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AIが地球外生命探査を加速化

以前に、海底の金属塊から酸素の発生を発見した、というニュースを紹介しました。

これは地球の生命史にインパクトをあたえる発見です。特に、「酸素」の急速な発生は「大酸化イベント」ともいわれる生物のターニングポイントでした。従来は生物(シアノバクテリア)ありきだったそのイベントが、非生物からもたらされたかもしれない可能性が出てきました。

そしてこれは、地球にとどまらない地球外生物探索にも重要な意味を持ちます。

地球外生命探索の代表的な手法は、バイオマーカーとよばれる生物の痕跡となる元素解析です。

現時点でその結果が期待されているのが、3年前に打ち上げられたJWST(ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡)です。系外惑星の生命探索にも使われ、過去にも系外惑星発見のニュースは届けられました。過去記事を1つ紹介します。

その地球外生命探索の新たな進展が報告されています。

ようは、
AIを使って従来より効率的にバイオマーカーを見つけることができる、
というはなしです。

JWSTは従来より精緻なデータを送ってくれますが、実は何度も同じ惑星を往復しないと、バイオマーカーの解析は困難です。

特に、生命の痕跡があるということは、大気がある可能性も高く、その大気が光(JWSTの目に相当)の進行を妨げます。(レイリー散乱と呼ばれます)

例えば、生命存在の可能性が期待される近場の惑星として、TRAPPIST-1e が知られています。過去記事を載せておきます。

この候補惑星から統計的に有意な検出を得るには最大 200 回の通過が必要になるという過去の研究もあります。

JWSTは公式な計画としては5年間しか猶予がなく、すでに折り返し地点を過ぎています。(ただ性能としては20年ほど稼働すると見込まれています)

そう考えると、なかなか地球外探索は現実的に難しいと感じますが、今回その回数を減らすことができる新しいAI(機械学習)の開発に成功しました。

その学習データが、上記のTRAPPIST-1eと地球の(初期生命が存在した)原始モデルです。

これには、冒頭でふれた「暗黒酸素」、つまり無機物による酸素発生イベントも考慮しているようです。

今回のJWSTに限らず、今後のさらなる強力な望遠鏡にもこのAIが活躍するかもしれません。

まさに、多分野の研究成果が繋がって新しいイノベーションが生まれようとしています。

近い未来に、この最新の解析方法で地球外生命体発見のニュースが舞い降りてくるかもしれません。

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