つながりを感じる"お正月の風物詩"100回目を迎える箱根駅伝分析
こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。
みなさんは年末年始のイベントと言えば何ですか?
私は東京箱根間往復大学駅伝競走こと、"箱根駅伝”です!在学中は母校が出ていてもあまり興味がなかったのですが、卒業してからきちんと観るようになり、海外に出てからは更に応援するようになりました。
年始の2日間は大学の同級生から箱根実況や感想が来るのが楽しみになりつつあります。母校だけでなく、それぞれの大学や選手・関係者らのストーリーなども熱く、思わず涙する場面も多々…
そこでKnowns Bizにも箱根駅伝のデータはあるのかな?と思い調べてみたところ…
なんとありました!
そして来年、2024年は第100回目なのです!
今回はそんな「箱根駅伝」について分析していきたいと思います!
箱根駅伝とは
まずマラソンの満足率x認知率を調べると、認知率・満足率で75%を超えているのは「箱根駅伝」のみでした。特に認知率は80%近く、圧倒的に認知度が高いことが特徴です。
ちなみに株式会社CMサイトがインターネットリサーチした「一番泣ける学生スポーツ大会ランキング」のアンケート結果によると、1位の夏の甲子園に次ぎ、2位に箱根駅伝がランクインしています。
大学スポーツの中では箱根駅伝の投票が圧倒的に多いようです。
箱根駅伝の歴史
「箱根駅伝」は1920年に創設されました。それ以前では、1917年に読売新聞社が上野で開く大博覧会の協賛イベントとして企画した「東京奠都五十年奉祝・東海道駅伝徒歩競走」という初めての駅伝が京都・東京間で行われ、これが箱根駅伝の"原型”となりました。
このイベントでは京都ー東京の516キロを23区間に分け、三日間、昼夜兼行で走り継ぐ壮大なたすきリレーが東西対抗で行われ、結果大成功したそうです。
その後「東海道駅伝」の成功に意を強くした金栗氏らは、「世界に通用するランナーを育成したい」との思いから大学や師範学校、専門学校に箱根駅伝創設の意義を説いて参加を呼びかけました。
そして早大、慶大、明大、東京高師 (現筑波大)の四校が応じ、1920年2月14日午後1時に第1回大会が「四大校駅伝競走」の名称でスタートしました。
"マラソンの父”金栗氏は1912年(明治45)のストックホルム五輪に日本が初めて参加したときのマラソンの代表選手でしたが、途中棄権に終わり、失意のまま帰国したそうです。
このとき世界との差を痛感した体験が、「箱根駅伝」を開催する大きなきっかけとなりました。
またこのころ第1次世界大戦が終わったばかりで、工場地帯が次第に西に延びて、大動脈の東海道も道幅が広がったという時代背景もあるそうです。
視聴者層分析
箱根駅伝視聴者のデモグラ構成比をみると、全体的には30~40代の割合が一番多く出ていました。性別×年代で見ると男性は30代前半~50代前半、女性は20代前半〜30代後半が多いです。
居住エリアをみてみると関東学生陸上競技連盟加盟大学の行う駅伝であることもあり、関東が圧倒的に多いです。
「箱根駅伝」の7 Journeyを見てみると、離反が2.4%と低いので、一定の人が気に入って視聴していることがわかります。
また、チャンスや認知はしているが視聴していない層(きっかけ待ち)が多いです。お正月は他の特番なども多いので、知っているけれど他の番組を観ている方も多いのかもしれません。
ファネル分析では現在購買(視聴)⇒リピート意向は95.2%とリピーターがとても多いです。
潜在顧客(チャンス+きっかけ待ち)の引き寄せと未認知層へのアプローチをするとさらに視聴者が増えるかもしれません。
朝日新聞デジタルbe betweenのアンケートによると、約7割の人が箱根駅伝の視聴に関して「はい」と答えていました。
一方で「沿道で応援したいか」には逆の結果が出ており、お正月はテレビ観戦の方が好まれるようです。
またスポニチによると20年大会までは往路と復路合わせて毎年100万人を超えるファンが沿道で声援を送っていましたが、コロナ禍となった21年大会は「応援したいから、応援にいかない」のキャッチコピーを掲げ、沿道での応援の自粛を求めた結果、約18万人と激減しました。
21年大会同様、沿道での応援自粛を求めた22年大会は約60万人と21年から3倍超に。自粛を求めていない23年は約91万人だったそうです。
24年はどうなるでしょうか。
どんな人に好まれる?
