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仏小説「赤いモレスキンの女」アントワーヌ・ローラン著 読書感想文

金箔職人の中年女性ロールは、自宅の前でいきなり暴行を受ける。
バッグを奪われたロールは命からがら自宅の前にあるホテルへ行き、職員の男性に事情を話して一泊するも、翌日容体が急変し病院へ運ばれてしまう。

一方、書店経営者である中年男性ローランは、出勤途中にゴミ箱の上に置かれたバッグを見つける。
ローランは警察へ持参するも、担当コーナーが混雑しており、提出しそびれてしまう。
自宅へバッグを持ち帰ったローランは誘惑に負けて中身を漁り、赤いモレスキンの手帳の記録を読み、ロールの人柄を想像する。
バッグの中に入っていた香水を部屋に放ち恋人に振られてしまったり、レシートをクリーニング屋さんに持ち込んで勝手にワンピースを引き上げてしまうローラン。

バッグの中身から想像しうる手立てを尽くし、ついにローランはロールの家へたどり着く。
ドアの向こうにいたのは、病院から知らせを受けて出来る限りの役目を果たしていたロールの同僚ウィリアムだった。
ウィリアムはローランをロールの恋人だと勘違いし、運命はさらに思わぬ方向へと進んでいく。

ローラン、ええからはよもいっぺん警察行きなはれー!!!
と何度思ったことでしょう。

ロールのバッグに入っていたサイン入り本の作者を公園で待ち伏せする暇あったら警察いかんかーい!
クリーニング店のレシート見つけて何ワンピース勝手に引き取りにいっとんじゃーい!
ウィリアムにロールの彼氏と間違われているってきづいたんやったらはよ否定せんかーい!
何ロールの猫と仲良うなっとるんじゃーい!

などなど、話の転がり具合にやたら悶えつつ、果たしてどんなふうにローランとロールは出会うのだろうというワクワク感が絶えませんでした。

ローランはバツイチで娘がいるのですが、さすがフランス、家族間があっさりしているので湿気ゼロ。
家族に引っ張られることがありません。
ローランの今までの恋愛や仕事の話に読者はしっかりと向き合うことが出来ます。

何でそうなる!という行動を取りまくるローラン。
白黒つけない人生の面白さを教えてくれた愛すべき主人公でした。
たぶん、私、あんたのこと忘れへんと思うわ。

※私はこの本に出会うまで知らなかったのですが、題名になっているモレスキンとは、イギリスの有名な手帳メーカーの名前なのだそうです。

表紙可愛い。Kindleで読みました。

https://www.amazon.co.jp/dp/B08QN2YHV1/ref=cm_sw_r_cp_apa_8YKKM2QGJYHMRGE2XRMS




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