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Fingertip spectacle!

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東京芸大卒業で油絵を専門にしている画家です。機会を待って23年間筆を置いてきました。やっと筆を取る機会が生まれたので作品の意図について詳細に書きます。Fingertip spec…
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2020年8月の記事一覧

「線を描いても無邪気な線をみんな引ける気分ではない。」FDL Tips 12−4

「線を描いても無邪気な線をみんな引ける気分ではない。」FDL Tips 12−4

絵は本来は楽しいものです。
本来とは幼児の頃とか生得的な力で野生的に絵を描いていた頃とか、絵の描き方、周りを汚さないなどのルールを与えられる前です。
大人の皆さんとか、物心を覚えた子供も含めて忘れてしまっている頃。
絵はこの本来の楽しさを忘れてしまうという問題を随分昔から知っています。
でもこの問題はとても高い壁で人類は越えようとして未だに越えられないでいます。

この壁を超えられないことは、つま

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「線の楽しい線のそうだコピーを考えよう」FDL Tips 12−3

「線の楽しい線のそうだコピーを考えよう」FDL Tips 12−3

線には無限の可能性があります。
私が今回描いている線は兎に角細さを追求した線。
細くすることによってこれまでになかった見え方がわかる。
細いので光り輝くように見えたり、細すぎて光って見えるのでカッターの刃のように切れそうに見えたりします。

今回の線に対する拘りはとにかく「楽しい」ということ。
絵の外の世界の皆さんには知られていない現実ですが、実はこの世界は奴隷のように扱われることが多い。例えば、

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「線のイメージの線」FDL Tips 12−2

「線のイメージの線」FDL Tips 12−2

視覚で認識できる形には丸とか三角とか色んな形があります。
色んな形の1つの線。

これら幾何学的な形は脳で作られたイメージです。
眼で追った点の集積であったり、細いシルエットの残像であったり。
視覚とは、視て、覚えると書くようによくよく考えると脳で作られたイメージ、つまり記憶です。
網膜に影が映り込んだだけでは知覚とは言えない。
網膜にある神経を通じて脳に情報が伝わってから知覚されます。
脳でイメ

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「線の見えるようになる飽きない線」FDL Tips 12−1

「線の見えるようになる飽きない線」FDL Tips 12−1

絵画には最初は見えずに、よく見ると見えるようになる線があります。
人によって形の認識の仕方は違いますから、初めて見る絵は普段見ている見方ですんなり見えてくるとは限りません。
例えば印象派以降の絵画に多いのは近づいてみると何が描いてあるかわからない、網膜全体で見るような、作品から離れてみる見方。人は基本的によく見る時は網膜の中にある中心窩という1mm程度の部分で細部と色を見ますから、中心窩以外の網膜

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「油絵は価値がある宣言」FDL Tips 7−3

「油絵は価値がある宣言」FDL Tips 7−3

「油絵なんか描いても仕方がない」
東京藝術大学には「油絵を描いても仕方がない」という薄っぺらい意見がある。
考え方として妥当する所もあるが、それは時代の大きな流れの上澄みの表層的な話であって根本的な根幹にかかる話ではない。実に薄い。仮に根幹にかかるのであれば即刻油画専攻は解体するべきだがそういった気概で発言している話ではない。
このような発言をするのは、流行にとらわれる、どちらかといえば弱いアーチ

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「昭和の古い油絵はじいちゃんばあちゃんが描くには価値があるがそれを若者に押し付けてはならない」FDL Tips 7−2

油絵には価値がある。

ただ、残念ながらその価値は既得権益によって薄汚れていて社会の、特に若者に対して全く見えない。
油絵はじいちゃんばあちゃんには良いものだが、それだけのものになってしまった。
そして、私が最悪だと思うのは、じいちゃんばあちゃんの為のシステムをよせばいいのに若者にそのまま・・教育として、教員から押し付けてしまっている・・。
誰の目から見ても時代錯誤なことははっきりしているのに辞め

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「この絵を描く時はドキドキする。絵を描くことはたまらなく楽しいのです」FDL tips 11−1

「この絵を描く時はドキドキする。絵を描くことはたまらなく楽しいのです」FDL tips 11−1

絵にはアカデミックな絵画、現代アートの絵画、アニメやイラストなどの色んな絵があります。
私の印象ですが、絵画の外の世界では絵を描く時にドキドキしている人は多いように思います。
私にとっての絵画の内側の世界、つまりアカデミックな絵画と現代アートでは絵を描く時に全くドキドキしていない人が多いように思います。脳神経の為に、つまり評価を得る為に絵を描いたりすることで血が通わなくなってしまい、無感動に絵を描

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Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips 10−1「絵画のデファクト」

Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips 10−1「絵画のデファクト」

絵を描く時に大切なことがあります。
それは描く理由を掴んでから描くことです。
楽しむため
ストレス解消のため
何かを伝えるため
見る人を感動させるため
お金のため
出世のため

制作中の作品「Draw a line」 は描きながら思わず「アッ・・」と声を出してしまうことがあります。わかりやすく言うと”しくじった瞬間”です。
世界最高レベルの技芸で線を描いている最中に何度か声を上げることになるのです

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Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips 9「油絵の世界最高の技芸を若い画家と皆さんのために。世界最高の技芸を競う競技の設立」

Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips 9「油絵の世界最高の技芸を若い画家と皆さんのために。世界最高の技芸を競う競技の設立」

Draw a lineは油絵の世界で最高レベルの美しさの「線」の技芸で描いた絵です。

この絵は今後の若い画家が絵画の評価で困らないようにすることを最終的な目的に描きます。

若い画家は絵画の評価が明確に定められていないために困惑しています。

若い画家が困らないようにするためには評価を詳細かつ明確に定める事が必要です。

そしてそれが正しく機能するには、若い画家以上に、絵画の世界の外にいる皆さん

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Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips 8「この絵の見方。この絵と宇宙はまっくらで近づかないとよく見えない。近づくと何かが見えてくる。親の手を振り払ってそれをたどると多分大好きな友達がそこにいる。」

Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips 8「この絵の見方。この絵と宇宙はまっくらで近づかないとよく見えない。近づくと何かが見えてくる。親の手を振り払ってそれをたどると多分大好きな友達がそこにいる。」

自分の奥底に自分の最も大切なものが眠っています。
それを探し出す旅を何十年も続けています。
アンテナに触れるかすかな反応を便りにそれを探し求める宇宙旅行。
人生の決まったレールの中にいる時の不快感に苛まれながら、ある日自分の人生の中で取り損ねた大事な忘れ物があることに気づきました。

ついにレールの不快感は極限まで達して
なんの躊躇いもなくその手を振り払いました。
最初に振り払ったのは親の手でした

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