出雲大神の光で祓う 本牟智和気王10神話は今も生きている ことの葉綴り。三一三
光をつかむ龍神雲さま
こんにちは。今朝、お参りにいく途中で、光の玉を加えたような龍神雲さまをみつけましたよ!
「ことの葉綴り。」の神話のふりかえりとまとめはこちら!
生まれて初めての言葉!
さて、神話の物語を続けます。
“もの言わぬ皇子” 本牟智和氣王(ほむちわけのみこ)は、お供の曙立王(あけたつのみこ)と、弟の菟上王とともに、無事に出雲に辿りつき、すぐさま、出雲の大神さまにお参りを果たしました。
すると、出雲の岐比佐都美(きひさつみ)はじめ地元の人々が、
神代の神話に由来する肥の河のほとりに、仮の宮殿を建てて、
本牟智和氣王(ほむちわけのみこ)一行を、温かく迎え入れてもてなしてくれました。
出雲の地元のご馳走がふるまわれ、岐比佐都美(きひさつみ)の挨拶が終わると、本牟智和気王(ほむちわけのみこ)は、突然立ち上がり、宮殿の廊下へ出て、何か考えことをしながら、外の自然を眺められたのです。
「あっ……」
本牟智和気王(ほむちわけのみこ)の目に光が宿ったかに見えました。
「こ、この肥の河の川下に見えている青葉の山のごときのようなものは、山のように見えるが……本物の山ではあるまい」
その場にいた、誰もが目を見開き、耳をそばだてました。
曙立王(あけたつのみこ)一行はじめ、あまりの突然のことに、誰も動くことができません。
な、なんと、“もの言わぬ皇子”本牟智和気王(ほむちわけのみこ)が、しっかりと、皆に聞こえるような声で、言葉を発したのです。
本牟智和気王(ほむちわけのみこ)は、少しみなのほうへと顔を向けて、そして再び、目の前の景色へと視線を送ると、静かに、けれどしっかりと強く、こう続けられたのです。
「あれは山に見えるが、山にはあらず……。
もしや、出雲の石くまにあるという曾の宮に鎮座まします
葦原色許男(あしはらしこを)の大神をお祀りされているご祭壇ではあるまいか?」
そうしっかりとお話をされると、出雲の岐比佐都美(きひさつみ)のほうへ首を向けて、優しく問われたのです。
本牟智和気王(ほむちわけのみこ)の声を初めて耳にした曙立王(あけたつのみこ)と、菟上王(うなかみのみこ)は、あまりの喜びから、涙で顔がぐしゃぐしゃになるほどでした。
皇子さまが、祟りが祓われて、み言葉をお話になられた!
すぐさま、大和の天皇に、早馬を走らせてお知らせするのじゃ!
そして、曙立王(あけたつのみこ)は、急ぎ、配下のものと都へと早馬を走らせました。
大国主大神の光で祓う
ここで、本牟智和気王(ほむちわけのみこ)が、口にした「葦原色許男(あしはらしこを)」は、お名前が沢山ある大国主大神のお名前の一つです。
これまで、“もの言わぬ”皇子だった本牟智和気王(ほむちわけのみこ)が、出雲の大神さまこと、大国主大神さまへお参りしたあと、夢に現れた大国主大神さまが仰られた通り、祟りが静まり、
生まれて初めて、言葉を発せられたのでした。
しかも、「葦原色許男(あしはらしこを)」と、大国主大神さまの名を、発せられたのです。
きっと、大国主大神さまの、御神威が、光が、気が、本牟智和気王(ほむちわけのみこ)のお身体と心を貫かれて、“祟り”を、祓われたのかもしれませんね!
一宿の肥長比賣(ひながひめ)
みな、誰もが喜びの中にいました。
本牟智和気王(ほむちわけのみこ)一行は、出雲の檳榔(あぢまさ)の長穂宮(ながほのみや)に、案内されていました。
その夜のことです。
こちらで、お休みください。
そう促されて、長穂宮のある部屋に入ると、
私は、一宿肥長比賣(ひとよひながひめ)と申します。
と、本牟智和気王(ほむちわけのみこ)の前に、一夜を共にするという、美しい比売(ひめ)が現れたのです。
―次回へ
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