大人の読書感想文『金持ち父さん貧乏父さん』を読んで、逆に「お金のために働くこと」の大切さに気づいた話。
今日は読書感想文です。
先日、知り合いに勧められてこの本を読みました。
いろんな意味で知っている人は知っている、お金に関する考え方を書いた有名な本です。
ベストセラーの本でもありますが、マルチ商法の勧誘に使われることが多く、そういう意味でも有名です。
内容自体は良いものでしたが、確かに勧誘につかいやすいと思う中身でもありました。
(この本に罪はない!悪用する人が悪い!笑)
ちなみに今回は勧誘ではなく、シンプルに知り合いに勧められて読みました。笑
そしたらびっくり!笑
この本は『お金のために働く考え方をやめて、お金持ちになろう』という気づきを与える内容なのですが、逆に『お金のために働くことって大切だ』と改めて気づくきっかけになりました。
ということで、今回はそう思った経緯を忘れないように記録に残そう!という読書感想文です。
よければお付き合い下さい!
◎作者はどんな人?
『お金のために働くことが大切だ』と思った経緯を説明するために、まずこの著者の生い立ちや、この本を書いた理由を説明したいと思います。
『金持ち父さんと貧乏父さん』というタイトルの通り、著者(主人公)には2人のお父さんがいます。
2人のうち実の父親はとても真面目な人ですが、貧乏なお父さんでした。主人公は幼少期からこのお父さんと生活し、あまり裕福ではない暮らしをしていました。
しかし小学校の友達など主人公の周りの人は、お金持ちばかりの環境で、生活も全然違うことを目の当たりにしていました。
そういったきっかけから主人公は自分もお金持ちになりたいと思い『どうやったらお金持ちになって、好きなことが出来るようになるか』ということを考え大変な努力をしました。
その結果、実際にお金持ちになって何にも不自由しない暮らしを得ました。
この本はその経験を元に「どうやったらお金と時間に不自由せず、いつでも好きなことが出来る暮らしをもてるか=お金持ちになれるか」ということを、かなり具体的に書いた本です。
つまり、普通の一般人がお金持ちになるための方法が分かりやすく、実践しやすいように書いています。
(お金の使い方・考え方や実際に著者が行った投資の方法など)
あとがきの最後には『あなたが手にしている人生というすばらしい贈り物に、大きな富としあわせが訪れますように。』ともありました。
この本が最初に発売されたのは1997年のアメリカです。アメリカは日本よりも貧富の差が激しく、社会問題になっています。貧困率(貧しい人の割合)は世界で第4位。世界的に見ても貧しい人が多い国です。
そういった内容や背景から著者は自分の経験を踏まえて、『同じようにお金で苦労している人達が、みんな自分のように努力して、時間・お金の面で自由になって幸せになって欲しい』という気持ちでこの本を書いたのではないか、と推測できました。
◎著者が考える「お金持ちになる方法」は
突然ですが、もし自分が収入を増やしたいと思ったとき、どんな行動をしますか?
今でこそ『投資』が注目されていますが、今までであれば収入を上げるには「転職」や「昇給を狙う」といった「どうやって働いて稼ぐか」を考えるのが一般的だったかと思います。
そんな世の中だったときに、ロバートキヨサキはお金の知識をつけ、お金のつかい方を変えて「不動産や株式投資などによる収入=不労所得を増やすこと」が収入を増やす方法だと説きました。
そうすれば、仮に頑張っても賃金が上がらない状況でも収入が増えて、やがて働かなくても満足な収入や資産がある状態になる、という考えです。
簡単に言うと“「お金のために働く」のではなく「お金に働いてもらう(資産で収入を得る)」ことに集中しよう。
そうすればいつか「時間・お金に縛られず好きなことができる=経済的自由を得られる(お金持ちになれる)」、「自分が働くかどうか」も選べるようになる。”と呼びかけています。
『働かなくてもお金がある状態』『好きなことができる状態』をつくるって、とっても響きが良いし、魅力的。
では実際に、みんなが経済的に自由になり「お金のために労働すること」をやめ、「労働が選択制」になったらどうなるでしょうか?
◎お金のために働くのをやめたら
ナウル共和国
実はそんな国が存在しました。(私もびっくり!)
「ナウル共和国」という国です。
太平洋に浮かぶ小さな島国で、領土は品川区と同じ大きさくらい。国民は13,000人くらいです。
実はこの国、一昔前まで国民全員が超リッチな世界一裕福な国でした。
医療、教育、公共料金はタダ。毎年国から莫大な年金が振り込まれ、税金もありません。
毎日好きなものを食べて遊んで暮らし、国民の約9割が働いていない『みんなが経済的自由』な国でした。
こんな裕福な国になった理由は、リン鉱石という資源が国にあったから。
外から働きに来た外国人を雇って資源の採掘をしてもらい、それで得たお金でリッチになっていました。住民たちは人生で働いた経験が一度もないがほとんどの『働くことを知らない国』でした。
ですがそんな裕福にも終わりが来ます。
1990年代に資源が底をついたのです。
その結果、経済が破綻状態となりました。
2003年にはどこの国とも連絡が取れなくなり、国がまだあるのか誰も分からない状態になりました。国で唯一の電話が壊れてしまって。(どんな理由やねん!)
