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水越杏子(こしあん)
2021年11月30日 08:07
マフラーと手袋がいよいよ手放せなくなってきた。息を吸うと冷たい空気が肺を満たし、気が引き締まる思いがする。それが何とも心地よく、いつもは憂鬱な通勤列車を待つ時間が楽しく感じられる。「いうてる間に冬になってもうたなぁ」「やっと秋らしくなってきたさぁ」背後に立つ女性と私の言葉はほとんど同時だった。お互い思わず振り返って「えっ」と顔を見合わせた。「それ、どういう意味?」と聞く間もなく電車
2021年11月18日 22:13
いつも通りの時刻に目覚ましを止めた。目は覚めたが動けないまま、天井と見つめ合って時間が過ぎていく。何とか起き上がって冷えた水を勢いよく流し込むと、出勤ギリギリの時間だ。ドアノブを回そうとする手が意に反して抵抗してくるのを感じながら外へ出た。叫びたい衝動を堪えて何とか会社の前まで辿り着き、深呼吸をする。朝の冷たい空気が肺を満たし、少し冷静になった気がした。早く仕事を片付けて帰って寝ようと思い直して