【超短編小説】嘘つきは泥棒のはじまり(300字)
「嘘つきは泥棒のはじまり」
そう母から教えられた男は、大人になっていた。
「じゃあ、泥棒に行ってきます」
男は出かけようとした時、母に呼び止められた。
「どうして泥棒をするんだい?」
母は泣きながら訪ねた。
「だって、嘘つきは泥棒のはじまりだって言ったじゃないか」
と返す男に
「そりゃ言ったけど、嘘つきが泥棒になってしまうなら、この世は泥棒だらけになってしまうよ」
と言った。
男は笑いながら、
「確かにそうかもしれない。でも、何も盗んではいないよ」
母は困惑した。
「じゃあ、お前は何やってるんだい?」
男は笑って答えようとした時、
「先生、お時間です」
と呼ぶ声が聞こえた。
男は足早に玄関を出て、待たせてあった車に乗り込んだ。
【超短編小説】嘘つきは泥棒のはじまり(300字)
これは、以前連載していた300字小説のリメイクです。
タイムリーだったのでアップしました。
もう10年ほど前に書きましたが
変わっていないですね。
いろいろ。
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