"くつろぎ”のコメダと"品質”の星乃 違いは消費者ニーズの捉え方⁈
こんにちは、knownsインターンのReikaです。
皆さんは喫茶チェーン店として日本各地に展開している「コメダ珈琲店」と「星乃珈琲店」はご存じでしょうか?"名前は知ってるけど行ったことない…!” "コメダ珈琲店と星乃珈琲店の違いって何?!”なんて思う人も少なくないと思います。
そこで今回はコメダ珈琲店と星乃珈琲店を様々なKnowns Bizのデータを利用して徹底比較していきます!!
≪Knowns Bizについて簡単にご紹介≫
両ブランドの認知率と満足率の差
まず始めに、コメダ珈琲店と星乃珈琲店の認知率と満足率の差を見ていきます。
認知率はコメダ珈琲店が92%で星乃珈琲店が65%となり差が27%と認知率にかなりの差があることが分かります。
満足率を見てみると、コメダ珈琲店が84%で星乃珈琲店が79%となり差が5%とややコメダ珈琲店の満足率が高いということが分かります。
ここからは、コメダ珈琲店と星乃珈琲店を比較して、認知率で大差をつけている理由や一方で満足率に大差のない理由をより深くKnowns Bizの消費者データをもとに分析していきます!
歴史が物語る認知率とは?
コメダ珈琲店
コメダ珈琲店は1968年に愛知県の名古屋市に開店され、「コメダ」の由来はコメダ珈琲店を創業した加藤太郎の家業が米屋であり、「コメ屋の太郎」と呼ばれていたことが関係しているそうです。
元々は個人経営の喫茶店であったが、1993年にフランチャイズの運営を目的とした株式会社コメダを設立し、今では日本全国での店舗数が947店舗にもなる代表的な喫茶チェーン店として沢山の人から愛されています。
星乃珈琲店
星乃珈琲店は2007年に経営統合し設立された株式会社ドトール・日レスホールディングスが運営している喫茶チェーン店で、2011年に埼玉県蕨市に1号店が開店しました。
現在、日本では278店舗展開していて、海外(シンガポール・マレーシア・台湾・インドネシア)では20店舗も展開していることから国内だけでなく、国外でも人気を集めていることが分かります。
両ブランドの設立年数や店舗数を見ると、
コメダ珈琲店 → 設立年数が1968年で店舗数が947店
星乃珈琲店 → 設立年数は2011年で店舗数が278店
となり、コメダ珈琲店の方が設立年数では43年、店舗数では669店も多いことが分かります。
さらに両ブランドの地域別店舗数を見ると、コメダ珈琲店の店舗数が最も多い中部地方の店舗数は全体の33%を占めていて、星乃珈琲店は関東地方に51%と集中しており、コメダ珈琲店は星乃珈琲店よりも日本各地に偏りなく店舗展開をしていることが分かります。
店舗展開に差が出る理由として、両ブランドの立地に対する戦略が異なっていることも関係していると考えられます。
両ブランド共に認知している人の割合が大きい関東地方の中でも東京に絞って店舗の立地を比較してみると、
コメダ珈琲店は都心だけでなく23区内外にもちらほらと進出していて、星乃珈琲店は都心やオフィス街に集中していることが分かります。
この理由としては、コメダ珈琲店がコンセプトを厳密に守っていることが考えられます。
コメダ珈琲店のお店を想像すると三角屋根のログハウスのような外装が想像できますよね。都心に建てるとなると一戸建てだと立地代が高く一部ビルに併設する店舗もありますが、ビル内でコメダのログハウス調の雰囲気を再現するには限度があると考えられます。
しかし、郊外では土地も広いことからコメダ珈琲店のコンセプトを最大限に表現できるので、コメダ珈琲店が郊外に出店することは適していると考えられます。
