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イーロン・マスクの伝記を読んで:最強のリスクテイカー

イーロン・マスクの公式伝記本の感想です。前回までは上巻を中心にしたので今回は下巻に絞ります。

下巻全体での印象は、改めてマスクは「リスクテイカー」である、ということを痛感しました。

主観も入りますが、一番印象的なトピックは「Twitter買収」です。ちょうど買収直後に、過去にも投稿したので引用しておきます。

誰もが知っている世界中を騒がした(今も)トピックですが、本書籍では本人の視点も混じっていたので、改めて臨場感を持って楽しめました。

その前に、本書籍の立ち位置を確認しておきます。

アイザックソンは、関心を持つ人だからこそ伝記を書くことを決めたわけですが、その人を持ち上げたいわけではなく(お抱えライターの真逆です)、自分が感じたことを客観性も忘れずに書くスタイルです。

今回も、「謝辞」でも念押ししてますが、マスクは2年間にも及ぶ取材・会議への同席や取材先紹介に応じただけでなく、原稿には一切手を入れていない(見てすらない!)そうです。
これはスティーブ・ジョブズ伝記本でも同じで結構辛辣な表現もあったので、信用がおけると思います。

という前提で、なぜTwitterを買収しようとおもったのか、を想像させる記述がちらほら見受けられます。

さりげない本人のセリフがその根っこではないかと個人的には感じました。引用します。

「チップを持ってテーブルに戻りたいと思ってしまうんですよね。次のレベルのゲームがしたい、と。くつろぐのは不得意なんですよ。」

出所:「イーロン・マスク(下)」

ようは、根っからのギャンブラーということです。

Twitter買収を決めるときは、自身が手掛けるすべての事業が順調だった(それまでは危機の連続)という理由です。

普通の人なら「んなアホな」と叫びたくなりますが、今までのマスクの行動を見れば、「さもありなん」とうなづいてしまいます。

本文でも、買収最中の彼の苦悩も載ってますが、読めば読むほど「ならなぜ買収しようとしたのよ」と突っ込みを入れたくなりました。

ただ、一応昔から考えていたアイデアをTwitterで実現したい、という想いもあるので公正のため添えておきます。

元々宇宙事業SpaceXの軍資金はPayPal売却によるものでした。改めて彼の事業遍歴を引用しておきますので詳細はそちらで。

上記記事で触れてる通り、PayPalは合併したライバル企業の名前が継承され、元々自身が経営していたオンライン決済事業は「X.com」というサービス名でした。
もっとさかのぼると、1つ目の事業は弟のキンバル・マスクと始めたZIP2というオンラインンコンテンツ事業です。
キンバルは今ではWeb3に関心を持っており、イーロン・マスクもその影響を受けている可能性はあります。(実はキンバルは本書全体で事業パートナーとして頻出します。ひどい仕打ちもありますが^^;)

そういった背景もあり、(イーロン)マスクは
「ソーシャル機能を持ち合わせた非中央集権型(Peer To Peer)の決済プラットフォーム」
をTwitterで実装したい、という想いがあります。
名称を「X」に変えたことも、少なからず影響を与えていると思います。
(ただ、繰り返しですがこれが一番の理由でなく、それよりは先ほど触れたリスク渇望体質のほうが大きいと私は推測します)

それを示すように、過去にマスクは、非上場のSpaceXを主体にしてビットコインを大量に購入したり(今では売却)、テスラ車購入に暗号資産のドッジコインを受け入れたことがあります。

最近でも、米国の一部の州で暗号資産を含む決済ライセンスを取得したニュースが流れています。

今は、暗号資産にとどまらない、アプリ間をつなぐ「スーパーアプリ」を目指しているようですが、根っこがリスク体質にあるのなら、今後も変容しそうです。

書籍に戻ると、最後の章はマスク最大のリスク「スターシップ」で締めています。
いわずとしれた、人類を火星に連れて行くための宇宙船です。(便宜上それを載せたロケットも同名で呼びます)

過去にも触れたように、2023/4に初の成層圏を超える統合テストが行われ、結果として壮大な爆発の中で失敗しました。

今のところ、すでに二回目の機体テスト準備は終え、当局(FAA)の承認待ちです。早ければ年内に再挑戦する姿を見れるかもしれません。

しばらくは、その情熱はスターシップに注がれそうですが、とにかく同じ時代に生きているのが信じられないスケールです。

ちなみに、今回の一連の感想ではふれていない、ドロドロとした人間関係・仕打ち(悪魔モードと呼称)なども赤裸々に載ってます。
あとは・・・ユニークすぎる子供の名前でしょうか。(今回の投稿内でのキーワードをそのままつけてます☺)

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