サイコグラフィックを見てみると、個人価値観は"健康志向”"アウトドア派”"倹約家”な方が多いです。
社会価値観は周囲の人との関わりを大切にする"ワーカホリック”"環境や社会大事”"おりこうさん”と、真面目なビジネスパーソンに多く好まれているようです。
消費価値観は人や社会・環境に配慮した"エシカル消費"の他、"ノスタルジー消費”が高いことから、倫理的な価値や懐かしさを元に消費行動を起こす傾向がありそうです。
スポンサー企業と箱根駅伝
サイコグラフィックから、人との繋がりや環境・社会に目を向けた方に多く好まれる傾向にあることがわかりましたが、「箱根駅伝」はスポンサー企業が多く、選手や大会だけでなく、地域への支援を行っていることも、この結果に繋がるのかもしれません。
筆頭スポンサー「サッポロビール」
「サッポロビール」は1987年第63回大会から現在まで、「箱根駅伝」の筆頭スポンサーになっています。
仲間のために襷を繋ぐ、世界を目指して走るという箱根駅伝の趣旨が、サッポロビールのものづくりに共感するということで協賛を始めたそうです。
サッポロビールは飲料や副賞・ブース提供など大会の支援だけでなく、箱根町の支援も行っており、チャリティグッズの売上金の一部は箱根町の自然環境・資源保全に貢献できるよう、箱根町に毎年寄付しているそうです。
箱根駅伝の視聴率
また1987年は「箱根駅伝」を日本テレビが生中継を始め、これをきっかけに「正月の風物詩」になったと言われています。それ以前はラジオでの中継がNHKラジオ第一、文化放送、ラジオ日本で行われていました。
箱根駅伝のコンテンツとしての強さは21世紀に入ってからも続き、2021年に10区で駒大が創価大を大逆転した時は復路で33.7パーセントを記録し、これは過去最高視聴率となったそうです。(ビデオリサーチ社関東地区視聴率)
その他主要スポンサー
その他、大会運営を支える車両スポンサーは「トヨタ自動車」、グッズ販売担当のスポンサー「MIZUNO」、警備は「セコム」が担当など、主要スポンサーは大会そのものを支え、自社のサービスを広く世に知らしめる機会にもなっています。
第97回大会からスポンサーロゴ解禁
2021年の第97回大会からは箱根駅伝出場大学のユニホームに、スポンサー企業の名前やロゴが入れられるようになりました。
同時にこれまで協賛をしてきた主要メーカーだけでなく、銀行や地方都市など各校つきスポンサーにバラつきがありますが、さまざまな企業や団体から協賛されています。
毎年高視聴率を叩き出す箱根駅伝の中継に企業ロゴが掲出されることは、企業・自治体のイメージ向上やユーザー獲得、高い宣伝効果があるからかもしれません。
箱根駅伝のイメージ
Knowns Bizで「箱根駅伝」視聴者のワードクラウドやイメージを調べると、毎年・駅伝・お正月の他、"風物詩”や"ドラマ”"テレビ”"楽しみ”など、お正月のイベントとして楽しみに視聴している方が多いことがわかります。ファネル分析でも現在購買(視聴)⇒リピート意向は95.2%とリピーターが多いのは納得ですね。
イメージでも、「期待感・ワクワク」「チャレンジ・応援」「伝統・頑固さ」と、プラスなイメージとその歴史を感じられる結果になっています。
まとめ
箱根駅伝視聴者の特徴
・30代前半~50代前半男性、20代前半〜30代後半女性が多い
・健康志向・アウトドア派・倹約家
・人・社会・環境重視、真面目なビジネスパーソンに好まれる
・エシカル消費・ノスタルジー消費
毎年視聴率30%の「箱根駅伝」は、大学側にとっては少子化で受験者数が減少する中での宣伝の場になり、企業・自治体にとってはイメージ向上やユーザー獲得、高い宣伝効果だけでなく、地域活性効果にも繋がります。
1920年からこの大会が続いているのは、選手や選手関係者だけでなく、さまざまな人や企業との繋がりが大きいことがわかりました。
2024年の大会もどんなドラマが観られるのか、楽しみですね!
筆者のひとこと
出身校が出ていることや毎年のドラマに見所を感じている箱根駅伝ですが、イメージ類似分析を観てみると、「日本ダービー」や「皐月賞」、「有馬記念」も上位にランクインしており、競馬好きは箱根駅伝も好む傾向にあるのかしら?と思いました。
私は人や馬が一生懸命走るドラマに胸が熱くなりやすいのかもしれません。
来年のお正月も私はベトナムで過ごす予定なので、ベトナムから「箱根駅伝」を応援したいと思います!(いつか生で応援してみたいです…!)
≪本記事は新しいバージョンのダッシュボードを利用しております≫
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