えにぐま

高校で国語を教えています。授業の作り方や、資料を共有します。たまに息抜きでエッセイを書…

えにぐま

高校で国語を教えています。授業の作り方や、資料を共有します。たまに息抜きでエッセイを書きます。

マガジン

  • 教材とか

    国語や教育に関することを書きます。読んでくれた人に少しでも役立てばと思います。ヘッダー画像は漱石山房記念館。

  • エッセイ

    国語や教育に関係のないことを書くためにつくりました。 ここは、私が自分の言葉を失わないようにするための場所です。 どうぞ、こっそりと読んでください。

最近の記事

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はじめに

 はじめまして、えにぐまといいます。私は高校で国語を教えています。  これまで、同じ教員や高校生の皆さんに向けて、Twitterで情報や教材の共有をしてきましたが、noteではPDFやdocxなどのファイルがアップロードできるということを知り、ここでも共有することにしました。  アップロードするのは、私がこれまで作成してきたプリントや、板書計画です。ファイル形式はPDFだけでなくdocx形式(いわゆるWordファイル)等でもアップロードするつもりです。そのまま加工して使え

    • 古文の敬語の導入で注意していること

      はじめに  先日、Twitter上で「古典文法指導の勉強会」に参加し、僭越ながら「敬語の指導」というテーマで自分の実践を報告をする機会をいただきました。せっかくなので、その内容をnoteにも残しておこうと思いました。以下が、報告をまとめたものです。  古典文法を指導するとき、どうしても「ややこしい」(生徒の言葉を借りれば「難しい」)という印象がつきまといます。その原因は様々ですが、この記事で焦点を当てたいのは、教える側からすれば「当たり前」になっている「暗黙知」が、初学者に

      • 国語から消えていく「味わう」

         書き終わって、知ったことを書き記すに止まってしまったことを反省しました。ですからこの記事は、ちょっとかためのエッセイということにします。同じ話題を扱った論文がある気がするのですが、図書館にも通えませんから、いま自分なりに考えたことをまとめることを大事しようと思い書いてみました。  国語の教科書を読んでいると、「味わう」という表現と出会うことがあります。つい先日、古典の教科書の学習目標から、古文が何を学ぶものだと示されているか、を見てみました。そこに「味わう」という表現がい

        • 古文は何を学ぶ科目なのか(教科書のねらいを俯瞰する)

           以前、教科書の「目次」を考えるというテーマで、国語総合の教科書から現代文の発問を全て取り出して分類してみました。今回は、古文について考えてみたいと思います。  「古典を学ぶことに何の意味があるのか」という問いは、国語の教員なら誰しも一度は投げかけられたことのある問いだと思います。私も、生徒から申し訳なさそうに「古典って何を学ぶ科目なんですか」と聞かれたことがあります。試験前の放課後、「だって意味ないじゃんこんなんー」と本音(弱音?)を吐かれたこともあります。  最近、Y

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        はじめに

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        • 教材とか
          11本
        • エッセイ
          2本

        記事

          言葉で人の言葉を奪う人

           匿名アカウントによる誹謗中傷が話題になっている。今に始まった話ではない。一昔前の匿名掲示板は、この比ではなかった。それが今になってこれほどまでに人々の注目を集める理由は、もちろんSNSの構造上の問題など色々あるだろうが、一番大きいのはおそらく数の問題で、多くの人間がインターネットの中に生きるようになった世界になったということに尽きるだろう。  去年、神戸市の小学校教諭が同僚をいじめていた事件が話題になった。報道の次の日、偶然私は朝礼放送で訓話をする当番にあたっていた。確か

          言葉で人の言葉を奪う人

          失敗から見る映像授業の作り方

           実際に授業を作る中で、教員がどのような試行錯誤と失敗をしてきたかを、経緯とともに残しておこうと思います。技術のある人からすればバカバカしいようなことで躓いていますが、同じように悪戦苦闘されている教員の参考や気慰めになればと思います。  はじめに2点、お断りがあります。 1.私が経験したこと・思考したことを順番に記述するので、わかりやすさやまとまりには欠けます。読みづらい記事かもしれません。 2.記事の途中で失敗作となった試作の動画を公開しています。その後、ある程度形になっ

          失敗から見る映像授業の作り方

          次のアニメを観て、後の問いに答えなさい。(アニメを例にした小説(文学)読解の講義録・後篇)

          「次のアニメを観て、後の問いに答えなさい。(アニメを例にした小説(文学)読解の講義録・前篇)」の続きです。 象徴性えに「象徴性とは、『ある具体的な事物に、抽象的なメッセージが隠されていること』だ。例えば、『四つ葉のクローバー』といえば、『幸運』の象徴だ。じゃあ、『鶴』とか『亀』はなにの象徴でしょうか?」 生徒「長生き」 えに「正解。じゃあ『白い鳩』は何を象徴しているかわかる?」 生徒「平和?」 えに「すばらしい。その通り。このように、『亀』とか『白い鳩』とか、目に見

