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最後の試練 神様も失敗して成長した 大国主神⑨ ことのは綴り 其の二四

 

須佐之男命さまからの最後の試練

「人生に失敗がないと 人生を失敗する」
こんにちわ。更新復帰13回目。テレワークのおかげで更新続いています。
心優しき、大国主命さまの「ヒーローズ・ジャーニー」。
“いじめられっ子”だったのはもう過去のよう。すでに勇気と知恵のある恋する青年神様へと成長されていると思いませんか?

根の堅洲国(かたすくに)で、6代前のご先祖でもある須佐之男命さまから出された難問で、火の海に囲まれ絶対絶命のピンチ!
そこに現れた根棲み(ねずみ)のアドバイスにより、命拾いをした大穴牟遅神さま。
愛する人が亡くなったと悲しみ泣きながら、お弔いの準備までしていた須勢理比売さま。
そこに、凛々しく焼け跡の荒野から大穴牟遅神さまが立ち現われます。
我が目を疑ったことでしょう。
夢ではないかと思ったことでしょう。
絶望の涙から、須勢理比売さまの流した涙は驚きと喜びの涙にかわりました。

須佐之男命さまも、たいそう驚かれたでしょう。
「こ奴、なんというやつだ。あの猛火の中を生き延びるとは……」

第三関門も突破~!!!

それでも、まだ大穴牟遅神さまの試練は続いたのです。

その夜のことでした。
須佐之男命さまは、大穴牟遅神さまを、根の堅洲国の宮殿にある「八田間の大室(やたまのおおむと)という、大広間に呼びつけました。

須佐之男命さまは、床に寝転がると
「おい、私の髪の毛にいる虱(しらみ)を取ってくれ」
と、大穴牟遅神さまに命じられました。

「かしこまりました」
大穴牟遅神さまが、近づいて須佐之男命さまはの頭を見てみますと……

虱(しらみ)?  
いえいえ、須佐之男命さまの巨大な頭の髪の毛にいたのは、虱(しらみ)ではなくて
たくさんの大きな百足(むかで)がうじょうじょしていました。

頭に百足がいるなんて、ありえませんよね。
さすが、元、アウトロー荒ぶる神の須佐之男命さまです。
ワイルドさが半端ないです。
どんだけ、強く威勢がありスケールの大きな神様かを感じてしまいます。

困ったのは大穴牟遅神さま。
虱(しらみ)を取る、というのは、
見つけた虱を口に入れてかみ殺して吐き出すという流れらしいのですが……。

さすがに百足を口では噛み殺せませんし、口に入れるだけで口中を刺されてしまいます。

大穴牟遅神さま、思案のしどころです。

さあ、どうする? 


愛する須勢理比売さまと乗り越えて


そこに愛する須勢理比売さまが現れて、椋(むく)の木の実と、赤土を、そっと大穴牟遅神さまに差し出しました。

???

須勢理比売さまは、視線を椋の木の実と赤土に落とし、そして父神の須佐之男命さまの頭皮に目をやり、また椋の木の実と赤土に戻し、そして大穴牟遅神さまを無言で見つめます。

そうか! わかったぞ!!  ありがとう!

大穴牟遅神さまは、須勢理比売さまを見つめて、しっかりと頷くと
椋の木の実を、口に入れて歯で噛んで、音と立ててつぶし、赤土も口に含むと
勢いよく、吐き出しました。

そうです。須勢理比売さまは、ムカデの代わりとなる椋の木の実と、それをつぶしたように見える赤土を、大穴牟遅神さまに授けたのです。

なんというナイスアイデア
内助の功!!

大穴牟遅神さまは、木の実を口でつぶし、赤土を吐き出すことを繰り返します。

須佐之男命さまは、すっかりと“騙されて”。
「こ奴はいいつけ通りに虱とりをしているのか。ういやつめ~かわいい奴だ」と
心の中で愛おしさを感じながら、安心したのか眠ってしまいました。

大きな大きな鼾をかいて、ぐっすり眠っています。

油断をした須佐之男命さま。
大穴牟遅神さまは、見逃しませんでした。
「私は、ここにいてはだめだ。また殺されてしまう」

大穴牟遅神さまは、その瞬間、一大決心をしたのでした……

次回へ――

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