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陸路・海路の神誕生 伊邪那岐命 ことの葉綴り。其の八三
「境」を守る神 後編
こんばんは。夕刻ですが「ことの葉綴り。」に向かえました。
黄泉の国から葦原中つ国に戻ってこられた伊邪那岐命さま。
死者の国でついて穢れたものを取り払われます。
すべて、脱ぎ去ります。
すると、その杖、帯、袋、衣、袴、冠、腕輪、珠飾り……から
次々の神さまがお生まれになったのです。
杖から衝立船戸神(つきたつふなどのかみ)
村境で、悪霊や邪気を防いでくださる神さまです。
帯からは、道之長乳歯神(みちのながちはのかみ)
長き道をつかさどる岩の神さま。
袋からは、時量師神(ときはかしのかみ)
穢れを“とき”はなつ神さま。
衣からは和豆良比能宇斯能神(わづらひのうしのかみ)
苦悩や困惑を祓ってくださる神さまです。
袴からは道俣神(みちまたのかみ)
悪霊邪気を分かれ道で迷わせて守ってくださ神さま。
冠からは飽咋之宇斯能神(あきぐひのうしのかみ)
罪や穢れを食べて清めてくださる神さまです。
お名前もユニークな神さまの誕生は続きます。
陸路・海路の神
伊邪那岐命さまの左手の腕飾りの腕輪から
奥疎神(おきざかるのかみ)。
この“おきざかる”は、沖へと遠ざかるの意。
奥津那芸佐毘古神(おきつなぎさびこのかみ)は、
“なぎさ”=渚の波打ち際です。
興津甲斐辯羅神(おきつかいべらのかみ)の“べら”は、境。
沖と渚をわける境の神さまです。
この三柱の神さまは、
穢れは沖の方に流れていく様を現します。
一方の右手の腕輪からは、
邊疎神(へざかるのかみ)。邊は辺(へ)で、海岸。
邊津那芸佐毘古神(へつなぎさびこのかみ)
“なぎさ”は、波打ち際の渚のことです。
邊津甲斐辯羅神(へつかいべらのかみ)の、“べら”は、海辺と渚の「境」。
この三柱の神さまは、海岸の彼方へ穢れが流れゆく様を表します。
わかりますか?
左手は「奥」、右手は「邊(辺)」と対になっています。
こんなふうに、神話の神さまは対になっていることも多いですね。
この杖から生された「衝立舟戸神(つきたてふなどのかみ)」から
邊津甲斐辯羅神(へつかいべらのかみ)まで十二柱の神さまは、
すべて、伊邪那岐命さまが、身につけられていたものを
脱ぎ捨てられて誕生したのです。
最初の六神は、陸路(くにがのみち)の陸上の神さま。
後の六神は、海路(うみつぢ)で、海上の神さまです。
この十二神の誕生をご覧になった伊邪那岐命さまは、
こうお考えになり言葉にされました。
上つ瀬は瀬速し。
下つ瀬は瀬弱し。
「上流は流れが速い。下流は流れが遅い」
そうして、何も身につけない裸のまま
その間の中流の瀬に降りられて
水中に潜られて、我が身と心についた
穢れを洗い清められていきます。
―次回へ
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