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#アメリカ
「あざやかな闇」を切り取る方法について~あるいは、この時代の正体/『この、あざやかな闇 行きずりの人たちのスナップショットでたどる現代社会』より北丸雄二さんによる解説文を掲載!
父親の心臓発作の知らせから始まるこの、いかにもアメリカ的なテキストを読み進むうちに、私は大きな勘違いをしていたことに気づくことになった─ボブ・グリーンが好きだった。1980年代の後半、私は一世を風靡したこのコラムニストの描く叙情的な物語を読み耽って私のアメリカ像を築き上げた。だから「家に帰る時間になる。子どもたちが待っている」「僕が探し歩いてスナップ写真を撮った被写体だって、家に帰りたかったのだ
もっとみる長い旅に出る前に~ロードトリップfromポートランド
ある朝、ふと思いついて……
今から12年ほど前、ブルックリンのベッドの上で、私は白い天井をみながら悶々としていた。
夫はさっさと起きて会社へ行く支度をしている。毎朝の日課であるアイロンがけに彼は集中していた。
時折アイロン台がぎしぎしと軋む音が耳に入り、私はその音をBGMに、大げさながら人生を考えていた。
急に、ある発想が頭に浮かんだ。
そうだ、街中でニューヨーカーに声をかけて、話をしよう。
『フライデー・ブラック』著者ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー インタビュー
「僕たちは遠く離れてはいるけれど、誰もが人間で、みんな繋がっている。これは、愛のムーヴメントだということも忘れないで欲しい」
ミネソタ州ミネアポリスで起きた不幸な事件(警官による黒人男性への不適切な拘束とそれがもたらした男性の死)をきっかけに、全米へ、そして世界へと波及したBlack Lives Matter(以下BLM)運動。日本でも関心が高まり、関連する書籍が注目されている。2月に刊行した