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不易流行の経営学:ビジネスの今を知る

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#経済学

「価格弾力性」という大切な考え方。

「価格弾力性」という大切な考え方。

先日は、MBA学生が集う「MBA交流会」に参加させていただき、オンライン経営スクールAPSについて話をしてまいりました。で、そこではAPSについて普段は話せない裏話などをさせていただいたのですが、今日はそんな中からひとつ「価格弾力性」という概念のビジネス活用についてお話をさせていただこうかと思います。

価格弾力性。個人的には、マーケティングの重要概念だと思っていますが、おそらくマーケティング実務

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良い意味で、大学生はみんな「新事業の正解」を描けるようになっていた。

良い意味で、大学生はみんな「新事業の正解」を描けるようになっていた。

名古屋大学なごのキャンパスで開催されたTongaliアイデアピッチコンテストにて、審査員と講演を行ってまいりました。

東海地区は、首都圏や近畿圏と比べてエリアとしてまとまりやすいようで、愛知・岐阜・三重・静岡の大学が連携してこうしたイベントを開催しているようで、この地域における名古屋の求心力を感じた日でもありました。

大学生によるアイデアピッチは、率直なところ、良い意味で「行き着く案は、だいた

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正解がないなら、やってみるしかない。それを、手法化する【プロトタイピング】

正解がないなら、やってみるしかない。それを、手法化する【プロトタイピング】

毎年10月-11月は、BOND-BBT MBAさんにて「ビジネスモデルデザイン」の科目を受け持たせていただいております。優秀な人たちと、新しい事業創造に向けて考える時間は、私にとっても非常に有益な時間です。

今年のテーマは、「大阪府の社会課題を解決する新事業モデルの構想」。大阪府 公民戦略連携デスクの方々のご協力のもとに、5チームが課題解決案を考えています。

先日はその中間報告会。子ども、高齢

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個人と、組織のレジリエンス(危機対応能力)

個人と、組織のレジリエンス(危機対応能力)

先日、オンラインで、福井県の商工会議所さまに「コロナ時代の中小企業経営」について卓話をしてまいりました。卓話というのは商工会、青年会議所、ロータリークラブなどで使われる固有の表現だそうですね。Table Talkを意味する言葉だそうです。大演説をぶつわけではなく、机を囲んでお話しをしますよ、ということ。

コロナ時代に経営はどうあるべきか、ということで、DX、レジリエンス、そしてイノベーションの3

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DXは、まずビジネス・トランスフォーメーション(BX)から。

DXは、まずビジネス・トランスフォーメーション(BX)から。

中川です。先日は、東京大学のコンピュータ産業研究会にて、DXを始めるにあたってのポイントについて講演してきました(実は私はDXのコンサルもしています)。DXの技術論・方法論ではなく、最上段からの、DXのあるべき形について。

それはすなわち。
1)まず戦略である。どう活かし、どう競争力に繋げるのかの論理を組み立てる
2)次に組織である。最大限、合理的・効率的な組織の形を作らなければ、ITシステムは

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バランス・スコアカードは今でも使える戦略目標設計手法!

バランス・スコアカードは今でも使える戦略目標設計手法!

分け隔てなく、誰もが経営学を学べるオンラインスクールAPS、開学から3週間を迎えました。100名に達した入学者の皆さんと、開学の熱気のなかを過ごしています!

さて!APSとして最初に行いましたライブ講義は、YouTubeでも公開しています!

『戦略目標の設定方法:バランス・スコアカードの本質と活用法』。

バランススコアカード(BSC)というのは、1990年代に提唱された管理会計ベースの戦略目

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学術論文紹介:「障害者の職場定着を促す人事管理」(丸山・島貫,2021)

学術論文紹介:「障害者の職場定着を促す人事管理」(丸山・島貫,2021)

国内の経営学関係トップ学術誌『組織科学』最新号に掲載されている丸山・島貫(2021)「障害者の職場定着を促す人事管理」稿が非常に優れた論文でした。その知見を共有したいと思います。

障害者の会社での遇し方について。
「君たちは特別な人」と遇するか。
「君たちは私達と同じ人」と遇するか。

イデオロギー的な問題であり、容易に答えを出せない現代の重要なテーマです。そんな難問に対し、同論文は、実証的なア

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スケールするためには、仕組み化する。

スケールするためには、仕組み化する。

先日、これから全国展開をしようという、まさに成長ステージに差し掛かったベンチャー企業さんの経営顧問に就任しました。

特にマーケティング・広告運用周りの仕組み化や、ターゲットに刺さるブランドの再構築などからスタートしながら、今後の大幅展開のための足固めを一緒に進めていくことになりました。

「仕組み化」は、とても大切なことです。

組織の成否は、きちんとルールを作れるかどうかにかかってきます。

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テレ朝の深夜宴会・女性社員負傷事件が、同社にとって結構痛い理由。

テレ朝の深夜宴会・女性社員負傷事件が、同社にとって結構痛い理由。

報道機関にとっての、目には見えないけれども最重要な経営資源は、発言の【説得力】です。「伝達」という社会的機能を果たすことが報道機関の存在理由であり、その伝達の基盤となるものが説得力だからです。説得力のない情報は無力です。

説得力は、話者と聞き手の2者間関係において生じるものであり、社会構築的(socially-constructed)な側面を有します。社会構築的とはすなわち、情報そのものの質・量

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理論通りにはいかない現実、について

理論通りにはいかない現実、について

言葉の仕事をしている知人から、「人類の判断ミスの数だけバグが多いのが現実。理論通りにいかないときに、どう振る舞えばよいのか」という興味深いコメントを頂戴しました。

判断ミスの数だけバグが多い現実、という表現が上手で、どこかで使えるなあ~笑と思って皆さんにもシェアしちゃうのですが、社会というものの、ひとつの本質を見事に表現されている言葉だと思います。

社会がどう出来上がっているかと言えば、過去の

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転売屋はなぜ悪なのか

転売屋はなぜ悪なのか

雑誌『ホビージャパン』を手掛けるホビージャパン社は、2021年7月26日、Twitterアカウントでプラモデルなどの買い占めや転売を容認する発言を行った編集者1人を退職処分にしました。その上司にあたる常務取締役など3人も降格となり、世の中に衝撃を与えています。

そのツイート内容はこんな感じでした。
「転売を憎んでいる人たちは、買えなかった欲しいキット(商品)が高く売られているのが面白くないだけだ

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