また、後ほど詳しく説明するのですがコメダ珈琲店のこだわりでもある”誰もがくつろげる空間”を作り出すにあたって、コメダ珈琲店は気軽に来店していただけるように階段で上がる店づくりには極力しないように工夫していたり、郊外にあるお店の駐車場は広めにとってストレスフリーな状態で来店していただけるような工夫がされているそうです。
一方で、星乃珈琲店は都心を中心に展開をしています。
これは、星乃珈琲店が店舗展開を行うにあたって繁華街・商業施設のビルを中心に募集をかけているからだと考えられます。店舗数は少なくとも、人の往来が多い都心での展開は認知を高めると考えられます。
また、オフィス街には多くのコーヒーチェーンが犇(ひし)めき合っています。その中で星乃珈琲店は、スタバやタリーズほどの認知度はないものの、両社よりも高い満足度を獲得しています。
星乃珈琲店は、こだわりの豆を一杯ずつハンドドリップで提供しています。通常コーヒーチェーン店は、提供スピードを考えマシンによる抽出を行っている店舗が多いのですが、丁寧な美味しいコーヒーを提供することに力を注いでいるのが特徴です。
また店内は、シャンデリアとウッド調の家具でどこか懐かしくレトロで落ち着いた雰囲気で、年齢層が高めの会社員でも気軽に入りやすいと思われます。
このようにして両ブランド別々の戦略で店舗展開をしているが、やはり設立年数や店舗数の多さを考慮すると店舗展開も星乃珈琲店よりもコメダ珈琲店の方が広く、認知率も高いと考えられます。
ちなみに、星乃珈琲店と同じ系列会社であるドトールコーヒーとは、星乃珈琲店は深み渋み・落ち着いたが26.7%や上品・優雅が26%などから大人っぽく庶民的すぎないイメージを作り、ドトールコーヒーは利便・合理性が23.7%、コスパ・経済性が20.1%と利用しやすくお手頃な価格で提供していることから、差別化し顧客のニーズや気分を逃さないようなブランド展開になっていると言えます。
実際に利用する顧客層の違いは?
また、コメダ珈琲店が星乃珈琲店より認知率が高い要因として、コメダ珈琲店はファミリー層もターゲットにしていることも考えられます。
既婚者で子供有りの顧客に絞って認知率を見てみると、ファミリー層と言われる20歳〜49歳のコメダ珈琲店の認知率の平均は約93.9%で、対して星乃珈琲店は約66%とファミリー層における認知率の差は約27.9%もあることが分かりました。
コメダ珈琲店では、キッズ向けの商品を販売していたり、絵本やお絵かき帳を置く所もあるなどお子様連れのお客さんがゆったりとくつろげるような工夫もされているそうです。
また、コメダ珈琲店といえば有名な大きくて食べ応えのある商品も、家族で来店したお客さんがシェアしながら沢山食べれるようになっていると考えられます。
対して星乃珈琲店は、多少値段が上がったとしても質の高い提供や時間を過ごしたい人をターゲットにしていると考えられます。
このマップを見てみると、星乃珈琲店はコメダ珈琲店だけでなく同じ系列会社のドトールコーヒーなどのカフェ・コーヒーチェーンとは正反対に位置していることが分かります。
実際に都内にある星乃珈琲店ではコーヒーが1杯650円とかなり高く、1杯460円~のコメダ珈琲店や1杯300円のドトールコーヒーと比べると利用しやすいとは言えません。
しかし、650円で星乃珈琲店が力をいれているコーヒーや星乃珈琲店にしか出せない”the 昭和の喫茶店!!”のような雰囲気が堪能出来るとすると、上質な時間を過ごしたい顧客にはハマるお店だと考えられます。
両ブランド共に違った戦略で顧客を惹きつけているが、コメダ珈琲店はファミリー層を含む幅広い顧客から認知されているため、星乃珈琲店よりも認知率が高いことが分かります。
ブランドのイメージとこだわりから分かること
