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記事一覧

蜥蜴と尻尾

蜥蜴と尻尾

目の前に尻尾がある。
これは随分前に切り離したものだ。
あの時僕は天敵に襲われていて、必死に逃げていた。
そんなこともあったなと、自分だったものを見ながら懐かしむ。

目の前に尻尾がある。
これは少し前に切り離したものだ。
新しい環境に適応するためには、形を整える必要があった。
これこそが、自分が生きていく術なんだと僕は悟った。

目の前に尻尾がある。
これは最近切り離したものだ。
好きな人と一緒

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『煙になって』の後書き

こんばんは。
こまです。
数あるnoteの中から、私の記事を読んでくださりありがとうございます。

今回は、先日投稿させていただいた『煙になって』シリーズの後書きです。
このシリーズを書き始めた背景や、内容について触れていこうと思います。

まだ読んでない方は、
①『煙になって、』
②『煙となって。』
こちらを読んでから、読み進めていただければと思います。
どちらも3分程度で読める内容になっており

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煙となって。

煙となって。

※この小説は “煙になって、”をご覧になってから読み進めていただくことを推奨致します。

「まだあの仕事してんの?
あ、紙タバコやめたんだね。」

彼と別れて半年が経ったある日。
久しぶりに会いたくなって連絡してみると、二つ返事でお店まで決まった。
行きつけのあの居酒屋。
近況報告をしていく中で、ふとタバコが変わっている事に気がついたのだ。

「そうだよ。
もう吸えるお店が少なくなってきたからね。

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煙になって、

煙になって、

「まだあの仕事してんの?
あ、紙タバコやめたんだね。」

半年ぶりに会う腐れ縁との乾杯を終え、近況報告をしていく中でこんな話になった。
少しうるさいが、お酒も料理も美味しく居心地の良いこの居酒屋は、
彼女と一時期足繁く通っていた行きつけだった。

「そうだよ。
もう吸えるお店が少なくなってきたからね。
最近はめっきりこれ。」

そう言って持ってきた電子タバコを見せる。
紙はダメでも電子なら良いとい

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対処療法

生きていくためには、
時には休むことも必要。
生きていくためには、
時にはこんな文章を書くことも必要。

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「あのね、」の妄想

フォロワーから頂いたお題を元に書いた作品。
結末は神のみぞ知る終わり方にしたため、これから書くのはただの妄想です。
皆さんも皆さんなりの妄想を繰り広げてくれたら嬉しい。

それでもよければ、どうぞ〜。

"私" のイメージは、頭のいい優等生。
クラスの友達に、よく言えば頼られていて、悪く言えば仕事を押し付けられていた。
しかし、"あなた" の存在によってとうとう嫉妬までを向けられてしまうことになる

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あのね、

あのね、

あの人は窓側、1番後ろの席。
私は廊下側、1番前の席。

それは、まるで私たちを表すようだった。

友達が多いあの人と、
片手もいらない私。
気さくでクラスの中心なあの人と、
引っ込み思案で文字通り端っこにいる私。

「あんまり話したことなかったよね?」
わかってる、あなたはそういう人だ。
何が頼み事があった訳でもない。
まぬけかと思ってしまうくらい純粋な顔で話しかけてきて、気づけば相手を笑顔にし

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止まり木。

止まり木。

僕にはできることはあります。
それは貴方に寄り添うこと。
貴方のして欲しいことに、僕の全てを使います。
笑って、
泣いて、
悲しんで、
楽しんで、
そして、貴方と一緒にいます。
それで貴方が救われるなら。

僕にはできることはあります。
それは自分を捨てること。
貴方を受け入れるために、僕は僕を捨てられます。
常識も、
価値観も、
正しさも、
痛みも。
そして、貴方の全てを受け入れます。
それで貴

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期待、諦念。

期待、諦念。

僕に期待しないでください。
あなたの理想を押し付けないでください。
僕はあなたのロボットではありません。
僕には僕の考えがあります。
勝手に押し付けて、勝手に怒らないでください。

僕に期待しないでください。
僕にはあなたが面白いと思えるようなことはできません。
あなたが面白いと思えるようなことの、
面白さが全くわからないのです。
僕に楽しさを求めないでください。

僕に期待しないでください。

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一日

夜が嫌いだ。

過去のこと、
未来のこと、
考えてもどうしようもないこと、
嫌なこと。

やけに頭が冴えて、思考が巡る。
そして、徐に堕ちていく。

しかし、私は夜に生かされている。

夜は時間を止めてくれる。
誰も私に何も言わない。
誰も私を見ていない。

今だけは、私自身が否定されることはない。
そんな自由に、私は生かされている。

でも、

人格や容姿を馬鹿にしたり、否定する人
自分の物差し

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文章

文章

文章を書くことが好きだ。

昔から作文の授業が好きだった。
自分を表現できる一番の方法だったから。
文章は自分を曝け出せる唯一の場所だった。

文章を書くことが好きだ。

「簡潔に書いた方が伝わりやすい。」
もう何回言われたか覚えていない。
そんなものに価値はないのに。

迷路は過程を楽しむものだ。
最初から出口が分かってしまったら、
それは迷路ではなく、ただの道なのだから。

文章を書くことが好

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『万人受けは難しい』の裏話

こんばんは。
こまと申します。

数ある中でも、私のところまで足を運んで下さり有り難う御座います。

今回は、先日あげた
『万人受けは難しい』
の裏話です。

正直、所謂詩というものに解説や解答は野暮だと思っています。
しかしこれはあくまで「備忘録」であり、先日あげたものも「詩」である以前に「備忘録」なのです。
なので、こういうことを言いたかったんだな、と少しでも伝われば良いなと思います。

本題

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『万人受けは難しい』

「だから自分の好きなように行動したほうがいいよ」

でもその『万人受け』を辞めて、

自分の好きなように関わろうとするとき

もしも、そう言ったあなたが「好き」に入ってなかったとしたら

どう思うかな。

だから僕は今日も
『万人受け』を求めるんだよ

「耳触りのいいその声が、好きだと思った」

結局のところきっかけなんてものは、些細であり単純なのだ。
ドラマチックな展開も、運命的な出会いでもない。
ただ、たった一つの要素が私の心を奪い、
彼をもっと知りたいと思わせた。

いくつかのデートを重ねて、私たちは結ばれた。
私の告白は彼にとっては予想外の内容だったのか、素っ頓狂な顔をしていたので思わず笑ってしまった。

時間を重ねるごとに彼を沢山知り、

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