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セッション定番曲その4:You've Got A Friend by Carole King /James Taylor

もともとはシンガーソングライターらしいフォーク調の優しい曲ですが、原曲の持っているゴスペルの隠し味が見つかってしまうのか、R&B系のミュージシャンの他いろいろな人達がカバーしています。歌モノのセッション定番曲。
(歌詞は最下段に掲載)

和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。


ポイント1:Carole King

女性が歌う場合にはキャロル・キングのバージョンをイメージしていると思います。ピアノのイントロで始まる優しい歌。けっして美声でも歌ウマさんでもないし、声量も無いのですが、個性的な歌唱。真似をする必要もないし意味もないから、自分なりの歌い方でいいと思わせてくれるところもこの曲の人気の秘密かもしれません。「あなた」に語りかけるような口調と歌詞。

James Taylorのバージョンはギターの弾き語りに乗せて彼の個性的な美声が響きます。やはり呟くように歌うので「あなた」はすぐそばにいるのかもしれません。そして徐々にコーラスが加わって、みんなで「あなた」に呼び掛けていくような構成になっています。

James Taylor & Carole King


ポイント2:Donny Hathaway

男性がR&B、ファンク系のセッションイベントで歌う場合にはダニーのバージョンのイメージでしょうか。エレピのイントロで始まり、最初からリズムセクションが付いていて、歌唱もいきなりソウルフルです。コーラスも割と最初から始まりますね。より「みんながみんなに呼び掛けている」イメージですね。ここでは「Friend」はより普遍的な意味を持っているのかもしれませんね。ダニーの歌唱はソウルフルであっても品がいいというか、その前の世代のソウルシンガー達のような泥臭さがあまり無いので、今でも好かれているのかもしれません。


ポイント3:You've Got A Friend

「You have got a friend=You have a friend」です。口語表現なので学校では習いませんが、普通に使われていますね。どうニュアンスが違うのか、ネイティブに聞いても「う〜ん」と。あえて言うならば「haveだけだと『持っているという状態』だけど、have gotだと『自分で手に入れて持っている』という入手経緯がより強調される」という説明も見かけます。ちょっとこじつけっぽいけど、この歌詞の中ではしっくりきますね。友達は自分から作るもの、と。

ポイント4:You just call out my name

「call out=大きな声で叫ぶ」です。「どこにいても聞こえるように私の名前を大きな声で呼んでごらんなさい」と言っています。「just=それさえすればいいよ」というニュアンスです。携帯電話とかLINEとか無い時代だったし。でも本当に辛い時って電話も出来ないものですね。

ポイント5:Winter, spring, summer or fall

この曲の歌詞のポイントのひとつです。要は「いつだって」ということなんですが、それを四季を全部挙げてというところが素朴だし凝っているところ。いわゆる「プロの作詞家」には書けない歌詞かも。もちろんキャロル・キングだってプロだけど。winter, spring, summer, fallそれぞれの音がそれぞれの季節を感じるような音になっています。winterは口をあまり開かずに寒そうだし、springは「spr」という子音の連続音が「ing」に解決してなんだか解放感があるし、summerは嬉しそうだし、fallはなんだか何かの終わりみたいな響きだし。歌う際にただなんとなくここを歌ってしまうのではなく、そんなイメージを持って歌えると素敵じゃないかと思います。

ポイント6:I'll be there

このフレーズもよく歌詞で使われますね。「there=そっち=あなたのいる場所」です。「'll=will=必ずやってあげる」という意思表示。物理的に「あなた」のところに行く場合にも使いますが、「心配しなくても、私がついているから安心して」というニュアンスです。こういう短いフレーズは、区切らずにひと息で発音してしまいましょう。

ポイント7:Keep your head together

「慌てないで、落ち着いて」と。この歌の中では言葉を変えながら、次々と「あなた」を励ます意味の呼び掛けが出てきます。

ポイント8:ゴスペル(的)

あまりいい加減なことを書くと炎上しそうなので、サラッと書きますが、ゴスペルは「神様」を讃える音楽なので「彼」による「救い」がやってくるよという励ましの言葉がよく歌詞に出てきます。ただ最近では露骨にそういう宗教観を表現するのではなく、もっとシンプルな言葉の繰り返しで「救われることを信じなさい」と訴えかけるものも増えています。

この曲の最後の部分、セッションイベントなどではコーラス隊が加わって「サビ(コーラス部分)」を繰り返しを延々と歌う場合がありますよね。「I'll be there」「You've got a friend」と。そのあたりがゴスペルっぽい要素でもあるし、実際にゴスペルクワイヤに歌われることもあります。

あっさり歌い切ってしまうのはもったいない曲なので、最後に盛り上げるパートを作るのも即興のセッションイベントでの楽しみ方ですね。


■歌詞


When you're down and troubled
And you need some loving care
And nothing, nothing is going right
Close your eyes and think of me
And soon I will be there
To brighten up even your darkest night

You just call out my name
And you know wherever I am
I'll come running
To see you again
Winter, spring, summer or fall
All you have to do is call
And I'll be there
You've got a friend

If the sky above you
Grows dark and full of clouds
And that old North wind begins to blow
Keep your head together
And call my name out loud
Soon you'll hear me knocking at your door

You just call out my name
And you know wherever I am
I'll come running, a-running, yeah, yeah-eah
To see you again
Winter, spring, summer or fall
All you have to do is call
And I'll be there
Yes I will

Now ain't it good to know that you've got a friend
When people can be so cold
They'll hurt you, yes, and desert you
And take your soul if you let them
Oh, but don't you let them

You just call out my name
And you know wherever I am
I'll come running, a-running, yeah, yeah-eah
To see you again
Winter, spring, summer or fall
All you have to do is call
And I'll be there, yes I will (oh, yes I will)



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