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メディカル英語<問診>#2 既往歴についての質問

今回は問診#1の続きです。
受傷機転の聞き方は前回まとめたので、今回は既往歴についてです。
見出しの右にある#番号は、ポッドキャストのエピソード#です。


既往歴

以前に同じ怪我をしたことがありますか? #5

Have you had the same injury before?
Have you had this before?
Have your had this injury before?
Have you had this problem before?
Have you had a similar experience/problem before?
Have you had a similar injury before?

the sameというのは「全く同じ」という意味です。なので、例えば疲労骨折している患者さんに、以前も同部位を疲労骨折したことがあるか?と聞く場合は、最初の2つが使えます。
2つ目の"this"はその後に続くはずの"injury"や"problem""pain"を省略した聞き方なので、日本語での「これ、前にもやったことある?」というようなざっくりとした質問のイメージです。3つ目と4つ目はinjuryやproblemを省略しなかった時のフレーズです。
最後から2つ目は、「似たようなことが起きたことありますか?」や「似たような問題があったことありますか?」という聞き方なので、急性の怪我よりも慢性の怪我に対して聞く質問の仕方になります。そして、最後は、「似たような怪我はありましたか?」と聞いているフレーズになります。

前の怪我はいつ起きたのですか? #6

When was the last time you had this injury/problem?
When was the last time you (sprained your ankle)?
When was that/it?
When did the previous injury happen?
When was the most recent injury?
How many times have you sprained your ankle so far?

上記の「以前に同じ怪我をしたことがありますか?」という問いに対して、「はい」と答えられた場合、この質問をする必要があるかもしれません。1つ目の文が何にでも使える文です。2つ目の文は括弧内を当てはまる"怪我(動詞)と体の部位(名詞)"に変えて使ってみてください。例えば、「最後に腕を骨折したのいつですか?」は"when is the last time you broke your arm"になります。
3つ目のフレーズのthatとかitは、それまでに話していた以前の怪我のことを指しています。previousは、「前の」「以前の」という意味で、recentは「最近の」とか「近頃の」という意味です、the most recentは「一番直近で」という意味になります。
最後のフレーズは、「今までにあなたは足首を何回捻挫したことがありますか?」という意味のものです。なので、少し他のフレーズと毛色が違いますが、既往歴としては知っておいていい情報だと思います。

以前の怪我はどれぐらいで治りましたか? #7

How long did it take to heal the last time?
How long did it take for the previous injury to fully heal?
How long did it take for you to get back to practice/a game (at that time)?
For how long you had to sit out from practices and games at that time?
What was the recovery time for the previous injury?

日本語をそのまま英語にしたものが1つ目です。
2つ目は前の怪我が完全に治るまでにどれぐらいかかりましたか?という意味です。
3つ目は、「練習(試合)に戻るまでどれぐらいかかりましたか?」という言い換えです。
4つ目は、「練習や試合に参加できなかった期間はどれぐらいでしたか?」という言い換えです。"sit out"で「参加しない」という意味です。
最後は、「回復にかかった時間」はどれくらいかという言い換えをしています。

以前〇〇を怪我したことありますか? #8

Have you ever injured your (部位) before?
Have you (dislocated) your (shoulder) in the past?
Have you ever had (low back pain) before?
Have you ever experienced a neurologic problem in the past?

今痛いと訴えている箇所以外で「以前怪我したことあります?」って聞く場面で使えるフレーズです。
例えば、股関節の問題で来た選手・患者さんに「足首捻挫したことありますか?」と別の箇所の既往歴を確認する場面です。
1つ目の文の"injured"はざっくり怪我をするという意味なので質問としてはふわっとしています。「どんな怪我をしたのか」はっきりと聞きたいときは、2つ目の文で、前の括弧に「怪我(動詞)」と後ろの括弧に「体の部位(名詞)」を入れて聞きましょう。あとは単純に3つ目の分で、括弧内を「体の部位と怪我名」の合わせ技で作った名詞を入れて聞くこともできます。合わせ技の名詞とは"ankle sprain""elbow dislocation""rib fracture"などです。
最後のフレーズのneurologic problemは神経症状があるかどうかをきいています。

特別大きな怪我/病気をしたことありますか? #9

Have you ever had any major injuries or illnesses?
Have you experienced any serious injuries or illnesses before?
Have you ever suffered from any significant injuries or illnesses?
Have you had any pretty big injuries in your lower/upper extremity?
Have your had any relatively big injuries in your lower extremity?
Do you or did you have any significant health issues that you would like to mention?
Any troubles related to your health?

1つ目から3つ目は違う単語で同じことを聞いています。major、serious、significantはそれぞれ重大なとか深刻なという意味で使われていますが、それらに該当するのは、命に関わるような怪我や病気のことです。
pretty bigはそれなりに大きなというようなニュアンスで、relatively bigは比較的大きなという意味になります。lower extremityは下肢、upper extremityは上肢を指しますので、どちらでもその時にあった方を質問フレーズにいれて聞いてみてください。
do you or did youというのは、「過去に」と「現在」という2つの質問を同時にしています、なので「過去か現在に何か重大な健康の問題はありましたか?」という質問になります。health issueという言葉には、深刻なイメージがあります。これも命に関わるような病気や、長期の通院・薬の服用などがひつようなものをさしています。
troubleはissueより深刻度が低いので、カジュアルに聞きたい時には最後のフレーズを使ってください。

手術を受けたことはありますか? 手術についての質問 #10

Have you had surgery in the past?
Have you had any surgeries before?
And if so, what kind of surgery and for which part of your body?
Do your still have plates or pins in there? Or did you take it our?
Do you have any residual problems after the surgery in your daily life?
Do you still have numbness or tingling around your incision site?

最初の2つが「以前に手術をうけたことがありますか?」という意味のフレーズです。
そして3つ目は、「そうだとしたら、どのような手術で、どこの部位に受けましたか?」というフレーズです。なので、この3つ目のフレーズは、1つ目か2つ目のフレーズで質問をしたら、相手が答える前に続けて質問してしまいましょう。相手がすでに手術の既往があるかどうかに答えてくれた後だったら、相手の答え方にもよりますが、それがいつだったのかやどんな手術だったのかを聞きましょう。
pins or platesは日本でもピンやプレートと言われていますね。他にはボタンbuttonsやボルトboltsなどが手術で使われるものの代表格だと思うので、その時に合わせて単語を変えてみてください。take outで取り出すとという意味です。
residualは残っているという意味です。なので、下から2つ目は「術後に日常生活で何かまだ残っている問題はありますか?」という質問になります。
最後は、「まだ手術の傷口の周りに麻痺やしびれはありますか?」という質問です。incision siteは切開部分という意味です。

今回はここまでです。
次回も問診の続きを紹介していきます。
私がお世話になった師匠達(mentors)は口を揃えて「問診で9割の怪我はわかる」と言っていました。私自身はその域に達していませんが、それでも7−8割はわかると思いますし、正しい質問をすれば可能性のある怪我(differential diagnoses)の数を絞ることができます。
このNoteは英語を紹介する場ではありますが、同時に治療家やAT(トレーナー)として質の高いサービスを提供するために使える実践的な英語を紹介していきたいと思っています。
そもそも触診やスペシャルテスト、トリートメントなどよりも問診が一番英語を話さなくてはいけない場面なので、ゆっくりで良いので、各フレーズを自分のものにしていってください。

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