【校閲ダヨリ】 vol.11 軽減税率 〜国税庁の人に電話できいてみた〜[前編]
みなさまおつかれさまです。
ついに、消費税も10%の時代を迎えましたね。
洗濯機が9月中に壊れてくれたのは不幸中の幸いでした(皆さん買い替えらしく大きめ家電の配送・設置サービスは2週間待ち。その間のコインランドリー代を考えると10%より高くついているのかもしれませんが、精神衛生上考えないことにします)。
今回は、先日校了し、10月に発売される媒体の作業中に私の身に降りかかったことを追体験していただきながら、新税率・軽減税率について理解を深める号にしようと思います。
ざっとかいつまんで媒体のご紹介をすると、「商品がたくさん紹介される」んです。
高級ホテルのディナーコースから洋服、器、お酒、お醤油などの調味料まで。
(価格表示の編集部ルールは「税込表記」でした)
10月に発売されるものですから、当然、新税率で表示していなければなりません。
私は、手伝いを頼む部下に
「今回は10%の税込表示になっているか、よく確認してね」
と言いました。
部下は
「今回の特集の中でいくと、食品や調味料は8%で良いのではないですか?」
と社会人として100点の発言をしました。
……。
「新税率は、一律に10%」ではないんです。
そう、「軽減税率」という新制度とともにスタートするわけです。
校閲者なのに、そんなことも知らないのかよと思われそうですが、言葉のことを含め私にも知らないことはあります。(ここで大切なのは、どんな仕事でもワンマンプレーをなるべくしないということです。チーム内のコミュニケーションを的確に取ることさえすれば、大抵のミスはカバーできます。チーム運営のお話はお声がかかればどこかでしようかなと思います)
さあ、ここからが大変です。
「軽減税率」なんて言葉は初めて聞いたのですから。
まずはそれが何を意味するのか知ることからスタートです。(校了は3日後、残ページ数212)
どこか僕にもわかるように簡潔にその制度を説明してくれているサイトはないかと部下に探してもらい、内閣府のホームページが良さそうだということでいそいそと訪れました。
今後の展開で重要になるページですので、皆さんも(知らない方は特に)ご覧になってください。
確かに、わかりやすいです。
要点を整理すると、このような感じです。
なるほど。要するに、「生命を維持するのに必要な食料・調味料・お菓子にかんしては8%」ということだな。と私は要点をまとめました。
新聞が軽減税率対象なのはちょっとよく飲み込めませんでしたが、私のような世間知らずはこの機会に購読しろという戒めのようなものだと捉えました。
(……言葉を扱う者として感じたのは、これは特に「軽減」ではないのではないか、ということです。元々8%なので、「現状維持税率」です)
さて、注意しなければならないのは酒類です。
私は下戸で普段は一滴も飲まないので生活に何ら支障はきたしません(大好きなジュースは8%です)が、現在進行している媒体にとっては大問題でした。
日本酒やワイン、ウイスキー、ジン、ビールなどお酒とわかりやすいものは脳内フィルタリングが簡単です。
落とし穴は 調味料 です。
なんと、「みりん」は酒類に入るのです。
当たり前といってはその通りですし、30代独身男性の割には料理もしているつもりですが、校了前のナーバスな状況下で脳内は阿鼻叫喚です。
みりんは「みりん」として私の生活に深くかかわっていたんだと新たな気づきもありましたが、そんなことはどうでもよいのです。私には時間がないのです。
しかも今回の特集は、全国各地の調味料が登場するページがたくさんありました。
なんとか心を落ち着ける努力をして、冷静に
「みりんは酒みりんは10%みりんは酒」
と脳内フィルターを追加しました。
しかし、軽減税率は私をまだ追い詰めます。
みりんは10%だけど、「みりん風調味料」は8%
すでに爆発しているような髪型をしている私ですが、阿鼻叫喚の脳内は煉獄とも化したのです。
後編は、近日中にお届けします。
では、また次回。
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