神代から続く国技発祥 垂仁天皇①神話は今も生きている ことの葉綴り。二七九
伊玖米入日子伊佐知命(いくめいりびこいさちのみこと)
こんにちは。金曜日の日の暮れ「ことの葉綴り。」のひと時です。
さて、今日から神話の物語は、第十一代垂仁天皇の御代へ突入いたします。
初國知らしし御眞木天皇(はつくにしらしし みまき すめらみこと)が身罷られると、御子である、伊玖米入日子伊佐知命(いくめいりびこいさちのみこと)が、皇位を継承され天皇に即位されます。
第十一代、垂仁天皇(すいにんてんのう)です。
この御子の母は、大毘古命(おほびこのみこと)の娘の御眞津比賣命(みまつひめのみこと)。
そうです。
崇神天皇が、もっとも信頼を寄せた、叔父であり舅で「四道将軍」の大毘古命(おほびこのみこと)。
垂仁天皇は、この大毘古命(おほびこのみこと)の孫にもあたります。
垂仁天皇は、母方でみると、第八代孝元天皇(こうげんてんのう)のひ孫にあたるのです。
父方、母方とも、天皇の系譜なのですね。
そして、この御代にも、悲恋あり、反乱あり、悲しい御子の物語、
さらには、伊勢の神宮の創建と……とってもダイナミックな物語になりそうです。
天皇の御子、王(みこ)も十六柱と、子だくさんです。
また漢字が多くなりますが、その系譜からはじめたいと思います。
宜しくお願いします。
それでは、垂仁天皇(すいにんてんのう)の御代の物語。
はじめましょう。
纏向珠城宮(まきむくたまきのみや)
伊玖米入日子伊佐知命(いくめいりびこいさちのみこと)は、
師木(しき)の玉垣の宮(奈良県の磯城郡)で即位をされて、天下を治められました。
「纏向珠城宮(まきむくたまきのみや)」と呼ばれました。
今も、奈良県桜井市に「纏向珠城宮跡(まきむくたまきのみやあと)」に、宮跡の石碑が立っています。
そして、垂仁天皇(すいにんてんのう)の御代に
この天皇の前で、初めておこなわれたことがあります!
今にも続く、日本の国技です。
その「発祥の地」でもあるのです。
なんでしょう?
相撲発祥の由来
野見宿禰(のみのすくね)と
当麻蹴速(たいまのけはや)が、力比べをした。
そうです。
相撲!!
相撲発祥の地なのです。
あるとき、配下の大臣が垂仁天皇のにこういいました。
「当麻に当麻蹴速(たいまのけはや)というとても勇ましく強いものがおります。いつも周りのものに、『この広い世の中を見渡して子、私の力にかなうものはないだろう。どうにかして強者と出会って、ただひたすら力比べをしたいものだ』と言っております」
それをお聞きになった天皇は
「そうか。私は、当麻蹴速(たいまのけはや)が天下の大力士ときいた。
もしや、これに敵うものはおらぬだろうか?」
すると一人の大臣がこう語ったのです。
「はい。私は、出雲の国に、勇者がいると聞いております。
名を野見宿禰(のみのすくね)と申します。
この人を召して、当麻蹴速(たいまのけはや)と取り組ませてはいかがでしょう」
すぐさま、出雲に使いがだされて、野見宿禰(のみのすくね)がやってきました。
歴史初の「天覧試合」
古来のお相撲は、今とはちがって、足で蹴ってもよかったそうです。キックボクシングみたい?(^^)
いよいよ、歴史初の天皇の御前での、相撲の試合がはじまりました!
最初の「天覧試合」です!!
野見宿禰(のみのすくね)と当麻蹴速(たいまのけはや)。
垂仁天皇(すいにんてんのう)が見守られる中、
両者は土俵で向かい合います。
取り組みがはじまると、力自慢同士、思い切り足で蹴り合っての、激しいとりくみあいです。
うっ……
悲鳴とともに、当麻蹴速(たいまのけはや)がうずくまりました。
野見宿禰(のみのすくね)が、当麻蹴速(たいまのけはや)のあばら骨を折り、腰も踏み砕いてしまいました。
出雲から来た、野見宿禰(のみのすくね)が勝利します。
これが、相撲のはじまりです。
埴輪と野見宿禰(のみのすくね)
負けた当麻蹴速(たいまのけはや)は命を落としてしまいます。
勝った野見宿禰(のみのすくね)には、当麻蹴速(たいまのけはや)の土地が与えられたそうです。
そこからその土地は、「腰折田(こしおれだ)」と呼ばれたそうです。
野見宿禰(のみのすくね)は、そのまま垂仁天皇(すいにんてんのう)にお仕えしました。そして、垂仁天皇が、それまでの殉死の風習をあらためられたときに、人の代わりに埴輪をつくることを、進言したそうです。
垂仁天皇(すいにんてんのう)は、相撲の天覧試合で出会い、仕えた野見宿禰(のみのすくね)を、信頼していたのですね。
纏向珠城宮(まきむくたまきのみや)の近くには
「相撲神社」も!
神代から続く相撲の天覧試合!
すごいですよね。
今も国技として続く大相撲。
神話の物語から、ずっとずっと続いているのです!
あれ? 系譜からはじめるつもりが、相撲発祥のお話になってしまいました(笑)。
―次回へ
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