“くつろぎ”重視のコメダ
コメダ珈琲店のイメージで最も多かったのは、期待感・ワクワクが30.4%でした。これは、コメダ珈琲店は逆写真詐欺と言われるほど量が多いと有名なことから、消費者も期待感をもっていたりワクワク感を感じているのだと考えられます。
また、コメダ珈琲店のイメージにリラックス・リフレッシュが30.3%、家庭的・安堵感25.7%がランクインしています。”喫茶店に安堵感?”と違和感を感じる人もいるかもしれないが、これはコメダ珈琲店の経営理念が関係していると言えます。
コメダ珈琲店は誰もがくつろげる空間を作り出すことにこだわりをもっているため、利用する消費者も家庭的な安堵感を感じることができるのです。
また、以前コメダ珈琲店が鬼滅の刃とコラボした際の広告には「コメダでド派手にくつろげ!」というキャッチフレーズが書かれていました。
コメダ珈琲店は、なぜこんなにも”誰もがくつろげる空間”にこだわりをもっているのでしょうか。
カフェ・コーヒーチェーンの消費者イメージを調べてみると、最も多かったのが24.9%のリラックス・リフレッシュでした。
それを踏まえると、コメダ珈琲店の経営理念でもある”誰もがくつろげる空間”は、カフェ・コーヒーチェーンの消費者イメージとして最も多かったリラックス・リフレッシュと合致していることが分かります。
コメダ珈琲店は、カフェ・コーヒーチェーンのイメージであるリラックス・リフレッシュを経営理念としているのでカフェ・コーヒーチェーン利用者を含む顧客からの満足率が高いと言えます。
“品質”重視の星乃
対して星乃珈琲店のイメージを見てみると、深み渋み・落ち着いたが26.4%、上品・優雅が25.8%というように、星乃珈琲店は質が高いというようなイメージをもつ消費者がかなりいることが分かりました。
先ほど触れましたが、星乃珈琲店では、とにかくコーヒーにこだわりを強くもっており、質の高いコーヒー豆の厳選から直火焙煎、ハンドドリップでコーヒーを淹れています。
コーヒーへのこだわりという点では、コメダ珈琲店も季節やコーヒー粉の状態を見極め、苦味とコクを感じる重厚な味わいが特徴のコーヒーを看板商品としています。
両ブランドともコーヒーにこだわりを持っていることが分かりますが、元コメダ珈琲店アルバイトの身としては1杯ずつハンドトリップでコーヒーを淹れることの大変さが分かるため、星乃珈琲店のコーヒーに対する情熱が伝わってきました。
星乃珈琲店がそこまで品質にこだわる理由としては、レギュラーコーヒーを飲む消費者のニーズに沿っていることが考えられます。
レギュラーコーヒーを飲む消費者の価値観を調べてみると最も多かったのは、ノスタルジー消費が33.7%で、次にレビュー熟考消費が33.1%であることが分かります。
星乃珈琲店はレトロで落ち着いた雰囲気から昔の喫茶店を思い起こさせるような懐かしさを感じられるため、ノスタルジー消費をする消費価値観と合致していることが分かります。
また、2番目に多いレビュー熟考消費をする消費者からすると、品質の高いコーヒーを提供している星乃珈琲店はレギュラーコーヒーを飲む消費者のニーズに沿っていることが分かります。
現に両ブランドの次回購買率を比較してみても、コメダ珈琲店は88%で星乃珈琲店は86.1%と差は1.9%しかありません。
これは、星乃珈琲店の質の高い商品の提供により、消費者が”次も行きたい!”と考えているのではないかと思われます。
以上のことから星乃珈琲店は、レギュラーコーヒーを飲む消費者の価値観に沿った質の高いコーヒーの提供をすることでリピーターも多く、知る人ぞ知る喫茶店として満足率でコメダ珈琲店に引けをとらないことが分かります。
顧客の消費価値観の違いは?
