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宇宙の文明を測る尺度について:タイプⅢ

前回の続きです。

改めて、カルダシェフスケールの定義を整理しておきます。
その文明が消費出来るエネルギーを基準にしており、下記のようにタイプ分けできます。地球はまだタイプⅠです。(ただ、地球外でエネルギーを獲得する研究は進めています)

I型:惑星の全てのエネルギーを利用できる文明。エネルギー消費は 約4×$${10^{17}}$$ W。
II型:母星の恒星の全てのエネルギーを利用することができる文明。例えば、ダイソン球を構築できる科学技術を有するレベル。エネルギー消費は 約4×$${10^{26}}$$ W。
III型:属する銀河の全てのエネルギーをコントロールできる文明。エネルギー消費は約4×$${10^{37}}$$ W。

Wiki「カルダシェフ・スケール」
同上

タイプⅡは、ダイソン球という膜で太陽を覆うことで実現し、自己複製ロボットとナノテクが鍵となりました。

次はタイプⅢを実現するための(妄想ですが)技術可能性です。

まず第一に考えるべきは、一気に移動距離が広くなります。天の川銀河の直径は約10万光年です。

天の川銀河全体の図で、赤い点が太陽系の場所

ということで、まずは獲得の前に移動や通信手段を考える必要があります。

現代は主に電波を活用していますが、散乱や吸収を抑えるために直進性と高いエネルギーを持つレーザー光のほうが筋が良いかもしれません。

ただ、それだけでもこの超長距離を旅するには心もとないので、目下基礎研究が進められている「重力波」を使った通信が求められます。

重力波は名前のとおり、重力で起こる時空のさざ波です。過去にも触れたので関心のある方はそちらへ。

ただ、これでも「光速の壁」は敗れません。つまり銀河の端にいくには10万年以上かかることを意味します。(出発と着陸で加減速することを考えると)

以前に、SF作品「三体」について触れました。

序盤なのでネタバレでないと思いますが、作品内では3光年先の系外惑星と地球との通信を「量子もつれ」で実現しています。

これもSFの定番ですが、現時点の技術ではそれでもやはり光速を超えることはできません。(もつれ自体は光速を超えた相関現象ですが、それを確認する術がない)

ということで、この段階になると時空間をワープする方法を具現化しないといけません。

候補としては昔から真面目に研究されている(論文も出てます)「ワームホール」があげられます。こちらも詳細は過去投稿にゆだねます。

入口にあたるブラックホールは既に見つかっていますが、出口のホワイトホールは見つかっていません。

いずれにしても、月さえすればタイプⅡで確立済みのロボットとナノテクでダイソン球を造ればよいので、やはり移動・通信手段が重要になります。

人類は冬眠状態での長い航路となるため、太陽系を出るのは相当先になるかもしれませんし、呼吸と重力が同一な環境が人工的に作るのが難しければ、遺伝子工学で新しい環境に最適な肉体に改造しているかもしれません。(よく言われる例えですが、最寄りの月で生まれた赤ちゃんは地球で生活することは出来ないといわれます)

タイプⅢへの可能性はまだまだ見えていませんが、たまにはこういった超未来を妄想するのもいいですね。

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