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余談⑨:この鳥を知っていますか

 今年も節分が保育園で行われた。まだまだ寒い日が続くが、冬の終わりを意味する節目でもある。

 昨年の12月頃、隅田川沿いを散歩していると、白い身体に赤いくちばしと脚が特徴的な鳥が、乾いた空を気持ちよさそうに飛んでいることに気がついた。

 保育士として恥ずかしい限りだが、野鳥や野草には疎い僕で、堤防に連なって羽を休めるところを写真に取り、Googleレンズで名前を調べてみる。

 「ゆりかもめ」
 
 特徴的に当てはまっていたので、おそらくそれが、この鳥の名称のようだ。
 あのモノレールと同じ名前。調べてみると、この鳥が由来になっている。都民には馴染み深いようだが、埼玉出身としては知るところではない。

 冬を告げる野鳥で、寒くなると南の方からやってくるらしい。
 そう言われれば、秋頃には見かけなかったなあ、と振り返る。
 
 僕は何から季節を感じるだろう。と、ふと思う。

 都市にいれば、自然と触れ合う機会は少ない。
 緑が少ないな、と思っては見るものの、果たして、自分は目の前にある自然をどれだけ知っているのだろうか。 
 都市と自然、不自然と自然、意識と無意識、そうした2つのものの間でバランスを取っていたいと思うが、時折、どちらかに傾きすぎていることがあるのかもしれない。
 安に、都市が良い、自然が良いという話ではない。それは、保育や子どもと関わることに通ずるような気がする。

 その上で、この「ゆりかもめ」の存在は都市の中にある自然という、グレーな生き物のようだ。
 
 カレンダーを見なくても、その鳥の存在が冬を教えてくれる。
 その鳥を見て、冬の訪れを感じる。
 例えば桜を見て春を思うように、そうした時節を告げる自然は都市の中にも存在するようだ。
 
 隅田川を飛ぶ「ゆりかもめ」の数が減ってきたような気がする。
 都会の不自然さに嘆くだけでなく、都市の中の自然を探しながら、季節を感じられるような豊かさのある人間でありたい。
 節分を終え、今日が少しずつ春めいてくる。


今更ながら、Googleレンズって本当に便利。

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