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You Meet The Nicest Summer

梅雨があけて、風ひとつない、かんかん照りの真っ昼間。
冷房のよく効いた喫茶店で、かっこいい男の子と飲みに行った話を、聞かされている。
いつか、わたしはみんなが好きななにかは好きじゃないの、と話していた女の子。
どうすりゃいいのさ、この気持ち!
へーへー、そうですか。心の中ではふてくされながら、ぼくはプリンをつついた。

「このあとさあ、時間ある?」
女の子はストローでグラスの氷をかき混ぜながら言った。
ぼくの返事を待たずにつづける。
「きょうお祭りがあるんだって。行ってみたいな」
そんなことを言われたら、この夏じゅう君のこと考えるはめになってしまうよ。
「20すぎたわたしたちのお財布だったら、やりたいことが全部できるね」

どこか遠くの思い描いた夏。Tシャツをびしょびしょにして丘を登ったぼくら。この瞬間がずっと続けばいいのに。

現実に戻ったぼくが掴もうとしたグラスは手から滑り、澄んだ音を立てて割れた。

「おばかさん」

女の子はにんまり笑う。
かんかん照りの真昼間、冷房のよく効いた喫茶店。床には氷が散らばっている。
丘の上では、さわやかな潮風が吹いた。


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