コメダ珈琲店利用者の消費価値観を見てみると、お得感重視消費者が29.7%いることが分かります。
このことからお腹いっぱいに食べることのできるコメダ珈琲店は満足率が高いのだと考えられます。
最近は値上げのニュースばかり目にするので、コスパ良く沢山食べることのできるコメダ珈琲店はさらに需要が増すと思われます。
また、コメダ珈琲店ではコメダブランドが2023年7月で合計1000店舗目になるため、7月4日~9月20日の期間で「1000キューキャンペーン」を行っているそうです。
ドリンク1杯注文するとミニシロノワールが半額になったり、抽選でコメダの4人掛けセット(テーブル・ソファー込み)が当たるお得すぎるキャンペーンも開催しているので、気になった方はお早めにご応募することをおすすめします!
星乃珈琲店を利用者の消費価値観を見ると、ノスタルジー消費者が30%いることが分かります。昭和レトロの様な星乃珈琲店の雰囲気に引き寄せられる人も少なくないと考えられます。
また、ノスタルジー消費に続いてお気に入りの商品にしっかりと対価を払うプレミアム消費をする人が29.9%いることから、質の高いコーヒーを提供する星乃珈琲店はレギュラーコーヒーを好む顧客を中心に虜にさせていて満足率が高いことが分かります。
ちなみにこれは私の考察なのですが、信頼できる情報を元に購入するハラオチ型消費をする人や、品質や安全性を確かめてから購入したいと考える失敗回避型消費をする人が29.6%いることから、質の高い商品を提供していることやレトロな雰囲気が特徴である星乃珈琲店の良さをもっとSNSなどで発信をすることで購入するきっかけを作り、その情報やレビューを元に来店する顧客も増加すると考えられます。
実際に星乃珈琲店は、Facebookを利用していましたが2018年以降更新がない状態になっています。
一方で認知率が高いコメダ珈琲店では、Instagram(フォロワー数約28万人)やTwitter(フォロワー数約49万人)で新商品の宣伝やキャンペーンの告知などを行っているため、多くの人の目に止まりやすく認知率が高いように感じます。
したがって、星乃珈琲店はSNSで情報を発信することで星乃珈琲店の良さがもっと世間に知れ渡ることが可能になり認知率が上がっていくと考えています。
今すぐ自社・競合の顧客構造を見てみたい方へ
まとめ
ここまで複数の分析軸で調べてきたことをまとめます。
年数や店舗数、展開地域
コメダ珈琲店→1968年から始まり今では947店舗もあり、展開地域も広いことから認知率も高い
星乃珈琲店→2007年から始まり国外では20店舗、国内では278店舗もあり、都心部やオフィス街に店舗が集中している
顧客層
コメダ珈琲店
→家族向けの工夫をすることでファミリー層からの認知率も高い
星乃珈琲店
→他のコーヒーチェーンより上質な時間を過ごしたいと考える顧客が多い
こだわり
コメダ珈琲店
→誰もがくつろげる空間を作ることにこだわりをもつ。これはカフェ・コーヒーチェーンのトップイメージであるリラックス・リフレッシュと合致し、カフェ・コーヒーチェーン利用者を中心に満足率を獲得している
星乃珈琲店
→質の高い商品の提供にこだわりをもつ。これはレギュラーコーヒーを飲む消費者のうちレビュー熟考型消費をする人もいるため、レギュラーコーヒーを飲む顧客を中心に満足率でコメダ珈琲店に引けをとらない
いかがでしょうか?今回Knowns Bizのデータを利用することで、コメダ珈琲と星乃珈琲の利用者の居住地や顧客層などから認知率の差について分析することができました。
また、両ブランドが掲げているこだわりがどのようなターゲット層に向けられているのかということもデータから見つけられました。
もしコメダ珈琲店か星乃珈琲店のどちらに行くか迷った時には、皆さんのコーヒーに対するこだわりから選んでみると良いと思います!
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