、我が御子が治めるべき国」と、言よさしをされた天照大御神さま

天照大御神さまの男神の第二子・天菩比神(あめのほひのかみ)さまが、葦原中つ国へ派遣されましたが、3年たっても音沙汰なし!

高天原では、神さまの会議をひらいて、
次に、天若日子(あめのわかひこ)を、地上へと遣わせました
ところが……。

ところが、8年たっても
なしのつぶて
音信不通!!

天若日子さまは、何をしていたでしょうか?

さきに遣わされて、大国主神さまにとりこまれた天菩比神(あめのほひのかみ)さまと同じでした。

地上に到着した途端、大歓迎を受けて、大喜び

豊かに稲穂が実る葦原中つ国を案内されて、その素晴らしさを見学し。りっぱな御殿も与えらえて、毎夜もてなしをうけて、
楽しい日々を送るうちに、いつまでもここにいたい!

とう思うようになっていました。

私の娘の下光比売(したてるひめ)を嫁にいかがか?

そこに大国主神さまから、なんと縁談まで持ちかけられたのです。

天若日子さまは、快諾し、大国主神の娘の下光比売と結婚し、
”婿どの“になっていたのです!!!

画像4

そして、天照大御神さまから委ねられた使命のことなど
すっかり眼中になく、いえ、忘れさってしまい、
それどころか、葦原中つ国の王、大国主神さまの“婿”に
“息子”となったのだから、いずれは、自らが、中つ国後継ぎとして出雲国の王に、わがものになるはずだ! 

なんて、野望を持つようになっていたのでした。
野心家だったのですね……。
嫁を手に入れ、野望を持った天若日子は、
8年もの長い間、なんの連絡も取ろうとしませんでした。

後継者を巡り……なんて、今のドラマにもありそうです。

神代の時代には、天上と地上を舞台に
こんな攻防があったのも、おもしろいですよね。

高天原から派遣された、天菩比神(あめのほひのかみ)さまといい、天若日子(あめのわかひこ)さまといい、地上の国を
よほど、暮らしやすく楽しい場所と感じられたのでしょうか。
それとも、様々な苦労をして英雄になられ国造りをされた
酸いも甘いもなんのその、の大国主神さまからすると
若き2柱の神は、なんてことなく、取り込める相手だったのでしょうね……。

画像3

雉の鳴女(きざしのなきめ)

天照大御神さまと、高御産巣日神さまは、
また八百万の神々を集めて、問われます。

天若日子が、地上の葦原中つ国へと降りて早や8年
いまだなんの音沙汰もない。
またいずれかの神を、地上へ遣わせて、
天若日子が、久しく地上にとどまるのかその理由を聞かねばなりませぬ。

ここで知恵の神の思金神は、こう提案します。

雉の鳴女(きざしのなきめ)を遣わせましょう

鳴いて喋るのが上手な雉の女神が、
今度は天照大御神さまの言向けの伝令を果たすことになりました。

思金神は、雉の女神にこうことづけます。

なぜ8年の長きにわたり、使命を果たさず、何の連絡をしてこないのか? と問いただしてくるのですよ。

かしこまりました

画像2


そう返事をするやいなや、雉の鳴女は、超高速スピードで、
地上へと舞い降りていきました。

豊葦原の中つ国の出雲の国へ。
天若日子が妻と暮らしている家の
桂の木の枝に止まりました

そして美声を響かせて、天照大御神さまからの伝令を
鳴いて知らせた
のです。

天若日子よ、あなたはなぜ、この地上に降りてきたのか?
天照大御神さまの言向けはどうしたのか?
あなたは、この地上の荒ぶる神々を説得するためではないのか?
なぜ、命令に背き8年間も何をしているのですっ?!!
天若日子よ~聞いているのですか?!


雉の鳴女は、けんめいに何度も何度も
伝令を伝えます。

それを耳にしたのは、天若日子に仕えている、
天佐具売(あめのさぐめ)という鳥の鳴き声を聞いて
吉凶を判断する巫女
でした。

天界と地上では、雉の声の聞き取り方も違うのかもしれません。

この天佐具売には、その泣き声は、うるさいものとして聞こえました。

おお~なんと朝からうるさく鳴くことか!

雉の鳴女は、伝令の鳴き声を
さらに声を大きくして懸命に鳴いて伝えようとしています。

巫女の天佐具売は、よけいに苛立ち嫌な顔をしました。

おお~なんとうるさくいまいましいことか!
天若日子さま、あれは、不吉ないまいましい雉です。
はやく、射殺してください!!!!

地上で妻と暮らし、いずれこの国を我が物にと、
野心の固まりとなっていた、天若日子さまには
天界からの伝令の雉の声は、届かなかったのでしょうか……。

天若日子さま、どうされるでしょうか?

20200706最後IMG_0570

―次回へ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?