          次のアニメを観て、後の問いに答えなさい。(アニメを例にした小説(文学)読解の講義録・後篇)

          次のアニメを観て、後の問いに答えなさい。(アニメを例にした小説(文学)読解の講義録・前篇)

           「小説読解」という言葉を聞くと、「小説」専用の見方・考え方のように受け止められそうですが、私は実は違うと思っています。  突然ですが、私は映画が大好きです。年間100本以上観ます。最近はNetflixやAmazon Prime Videoといったストリーミング配信サービスが普及してきて、家でも気軽に映画を楽しめるようになりました。  そうして映画やアニメ、ドラマといった映像コンテンツを観ているとき、「あ、これは小説の読解と同じ方法で説明できるな」と思うことがたくさんあります

          次のアニメを観て、後の問いに答えなさい。(アニメを例にした小説(文学)読解の講義録・前篇)

          NHK『視点・論点』で教養を身につける(高校1年生からはじめられる小論文対策)

           小論文対策というと、3年生になってから書き方の本を買って、受験する学部に関連する知識を詰め込むというイメージがあります。   1,2年生から学習を始められると良いのですが、進路決定もまだの段階の人が多いはず。加えて一般入試のことも頭に置くと、特定の分野の知識を収集しようとするのはリスキーに思えてしまい、大変困難です。よって、小論文が必要な入試方式を選ぶようになって初めて、小論文対策に着手するというスケジュールになるはずです。  ところが、総合型選抜(旧AO入試)で受け入れ

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          国語はなぜ自習できないのか(教科書の「目次」を考える)

           先の記事で、国語で学ぶ要素を分解し、整理するという話をしました。思ったよりも反響があり驚いています。おそらくは読者にとっても当たり前のことだったと思うのですが、今まで暗黙のうちに皆がそう思っているだけで、言葉にされていなかったのではないかと思います。  さて、学習の要素を整理したのは良いのですが、いざ教科書をめくってみると、どう勉強すれば良いか全くわからないというのが実際のところだと思います。というのも、学校の国語教科書は、基本的に生徒一人では学び進められない構成になってい

          国語はなぜ自習できないのか(教科書の「目次」を考える)

          清岡卓行「ミロのヴィーナス」で何を教えるか(「国語の授業は意味がない」になる仕組み)

           教材「を」教える授業の在り方から、教材「で」教える授業に変えていきましょうという話を、清岡卓行「ミロのヴィーナス(手の変幻)」の授業の紹介と共にお話していきます。  教員や高校生のほか、教育実習を予定している大学生の方にも読んで頂きたい記事です。 国語科の「課題」 少し堅苦しい引用からはじめます。平成30年公示の学習指導要領で示された、国語科の「課題」の一つです。 高等学校では、教材への依存度が高く、主体的な言語活動が軽視され、依然として講義調の伝達型授業に偏っている傾

          清岡卓行「ミロのヴィーナス」で何を教えるか(「国語の授業は意味がない」になる仕組み)

          現代文Bの授業ではじめのうちに話すこと(評論文ができるようになる10のコツ)

           国語総合や現代文Bの授業で評論文を扱っていく際、はじめのうちに話すことをまとめました。また、教員が国語を教えるときに気をつけることにも触れています。高校生の方にも読んで欲しい記事です。  厳密に言えば、私は初回の授業で自己紹介と簡単なゲームをしますので、これは2回目以降の授業で、本格的に内容に入っていく段階での話です。  おそらくどの教員も、初回の授業では自分のやりたいことや話したいことを準備していると思います。それは一年間の授業を通してその教員が伝えたいことをもっとも象

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          現代文(評論文)を分解して、整理する

           高校の現代文の授業で何度も繰り返してしまう話をまとめました。  要するに、パッキングされた「現代文」という概念を分解して、整理しましょうという話です。現代文を「分解」というと、「神聖なる国語という科目に分解なんてけしからん!」とお叱りを受けそうですが、全体を全体のまま教えることが難しい教育現場も実際にあるということは、否定できないはずです。  今回は、「現代文(国語)」を漠然と捉えて、「何を勉強すればいいかわからない」状態になってしまいがちな生徒に対して、科目で身につけ

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          国語の授業で使っているプリントのテンプレートを作ってみました

           さっそく教材をアップしていこうと思って、プリントのファイル一覧を見て立ち止まってしまいました。そもそも私達はどうやってプリントを作成しているんだろう?あるいは、誰に教わったんだろう?という疑問がわいてきたからです。  私は、誰かに教わってプリントを作成したわけではありません。我流です。おそらく、多くの人がそうだと思います。  ところが、せっかく優れた内容が盛り込まれていても、プリントのデザインのせいで見難いものになっていては残念です。私が生徒だった頃の記憶では、A4とB5

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