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タイムトラベルの科学

丁度今、「バックトゥザフューチャー」3部作が3週連続でTV放映されているそうです。

私も子供のころ見て今でも覚えているぐらいのめりこんだ記憶があります。
特に車型のタイムマシン「デロリアン」をねだったのを覚えています。

当時1985年から見た未来として「2015年」の世界を描いており、2022年の我々から見ると結構微妙なシーンがあります。
Wikipediaにシリーズ全体で渡り歩いた分かりやすい時刻表(?)があったので引用しておきます。

出所:Wiki「バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ」

丁度2015年の未来検証をしたサイトを見つけたので、もし思い出したい方はどうぞ。もちろんネタばれなのでご注意ください。

敢えて1つだけ言うと、政治は奇跡的に符号し(ちょっと洒落)、科学技術についてはバチっとした予測はなかったです。
意外なことに、インターネットの普及すら織り込まれておらず、いわゆるスマートフォン(2007年iPhone発表)も登場してません。

これはある意味、我々が未来を予測する難しさを示しています。

さて、話を科学から見た「タイムトラベル」に移します。

物理学で時間を取り扱う理論といえば、アインシュタインが打ち立てた「一般相対性理論」が思い浮かびます。
一言で言うと、時空の歪みを重力としてあらわしたもので、光速一定という原理を置いているため、時間すら相対的なものになります。

この光の速さをも超える「時空のトンネル」が必要になってきます。

よく思考実験で言われるのが、この時空の歪みを都合よく設計したものです。
ブラックホールなど極めて重力が強い物体があると仮定し、さながら折り紙のように空間を折り曲げて別の時空に重ねることで時間を超えるという発想です。
その通過する穴を「ワームホール」と名付けられます。下記にそのイメージを載せておきます。

出所:Wikipedia「ワームホール」

上のじょうろ型が光すら飲み込む「ブラックホール」のイメージが分かりやすいかもしれません。
そして、飲み込まれた後に下のじょうろから吐き出されます。これは対照性を意識して「ホワイトホール」と名付けられます。

空想の話でなく、実は元々アインシュタインの研究から始まっています。

以前に一般相対性理論の厳密解を戦地で解いたシュバルツシルトという方を紹介しました。

アインシュタインは、この厳密解を元に他の研究者と共同で時空構造モデルを作りました。「アインシュタイン-ローゼン橋」と呼ばれます。当時は穴(ホール)でなくTubeをイメージしていました。

そのアイデアを発展させて上記の「ワームホール」を考案したのが、ブラックホールの伝道師ともいえる、ジョン・ホイーラーさんです。
この方の弟子が伝説的な科学者ぞろいで、教育者としても高く評価されています。私が好きな物理学者ファインマンもその一人です☺。

これは1970年代以降の話ですが、今でも真剣に研究している大御所クラスの方もいます。

2014年のSF映画「インターステラー」をご存じでしょうか?

環境汚染で地球外のフロンティアを目指す話で、なんとこの中に「ワームホール」に相当する存在が出てきます。(ちなみにブラックホールも登場します)

結局SFでしょ?と思うでしょうが、実はこの映画は科学コンサルタント兼製作総指揮として、ブラックホール研究の大御所「キップ・ソーン」氏が携わっています。
知らない方のために補足すると、2017年に重力波検知などの貢献でノーベル物理学賞を受賞しています。

キップ・ソーン氏は、ワームホールの実用化を目指した研究論文も過去に発表しています。
従来のワームホール解はあまりにもエネルギー密度が高くなって、通常の物質では通過した時点でバラバラになってしまいます。
そこで彼は「負のエネルギー」を持つ物質を導入しましたが、それでもなお不安定な状態であることに変わりはなく、実用性はまだないに等しいです。

他にもワームホールを真剣に研究している科学者はおり、例えば2021年には、こういった研究成果が発表されています。

ようは、
新しい計量方法を導入すれば、粒子はワームホールを安定的に通過出来る可能性がある、
ということを書いてます。

他にも全く別の切り口で、テレポーテーションと絡められないか?といったアイデアも出ていますが、いずれにせよまだ実用化は遠い先の未来になりそうです。1つだけ最近の記事を引用しておきます。

ただ、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」での科学技術の予測がずれていたように、未来は時に我々の想像力を超えることもあります。

いくつになっても、「ワクワク」の童心だけはもち続けたいと思います。

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