天皇と兄の寵愛を受けて 垂仁天皇⑥神話は今も生きている ことの葉綴り。二八四
夫に寵愛される皇后
こんばんは。今夜も夜深くなって「ことの葉綴り。」タイムです。
第十一代垂仁天皇(すいにんてんのう)の神話の物語に入ります。
伊玖米入日子伊沙知命(いくめいりびこいさちのみこと)こと、垂仁天皇(すいにんてんのう)は、即位された後、師木の玉垣宮(しきのたまがきのみや)で天下を治められました。
そして、叔父の日子坐王(ひこいますほう)の娘である、佐波遅比賣命(さはぢひめのみこと・沙本毘賣命)を皇后に娶ります。
ここからは沙本毘賣命(さほびめのみこと)で書いていきます。
垂仁天皇は、皇后の沙本毘賣命(さほびめのみこと)を、とてもお大切に思い寵愛されておりました。
従妹同士ですから、子供時代から憧れた比賣(ひめ)なのかもしれません。
そして、皇后の沙本毘賣命(さほびめのみこと)には、沙本毘古(さほびこのみこと)という兄がおりました。
ある日のことです。
皇后の沙本毘賣命(さほびめのみこと)は、兄の沙本毘古(さほびこのみこと)に、「大切な話がある」と、呼び出されました。
兄の突然の告白
そして、向き合った兄からこう問われたのです。
夫である天皇と兄である私と、そなたは、どちらを愛おしく思うているか?
沙本毘賣命(さほびめのみこと)は、驚いて息をのみます。
言葉がでてきません。
兄は、まっすぐな強い視線で沙本毘賣命(さほびめのみこと)を見つめています。
頼む。正直なそなたの心を聞かせてほしい!!
沙本毘賣命(さほびめのみこと)の胸中に、さまざまな思いがよぎります。
夫である垂仁天皇(すいにんてんのう)は、私のことを、とても愛してくれている。それは十分感じている。
けれど……けれど……。
とはいえ、私は、天皇に嫁いだ身……。
我が愛する妹よ。
頼む、そなたのほんとうの気持ちを聞かせておくれ!
皇后、女心の本心
ああ~そうだった……小さなころから、私はずっと、この兄上のことが大好きだった。兄上の笑顔が好きだった。
誰よりも……。
古来においては、同じ母から誕生した、兄弟姉妹の間の結婚は、許されていたのです。
夫のことも嫌いではない。
でも、でも……。
そして、沙本毘賣命(さほびめのみこと)は、
気がつくとこう言葉にしていたのです。
兄(いろせ)ぞ、愛しき
兄上のほうが愛おしい……です……。
兄の沙本毘古(さほびこのみこと)は、たいそう嬉しそうに頷きました。
嬉しい、嬉しいぞ。我が妹よ。
兄の沙本毘古(さほびこのみこと)愛しい妹の肩を抱き寄せます。
そして、耳元でこう言葉を続けたのです。
嬉しいぞ。
夫よりも兄の私を愛してくれているというなら……………………。
そのあとの兄の言葉に、
皇后の沙本毘賣命(さほびめのみこと)は、
ただ、ただ驚愕し身動きすることも、
まばたきすることもできませんでした……。
ええっ? 禁断の恋?
兄は妹に何を言ったのでしょう……。
うーん、気になりますね~。
なんだか物語が、風が、大きくうねり吹いていきそうです!
―次回へ
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