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才能を活かす凡人は、天才を救う

全てのプロセスにいる、今挑戦しようとしている人に捧げる本

こう筆者が宣言する「天才を殺す凡人」は、自分を知り、さらにそれを仕事に活かす方法を、ストーリー形式で説明する。

尊敬する社長を守ろうとする会社員・トオルに、急に動き出した渋谷のハチ公・ケンが才能についての講義をする話だ。

タイトルから勘違いするかもしれないが、凡人が天才になるための本ではない。天才を凡人から守る本でもない。

凡人、秀才、天才いずれかの才能を活かし、過去最高の自分に出会うための本だ。

・一番の悩みの元になるもの
・自分の才能を理解する方法
・才能に合った武器を鍛える方法
・才能を活かすも殺すも自分次第

一番の悩みの元になるもの

ハチ公は、人の悩みはコントロールできないものをコントロールしようとすることからくると断言する。

そして、人間が一番コントロールしたがり、そのせいで悩むものは才能だという。

人生はな、配られた才能で戦うんしかないんや。どのカードが当たるかはわからん。けど、『あぁ天才に生まれたかった』『秀才に生まれたかった』そんなこと考えるのはほんまに時間の無駄や。大事なんは、自分に配られたカードが何かを知ること。そしてそのカードの使い方を知ることなんや。

強いカードをもらう人も、弱いカードをもらう人もいるから、負けることもたくさんある。それでも、勇気を出して配られたカードで勝負し続ければ、「才能は絶対磨かれていく、そして見たことない自分に出会える」のだという。

それに、天才・秀才でいるのも良いことばかりではない。天才は孤独を味わい、秀才は天才への劣等感に苦しむ。

だからやはり、どんなに最強のカードを持っている人であっても、配られたカードのマイナス面を受け入れ、自分のカードで戦うしかないのだろう。

自分の才能を理解する方法

では、具体的に自分のカードとは何なのだろうか。この本では、才能を三種類に分ける。

創造性:独創的な考えや着眼点を持ち、人々が思いつかないプロセスで物事を進められる人
再現性:論理的に物事を考え、システムや数字、秩序を大事にし、堅実に物事を進められる人
共感性:感情やその場の空気を敏感に読み、相手の反応を予想しながら動ける人

天才が、創造性。秀才は、再現性。そして凡人には、共感性の才能がある。

しかし注意したいのは、私たちは、三つのうちどれか一つの才能を持っているというわけではないということだ。

そうではなく、大抵の人はそれぞれの才能を少しずつ持っている。そして、その優劣によって天才や凡人などのカテゴリーが決まる。

しかし、世の中の天才を凡人が殺してしまうように、自分の中の天才としての才能も、自分の中の凡人が殺してしまいやすい。これが、世の中には天才と呼ばれる人が圧倒的に少ない理由だという。

では、その自分の才能を活かしきるにはどうしたらいいのか。そこで登場するのが「武器」だ。

才能にあった武器を鍛える方法

自分の才能を最も表現しやすい『方法』、それが武器や。才能は形になって初めて、人に伝えられる。その『媒体』やな。この『武器』は、どんな才能ある人でも、絶対に鍛える必要がある。生まれながらにして、ピアノを弾ける人間はいないやろ?それと同じや。

武器といっても、そんなに珍しいものではない。

創造性には、起業や音楽。再現性には、マネジメントや数字。共感性には、マーケティングやSNS、写真の相性がいいという。

早熟の天才というのは、早い段階で自分に合う武器を見つけた人。そして逆に、どれだけの才能があっても自分に合う武器を鍛えない限り、世に知られず終わる。

種類に関わらず、自分に備わった才能を活かすには、自分に合う武器を鍛えることが必要なのだ。

さらに、最終的には場面に応じて「今は創造性を発揮したいから『アート』を使おう、再現性を発揮したいから『数字』を使おう」と使い分けられるようになるのが望ましい。

才能を活かすも殺すも自分次第

この本では、天才を殺さないためのルール、そして他のカテゴリーの人とコミュニケーションを円滑にするコツなども教えてくれる。

ハチ公・ケンは、上記の天才が殺されやすいという性質も含め、大抵の人が凡人のカテゴリーに入るという。

確かに、「どうせ天才には勝てない」「そもそもの才能が違う」といった言葉をよく聞くし、私の心にも根付いている自覚がある。

しかし、そこで天才への幻想を抱き続ける限り、私たちは前に進めない。

自分が凡人であることを認め、その才能を生かそうとして初めて、自分の中の天才の素質も輝き、他の天才・秀才と同等に戦える可能性が出てくるのだ。皮肉ながらも、世の中はある意味、平等にできているのかもしれない。

自分を理解し、過去最高の自分を目指して進むために、本当に読んで良かったと思える本だった。主人公・ケンの成長を見守りながら、一緒に新しい一歩を踏み出しましょう。


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