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酒と八つの垣根と門 須佐之男命様の“変容”ことの葉綴り。其の百十五

長所短所は裏表で一つ


おはようございます。小雨の朝、神話の物語に向かいます。
神話は今も生きている!
神様も“失敗”されて成長された物語。
須佐之男命さま、愛する櫛名田比売を守るため、
いよいよ八俣の大蛇との戦いが幕をあけました。

幼児っぽい“やんちゃな荒くれもの”とは、もう違います!
愛するものを守るために、大蛇に向かう
“英雄”に変容されています。


須佐之男命さまは、穢れも祓われた清きまっすぐな心で
勇壮迅速、剛き、愛情深い……と、
もともとのご神威が、発露し、光輝かれていました

私たち人間も、自分のためというよりも
大切な存在を守りたい!
そう思ったとき、強くなれますよね

また、誰しもが、それぞれに「特性」があり、
その「特性」が、素直に現れたときには、
それは「魅力」となります。

例えば、須佐之男命さまであれば、
そのスケールの大きさ、強さが
自我中心のワガママに出たときは、泣きわめくことで、
自然を破壊し、高天原での“暴力三昧”となりました。
スケールが大きいだけに、“被害”も甚大です。

けれど、同じ資質、特性が、
自己を超えた、大切な存在のためにと
方向が変わったときには、
勇猛果敢な勇気と強さになります。

私たちも同じですよね。
たとえば、何か一つに打ち込むことができるとして、
それは、“周りが見えない”、となることもあれば
“ものすごい集中力を発揮”と、
同じ特性でも、振り子の方向が違うだけで
あらわれるものとして、「長所」と「短所」として
まったく違って感じられます

けれども、実はその特性の裏表で、
実は、一つ……。

そう思うと、自分や周りの人のことも
違う視点でみることができますよね。

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作戦を練る

さて、須佐之男命さまは、大敵の八岐大蛇に
ただがむしゃらに戦いを挑まれたわけではありません。

知恵を絞られて作戦をたてられたのです。

ここも、”おう~大人になられて~”って感じがします。

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そして、櫛名田比売の父母、足名推、手名推に
こう協力をお願いしました。

「どうか、あなたたちは、何度も何度も繰り返し醸造した、
ものすごく強いお酒を大量に作ってほしい。
それから、垣根をつくり、この家の周りに巡らして、
八つの門をつくります。
その八つの門ごとに、八つの桟敷(さじき)を構えておきます。
その桟敷ごとに、酒船(酒樽のこと)を置いておくのです。
そして、強い酒をなみなみと酒船に満たして、
八岐大蛇を待ち受けるのです」


年老いた足名推・手名推夫婦は、須佐之男命さまに言われたとおりに、強い酒を造り、垣根を巡らし、門をつくり
八つの桟敷に、その酒船を置いて酒を満たしましていきました。

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戦い直前

やがて山奥の村に陽が沈み、夜のしじまが訪れました。

足名推、手名推も、ひっそりと息を潜めています。

あたりが闇に包まれた中、風の中に、血生臭い匂いが立ち込めてきました。

八俣大蛇が、その姿を現したのです!

足名推が、言っていた通り……なんとも恐ろしい!
こんな奴は見たことがない……。

八俣大蛇を目にした須佐之男命さまは、
身の毛がよだつのを感じたのです。

須佐之男命さまは、ご自身の角髪(みづら)にさした、櫛名田比売を櫛に変えた櫛に手をあてます。

必ず、私が守って見せる!

”はい、あなたさまなら、きっと成し遂げられます"

櫛に触れると、櫛名田比売さまのその霊力により、ご自身が守られているように思えました
大切な存在のために、いっそう慈しみの気持ちがこみ上げてくるのを感じたのでした。

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―次回へ

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