天照大御神様の復活を願ひ ことの葉綴り。其の百二
お祭りをしよう!
おはようございます。今朝、神社にお参りしたときの朝日。その光のあまりの煌めきと美しさに感動したサボり屋さんです。
“神様も失敗して成長した”物語。
太陽の姫神・天照大御神さまが、天の石屋戸へと“ひきこもられ”てしまい、真っ暗闇の夜だけの世界になってしましました。
ありとあらゆる禍に満ちてしまいました。
高天原を統べる、若きリーダー不在となり起きた大ピンチ!
天照大御神さまの光の尊さ、偉大さがよけい身にしみて困りきった八百万の神さま、全員集合されて、
ここは、みんなでなんとかしなければ……。
天の安の河原に集合されて、会議をひらかれました。
困り果てて意見が出ない中、森羅万象の誕生・生成を司る神
高御産巣日神(たかみむすひのかみ)の御子で、
智恵の神さま・思金神(おもひかねのかみ)さまが、
あらん限りの智恵を絞られて、
天照大御神さまを、天の岩屋戸からお出ましいただく
ある“アイデア”が生まれたのです。
知恵や思いが光り輝く思金神さま。八百万の神さまへこう提案します。
天照大御神さまは、弟神の須佐之男命のあまりの傍若無人さ。
ひどい暴力に傷つかれてしまわれて、堅い岩窟の中へ
籠られてしまいました。
わたしたちは、姫神の傷ついたお気持ちをおなぐさめしましょう。
八百万の神さまたちは、「なるほど」「さすが智恵の神さまだ」「賛成します」と、みんな、納得し頷かれました。
神々のみなさま、ありがとうございます。
姫神がお隠れになられた石屋戸の前で
みんなで一丸となって、お出ましと光の復活を願うお祭りをいたしましょうぞ。
鶏鳴三声(けいめいさんせい)
そして、天の安河原から、天照大御神様がお隠れになった
石屋戸へと向かわれました。
そこで、思金神さまは、まず最初に、神々や祖先の霊魂が暮らすといわれる「常世の国(とこよのくに)」から来た、長鳴鳥(ながなきとり)を集めました。
そして、「カケコー」「カケコー」「カケコー」と、三度鳴かせたのです。
鶏の「コケコッコー」は、世界共通の、朝が訪れた印ですよね。
この鶏の鳴き声こそ、太陽の出現をうながして、神聖なる朝陽が輝いて、闇にすくう悪神や悪霊を追い払うといわれているのです。
ちなみに、伊勢の神宮の内宮にも、「神鶏」が放し飼いにされていますよね。
ご覧になったことありますか? 会えるとラッキーと言われているそうですよ。
二十年に一度、執り行われる「式年遷宮」のときにも、
儀礼のはじまりに、神域の灯りがすべて消されたあと、神職が、神鶏の鳴き声を真似して、「カケコー、カケコー、カケコー」と三度唱える、「鶏鳴三声(けいめいさんせい)」があります。
そして浄闇の中、「出御」の声とともに、天照大御神さまのご神霊は、新たな宮へとお遷りになられます。
すごくないですか?
今も、今もですよ~神話から受け継がれた儀礼。
神話は、古の物語です。過去のもの。
でも、絵空事ではなく、
日本では、神話が、今も生きているのです。
それを私たちは受け継いできているのです。
ご神体の「鏡」づくり
続いて、天の安の河の河上にある、「天の堅石(あめのかたしは)」、まさに堅い堅い石を取ってきました。
そして天の金山の鐵(まがね)、鉄を取り、
鍛冶師である鍛人天津麻羅(かぬちあまつまら)を探しだし、
伊斯許理度賣命(いしこりどめのみこと)に命じて
鏡をつくらせました。
「鏡」は、古来から、剣や玉とともに、古代の祭祀の御霊代(みたましろ)や、神社の神さまのご神体とされています。
伊勢の神宮のご神体も、天照大御神さまが、孫神の邇邇芸命さまに授けられた「八咫鏡(やたのかがみ)」です。
さらに、玉祖命(たまのやのみこと)に命じて、
大きな大きな、八尺の勾玉(やさかのまがたま)がついている長い玉の緒をつくらせました。
太陽の姫神・天照大御神さまの復活を願って
八百万の神さまたちは、それぞれの特性を生かし
お祭りに向けた準備を始めたのです。
―次回へ
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