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歓喜の歌を詠む 須佐之男命様の“変容”ことの葉綴り。其の百十七

人生はやりなおせる


おはようございます。“サボり”屋の私が、今朝も神話の物語に向かいます。
神様も“失敗”されて成長された物語。
須佐之男命さまは、八俣の大蛇を退治し、
愛する櫛名田比売とその両親を守りました。

そして、八岐大蛇の尾から出てきた鋭利な太刀を
高天原にいる姉神の天照大御神さまに献上しました。

やんちゃな荒くれものは、過去となりました。
須佐之男命は、罪を贖い、清め祓いにより
苦労と痛みを知り、成長されて、“生まれ変わり”
愛する姫神と出会い、
自分より大切な存在を、お大切にするこころ
慈しみのこころから
愛する妻を守るために、勇気と知恵で戦う
「英雄神」へと、「変容」されたのです。

私たち人間も、失敗や困難に負けそうになることもあります。
間違いをしでかすこともあります。
けれど、須佐之男命さまのように、
人生の“失敗”だと思っていたことが、
自分を成長させる糧になり、栄養になり
小さき殻を破って、器を大きくするきっかけにもなる。

自分より大切な人がいることで
地をはいつくばっても、なんとか立ち上がろうとする
勇気が湧く。
あきらめることなく、一歩を踏み出すことができる。
人生で“どん底”のときに、
ケンカしたり、会いずらいと疎遠になった人にも
時を経て、経験を積んで、
過去の自分の非力さ、傲慢さを受け入れて
関係を修復して、
再会することも、あります。
須佐之男命さまが、姉の天照大御神さまに
草薙の剣を奉ったように……。

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須佐之男命の物語は、
自分に自信がない。
自分のことを好きになれない。
過去を引きずっている
“やっちまった”経験がある
生きるのが不器用だ
ワガママから人生に失敗した
決して“優等生”じゃない、
アウトローで
不器用で、
でもナイーブで、繊細なところもあって……

そんな多くの人たちへの“エール”になる気がしませんか?

サボリ屋で、無謀で天然でワガママで、“失敗だらけ“の私は(苦笑)とても、励まされます!!

人生、何があっても、
“失敗”だと思っても、
その経験は、“修行”だと糧にして、
やり直せるのだ! って……。

さて、物語に戻ります。

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愛妻との新居

八岐大蛇を成敗し退治した須佐之男命さまは、
櫛名田比売さまを、正式に妻に娶られます。

当初、須佐之男命さまは亡くなった母上に会いに、
根の堅洲国へといくはずでしたよね。

けれど、須佐之男命さまは、そうはなさいませんでした。

愛する妻の櫛名田比売とともに、
新婚夫婦神として、ご一緒に暮らすための宮殿を
出雲の地に求めた
のです。

出雲の地のどこが良いかと歩かれて
ある大きな原っぱの美しい場所に出会われました。
今でいう島根県雲南市。昔は大原郡だったそうです。

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そこにお立ちになり、風を御身で受けられて天を仰ぎます。

「あ~この地に立つと、我がこころが清々しい!!」

たいそうお喜びになられます。

清め祓われたあとの気持ちよさ、爽快感、清らかさを
体感されたのです。

「うん、ここがよい」

と、その場所を、そのお気持ちにちなみ
清々しい(すがすがしい)から、「須賀」とお名づけになり、
そきに櫛名田比売さまと暮らすための宮殿をお造りになった
のです。

八岐大蛇を退治したときのように
幾重にも、垣根を巡らせました。

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初めての和歌

須佐之男命さまが、「愛妻とこの地で生きる」と、
須賀にお宮をつくろうとなさったときです。

空に美しい八重の雲が、立ち上りました。

あ~なんて美しい雲なのだ。

出ずる雲……まさに、出雲の名にふさわしい!

白く気高く神々しい!

私たちを祝ってくださっているようだ。

あ~ありがたいことだ。

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須佐之男命さまの頭に、これまでの道のりが思い浮かびました。

どん底だったときを思えば、今、自分が立っている場所が
どれほど幸せなことなのか

あ~ほんとうにありがたい

須佐之男命さまは、そのときの御心を歌に詠まれたのです。

八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに
八重垣作る その八重垣を


大空に八重に立ち上る美しい雲
このわき出ずる雲が、八重の垣となり
私たちの暮らす宮殿を取り囲んでくれている。
私は、櫛名田比売という妻を娶り
そこに私と妻夫婦を守り籠らせるように
雲が立ち、八重の垣をつくってくれている。
なんと、ありがたく美しく、素晴らしい
祝福の八重垣であることよ~

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苦労の末に、つかまれた初めての幸せ!!
最愛の妻とのこれからの希望にあふれた
歓喜に満ちた御歌ですよね

そして、この御歌は、日本で初めての和歌です。

この「須賀の宮」には、須賀神社さんがご鎮座されています


和歌発祥の地。あ~お参りにいきたいです。


そして、この須佐之男命さまの御歌から始まり、古来から、歌は、ずっと詠み継がれていきます。
歴代天皇陛下の、ご使命には、
祭祀を執り行われ
国民、国家の安定をお祈りしてくださり、
そして、和歌をお詠みになることもあります。

それが、今にも続いている。
歴代天皇陛下がお詠みになる和歌を、「御製(ぎょせい)」といいます。
「御勢」も、国民の幸せを祈る和歌なのです。

今年1月16日に行われた令和初の「歌会始」
お題は「望」

天皇陛下は、ご訪問先の学校で施設で出会ったこどもたちの声が響渡る情景に、将来が明るくあれと、願う和歌を詠まれました。


御製

学舎(まなびや)に ひびかふ子らの 弾む声
さやけくあれと ひたすら望む


神話の物語の須佐之男命さまの初めての和歌から
そして、2020年令和の今まで……。

神話は今も生きているのです!

20200625IMG_2230最後


―次回へ

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