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【校閲ダヨリ】 vol.16 国語学基礎概説 1


みなさまおつかれさまです。
今回は、国語学の入り口の話をしたいと思います。(簡単です



ある程度人生経験を積むと、

「手紙やメールでメッセージを送るよりも、直接話をしたほうが感情を伝えやすい」

ということを体験的に把握されている人が多いのではないかと思います。
「だって、そうでしょう?」というひと言で完結できてしまうテーマですが、「なぜそうなるのか」論理的にこの問題に迫ってみたいと思います。
国語学を始めるにあたって最初に学ぶべきといっても過言ではない命題ですし、ビジネスでも使える考え方ですので、お役に立てるかもしれません。
   
   
   
さて、冒頭で提示したテーマですが、例えばこのような場面を想像してみましょう。

・自分がその場にいないときに、他の人の手を煩わせてしまい、お詫びの連絡を入れる必要がある。

この場合、関係性などにもよりますが、
   
   
1.電話で連絡する

2.メールなど文面で連絡する
    
   
のふた通りが考えられるかと思います。
あくまで事象について考えるための例ですので、「私は絶対 1. 」、「いやいや両方でしょう」といったような個々人、もしくはビジネスでの定石はひとまず置いておいて考えてみます。
   
   
結論から言うと、この場合、お詫びの意思を伝えやすい方法は 1. です。
   
   
   
なぜか。
それについて理解するためには
バーバルコミュニケーション」と、「ノンバーバルコミュニケーション」という言葉について知る必要があります。(心理学の用語でもあります)
バーバルは verbal 。つまり、「言葉による」ですので、バーバルコミュニケーションは「言葉を介したコミュニケーション」、ノンバーバルコミュニケーションは「言葉を介さない(言葉以外の)コミュニケーション」という意味になります。
   
   
大まかにどんなものか内容をお教えしますと

バーバル:文字で書かれた言葉や、発せられた言葉そのもの(※音の要素は含まない)

ノンバーバル:顔の表情や視線、身振り手振り、音(発音やアクセント、間)、服装など

   
といった感じになります。
   
   
   
電話も、文面も、どちらもバーバルコミュニケーションであることに変わりはありません。(ここを勘違いしないように)
この時点では、お互いの印象点数は同じです。
しかし、1. の場合では「音」というノンバーバルの要素が上乗せされます。
声色を落として申し訳なさそうな感じを出したり、普段よりゆっくりと間を置いて話してみたりすることで、相手にバーバル以上の気持ちの要素を伝えられるわけです。
   
   
そう、単純に、足し算ですね。
電話では、音以上のノンバーバル要素は伝えられないので 1. が最高点数になるわけですが、例えば 3. として「直接会って対面でお詫びの意思を伝える」というものを付け加えるとすると、ノンバーバールの中でさらに「顔の表情や視線、身振り手振り」といった要素が加わるので、これがより意思を伝えやすい選択肢となります。
   
   
……なんだ、そうしたら、バーバルの中でもメール(文面)のような「書き言葉」に良い点は全くないではないか。
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。あくまでケースバイケースです。
   
   
書き言葉の良い点は
   

・記録として残しやすく、蓄積でき、たどりやすい
・作成の過程で時間を割けるので、ベストな状態(内容)で公開できる
・持ち運びやすい
・多くの人に向けて発信できる  

   
というものがあります。3・4つめに関しては、ネットや機器の発達とともにノンバーバルでも一般的になりつつありますが、これもやはり場面によるでしょう。
   
書き言葉も進化しており、絵文字や顔文字が登場したことで、ノンバーバル的な要素を書き言葉に持たせられることができるようになりました。古くは感嘆符や疑問符なども、それと同様の進化でした。書体を変えることでも、ノンバーバル的な要素を付加できます。
ただ、いずれにせよ全てケースバイケースです。
   
   
私は、各手段の長所・短所を知っていることで、不測の事態に最善の方法でアプローチすることができると思っています。今回はビジネスの場面を学びの足がかりとしましたが、いかがでしたでしょうか。
(わかりづらかったら、ごめんなさい)
   
   
国語学の入り口と申し上げたのは、ここを出発点として「日本語のアクセントや発音、方言について学びたい」や、「絵文字について研究したい」、「話し言葉と書き言葉での文構造の違いを調べたい」といった「深み」にはまっていくからなんです。

みなさんにとって国語学がより身近な存在になれば幸いです。


それでは、また次回。


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