じゃあ生活するために何かしよう!と思っても、国民は働かずに済む手段を模索したしました。みんな「楽」しか知らない状態だったので。
その結果国は、国民に「労働とはと何かを教えること」から始めなくてはならず、国の立て直しが難航する結果になりました。
また、生活は保障されているけれど「お金のために働くことが出来なかった国」もありました。
◎旧ソビエト連邦
「お金のために働くことが出来なかった国」とは、世界史の授業にも出てくる、昔の旧ソビエト連邦(今のロシア)です。
この国は“社会主義”の国でした。
社会主義とは個人・会社などで資産をもたず、国が資産と経済を管理・利益分配し、すべての人々が平等な社会にする国の運営方法のこと。
この方法では生活を国が保障するので、経済的に困ることは基本ありません。
その代わり、労働者がどれだけ働いても賃金はあがりませんし、仕事のために努力や工夫をしても、何も変わりません。
いわば国のやり方が『お金のために働くことが出来ない仕組み』になっています。
その結果人々は『楽をすること』を選び始めます。そうして国全体の生産性が低下して経済が停滞するようになりました。
このような状態に政治家の不正などがあり、結果的にソビエト連邦は崩壊しました。
◎「お金のために働く」のには理由がある
私たち人間が何か努力をするには、必ず『努力する理由=動機』が必要です。
動機には大きく分けて2種類あります。
・外発的動機
収入や名誉(賞など)のため、罰則を逃れるためなど、外部から働きかけられる動機
・内発的動機
研究が面白いから、仕事を通じて成長するためなど、内面からでる自己の欲求を満たす動機
どちらにもメリット・デメリットがありますが、今回の話では「内発的動機」に注目しました。
内発的動機のメリットは活動への向き合い方が能動的になり、責任感や向上心が生まれること。それが活動の質の向上や自己成長につながって、より頑張りたいという意欲が高まることです。
活動が有意義に感じ、モチベーションが長続きする動機です。
しかし、デメリットはそもそも動機づけが難しいところ。個人の性格や興味関心によって、それぞれの動機形成の時期や速度、内容があります。性格的に内発的動機を作ることが難しい人もいます。
また、一度動機づけができても挫折を経験したり、関心がなくなると動機がなくなることもあります。
『みんなが経済的に自由になり「お金のために労働すること」をやめ、「働くかどうか選べる」状態』というのは、「お金という外発的動機」を取り除き「個人のやりたいこと=内発的動機」に大きく頼るということ。それではナウル共和国や旧ソ連のようなことが起きかねません。
だからこそ「お金という外発的動機」=『お金のために働くこと』も、重要になります。
また、「外発的動機」で働いている中での成功体験や興味関心、他者との関わり、振り返ったときの自己成長が「内発的動機」に繫がることも大いにあります。
例を上げると「なんか命令されてイヤイヤ始めた仕事だけど、やってみると意外と面白くてさぁ~」とか「ボーナスのために仕事頑張ったんだけど、そしたらいろんなお客さんに感謝されて、なんかやりがいも感じちゃったんだよね!」というような感じです。
そうやって「お金のため(お金で得る何か)のために働くこと」から、いろんな経験をすることが、気づかないうちに「人生を豊かにしている」こともよくあります。
そんな話を以前書きました。
人間はそんなデキた生き物じゃないからね。
みんなが善人で頑張る人なんてあり得ないもの。
だから、多少の強制力はあって良いと思う。
だから、「お金のために働くことも大切だな」と思ったの!
本を読んで思ったこと、懸念したこと
今回、本を読んで思ったのは『思想が強いな』でした。笑
「お金の知識をつけること」や「お金に働いてもらう(資産で収入を得る)こと」自体は、すごく良いことだと思います。(そのためにnoteもやってるし)
『お金がないからできない』『どうにもならない』と諦めたことを、問題解決してできるようになることは最高に素敵だと思う。
例えば「仕事が忙しすぎて、子育てに全然参加できない、子どもの行事にも行けない。」というような状態を、仕事量を減らすことで子育てに参加できるようにする。仕事量が少ない会社に転職して、給与が下がった分を不労所得で補うなど。
自分の理想のために「お金に働いてもらう」のは、すごく良いと思う。それを学ぶ本としては分かりやすく、面白かったです。
ただ気になったのは『お金を稼ぐために働く(労働する)』ことは良くない(中流以下がすること、お金持ちはしない)と強い言葉で何回も書かれていたこと。
雇われる側ではなく、雇う側にならなきゃ!搾取されたままになってしまうよ!という圧を少し感じました。
そのため、本を読めば『お金を稼ぐために働くことは悪だ』と、勘違いする人も出てくるのではないかと思いました。
(だからこそマルチ商法に悪用されやすい。)
生い立ちや格差が大きい背景を考えると、そう思うと思う。お父さんは何も知らず(知ろうとせず)に搾取されていたし。
けど、個人的には『お金に働いてもらう』ことも、『お金に働かされる(お金のために働くこと)』ことも大切だと思いました。
どちらでも良いと思うんです。自分が納得できれば。
問題は、お金に働いてもらうにしても、お金のために働くにしても、『得たお金で何をするか』『何のために働いているか』と、お金を得た先の幸せをちゃんと想像し納得して、行動することではないでしょうか?
そうやって「考えること」が、きっと人生を豊かにしてくれると思います。
こんな風に考える機会になったから、本としては良かったなーと思い読書感想文とさせていただきます!
何のために働くか、などについて書いた記事です。
ご一緒にぜひ!