見出し画像

NHK『視点・論点』で教養を身につける(高校1年生からはじめられる小論文対策)

 小論文対策というと、3年生になってから書き方の本を買って、受験する学部に関連する知識を詰め込むというイメージがあります。

  1,2年生から学習を始められると良いのですが、進路決定もまだの段階の人が多いはず。加えて一般入試のことも頭に置くと、特定の分野の知識を収集しようとするのはリスキーに思えてしまい、大変困難です。よって、小論文が必要な入試方式を選ぶようになって初めて、小論文対策に着手するというスケジュールになるはずです。
 ところが、総合型選抜(旧AO入試)で受け入れる学生数が増えると言われている今後は、競争率が高くなることも見込まれます。

 また学校によっては総合的な探究の時間などで時間をかけて指導してくれる場合もありますが、そうでなければ従来の対策スケジュールだと他の学生と差をつけられない可能性があります。

 できれば、早い段階から小論文を書くのに困らない論の立て方や教養を身に着けたい。それも、苦にならない方法で。そこで、普段から気軽にできる勉強法を提案します。というか、おすすめの番組を紹介するだけです。

 それは、NHK『視点・論点』というニュース解説番組です。各界の著名人・文化人が毎日日替わりで出演し、現代社会の諸問題、世界情勢の解説を行います。番組の時間は10分で、解説の持ち時間は9分ほどです。短い時間なので、無理なく続けることができます。しかも、各界の本当に第一人者が、最新の話題を取り上げて解説してくれるため、高校生じゃなくても本当に勉強になります。私も毎回欠かさず録画して視聴しています。

番組情報

『視点・論点』
本放送 Eテレ
月曜 - 水曜 13:50 - 14:00
再放送 総合テレビ
火曜 - 木曜 3:50 - 4:00

各界の有識者や専門家が、世相や時代の潮流を読むオピニオン番組。国内外の諸問題をはじめ、科学・文化・現代芸術などテーマは多岐にわたります。さまざまな視点、さまざまな論点で "今"を見つめます。

 小論文対策でなくても、気軽に教養を身につける方法として高校生(というか大人も含めた全ての人)におすすめです。

この番組をおすすめする理由

1.時間の短さ

 番組の時間は10分、解説の時間は人にもよりますがおおよそ9分です。人間の集中力が続くのは10分までと言われますが、これなら集中力が切れる前に話が一つ終わりますので、他の勉強と比べればだいぶハードルが低いと思います。

2.各界の第一人者の解説で安心できる

 登場する解説者は、例えばノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授や、ゴリラの研究で有名な山極寿一京都大学総長、万葉集研究の第一人者である上野誠教授など、本当に豪華すぎる面々です。彼らが、場合によっては本1冊分ほどの教養を私たちにわかりやすい言葉で解説してくれるのです。

3.幅広くいろんな話題に触れられる

 毎回違ったテーマ(一部、シリーズがあります)の解説を観ることができるので、自分の興味によって偏ることなく、本当に幅広い話題に触れることができます。

4.番組をきっかけに興味のある学問分野がみつかるかもしれない

 そうすると、今まで全く知らなかった世界の、最新の研究成果を知ることになるわけです。例えば、私の大好きな回の一つに「まばたきの意外な役割」(https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/415591.html)という回があります。ちょっと内容を紹介します。

 人間は1分間に20回のまばたきをするそうです。その理由は、目を潤すためのものだと一般に思われていますが、調べてみると、目を潤すのに必要な回数よりも5倍も多くまばたきをしているということがわかったそうです。
 なぜ、必要数以上のまばたきをするのか?この疑問を、解説者の中野珠実先生は脳の観点からアプローチしました。彼女は人々に映画を観てもらい、観ている人たちのまばたきのタイミングを観察するという実験をしました。
 すると、まばたきのタイミングがほとんど同じという結果が得られました(!)。彼女はそこから、人間は見えているものの出来事から「まとまり」を見つけ、その切れ目で選択的にまばたきを発生させているということを突き止めた、という解説です。

 まさに、今まで知らなかった世界です。

5.毎回解説者が違うので、伝わりやすい「話し方」がわかるようになる

 毎回違う解説者の話を聞く中で、伝わりやすいと感じる回と出会うことになります。そうすると、どうしてこのひとの話し方は伝わりやすいのか?を考えることができます。伝わりやすい「話し方」とは、声だけでなく「話す順序」、つまり読み原稿(文章)の構成にもよります。伝わりやすい回の解説と出会うことで、こういう順番で説明すればわかりやすく伝わるのか、ということがわかるようになります。

6.ホームページでは過去1年分のアーカイブを検索できる

 できれば、録画して観るのが最も良いと思いますが、視聴が難しい場合もあるかと思います。それでも、ホームページにアクセスすれば過去1年分のアーカイブが参照でき、しかもフリーワードで検索することができます。これがまた非常に便利で、小論文対策の時期になってから必要な分野の情報を収集するときにも活用できるわけです。何と言っても、各界の第一人者が最新の話題を解説してくれるわけですから。

おわりに おすすめの回を紹介

 最後に、私のおすすめの回をいくつか紹介しておきます。

1.「南極から宇宙の謎に迫る」(田邊優貴子)

2.「共感力を必要とする社会」(山極寿一)

3.「『受益感』のある税の使い道とは」(井手英策)

4.「植物から見た世界の歴史」(稲垣栄洋)

5.「基礎学問が作る日本の未来」(村山斉)

6.「日本の教育格差」(松岡亮二)

7.「フリーランス人材と独占禁止法」(楠茂樹)

8.「個人情報 格付け社会を考える」(山本龍彦)

 他にも山程ありますが、きりがないので我慢します。どれも素敵な解説なので、ぜひ読んでもらいたいと思います。

 自分のおすすめの回を見つけてみて下さい。

 これを読んでくださった方が、今まで知らなかった世界に興味を持つきっかけになれば幸いです。

もしお役に立てたならば、サポートいただけると嬉しく思います。コーヒーを飲んで一服したいと思います。