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ジムのコンビニ?chocoZAP(チョコザップ)のフィットネスコンビニ化戦略

 こんにちは、ノウンズの桜井です。

 みなさんはジムに行きますか?
 ひと昔前は、ジムと聞くと体を鍛えることには「ガチ」な方々のみが行く場所のイメージで、私のようなちょっと運動したい、くらいの人には敷居が高かったのですが、最近はかなり幅広い方々に愛用されていますよね。
 私の周りでも、土日だけでもジムに通っている人がちらほらいます。

 でもどうしてもいまだに、ジムは
 ・会費が高い
 ・それに見合うため利用頻度を上げないといけない(飽き性には不向き)
 ・初心者には敷居が高い(器具の使い方や、ウェアの準備とか…)

 というイメージが残ります(あくまで個人的イメージです!)。

 その中で近年登場したのが、ライザップがつくったコンビニジム「chocoZAP(チョコザップ)」です。

 日経トレンディが選ぶ2023年ヒット予測でも1位になったコンビニジム、やはりCMなどメディアでも多く登場しています。

 今回はこの新業態「コンビニジム」「chocoZAP(チョコザップ)」について、調べてみたいと思います。

≪Knowns Bizについて簡単にご紹介≫


チョコザップとは?

 チョコザップのサービス内容は以下の通りです。

・スマホひとつで通えるコンビニジム
 入会、退会はもちろん、アプリを使うことで日々の健康管理までできる。
・コンセプトは 「来店して5秒で開始、5分で終える」 
・全店舗、24時間365日使い放題。
・月額2,980円(税抜)のサブスク制
・着替え不要、靴の履き替えも不要。
・全店舗無人でストレスフリー
・マシンを使ったことがない人も、アプリ内の動画で使い方を確認できる

 さらに、完全個室のセルフエステ、セルフ脱毛も使い放題とのこと。
 前述の個人的懸念もほとんど解決できそうで、グッと敷居が下がりました!

 また、現在会員数も順調に増加しているようです。

引用元:RIZAPグループ 中期経営計画(2023年3月期〜2026年3月期)

コンビニジムって?

 「コンビニジム」という名前に聞き慣れない方も多いかもしれませんが、この業態に近しいもの自体はこれまでも存在していました。
 明確な定義はありませんが、『24時間営業で時間帯に縛られず、駅近に多く好きな時に利用できるジム』がコンビニジムの特徴です。

 エニタイムフィットネスや、ジョイフィット24、カーブスなどがコンビニジムの草分け的存在ですが、RIZAPがチョコザップを展開するにあたりこの名称を用いたことで、一気に知名度があがりました。

フィットネス・ジム業界のランキング

 売上としてはチョコザップを運営するRIZAPグループは業界TOPです。一時期の特徴的なCM攻勢は記憶に新しいですよね。
 ただ、トップ1〜3位は僅差で、熾烈な業界であることが分かります。

引用元:業界動向サーチ より

チョコザップの満足度は高い!

 そんなチョコザップですが、満足率は非常に高いようです。Knowns Bizで、ジム界の認知率×満足率でマップを見てみます。

Knowns Biz調べ:満足率×認知率マップ フィットネスクラブ・ジムカテゴリ


 チョコザップは知名度こそ本家RIZAPには及びませんが、満足率は79%。
 RIZAP(68%)や、GOLD’S GYM(73%)など総合型ジムに勝っています。

メイン利用は「20-30代」と「男性」

 続いて、利用経験者の性別・年代を見てみます。

Knowns Biz調べ:デモグラフィック分析 chocozap(ちょこざっぷ)

・男性割合が高い
・20-30代がメインユーザー

 であることが分かります。

 ただ、本来のコンセプトを考えると、それ以外の年代や特に女性の利用率アップの余地も多分にあります。

 「スキマバイト」ことタイミーなど、スキマ時間の活用は様々なところで話題になっていますが、チョコザップもまさにスキマを活かす業態とコンセプト。この部分の需要の幅はまだまだ広げられる部分は大きそうです。

 以下はフィットネスクラブ・ジム全体での性年代のデータですが、全体だと40代も含め広く利用されており、70歳以上の方の割合も増えています。

Knowns Biz調べ:デモグラフィック分析 フィットネスクラブ・ジム

 プールが併設された施設なども幅広く含んでいるためかと思われますが、チョコザップはよりピンポイントな対象(時間を効率的に使いたい社会人など)に特にウケているようです。

 また、そもそもチョコザップのターゲット層は「普段筋トレをしている人」ではなく、「筋トレ初心者」です。
 すでにジムを利用している人から利用者を奪うのではなく、まだ利用していない潜在顧客を取り入れているのです。

「普段筋トレをしている層からパイを奪うのであれば、確かにレッドオーシャン。ただ、ターゲットは運動をほとんどしない初心者。全国に膨大な人数がいるわけで、間違いなくブルーオーシャンが広がっていると判断した」
   −RIZAPグループ取締役の鎌谷賢之氏

出典:日経クロストレンド chocoZAP、年内にも業界1位へ 前代未聞のリアルA/Bテスト大作戦

 実際、Knowns Bizで消費者の声を見てみると、

Knowns Biz調べ:消費者の声 chocozap

 といった声もありました。

今すぐ自社・競合の顧客構造を見てみたい方へ

利用者の心理からも見える需要度

 ユーザーが持っている「消費価値観」をKnowns Bizのサイコグラフィック分析で見てみましょう。

Knowns Biz調べ:サイコグラフィック chocozap(ちょこざっぷ)

 1位は「リターン期待型消費」
 これは、使った金額以上のリターンが得られるものに消費をする傾向がある人で、サブスクで一定金額で好きなだけ利用できるというチョコザップのメリットに合っています。

 また、「トレンド・限定重視消費」も上位にきており、これは流行りのものや限定のものを消費する傾向がある人ですが、流行っているのを見てまずは試している、という状態の人が一定数いる可能性があります。
(=チョコザップ側からすると、その一定数の人をいかに継続利用者にするかが重要)

 ちなみに本家RIZAPの消費価値観は以下になっています。

Knowns Biz調べ:サイコグラフィック RIZAP

 「リターン期待型」は6番目で、1位は「ハラオチ型消費」(信頼できる情報から納得できたら購入するタイプ)でした。
 「トレンド・限定重視消費」も14番目で、かなり違いのある結果になりました。

チョコザップのイメージはやはり「利便」「コスパ」

 チョコザップに持つイメージはどのようなものなのでしょうか?
 イメージ分析を見てみると、以下のようになりました。

Knowns Biz調べ:イメージ分析 chocozap(ちょこざっぷ)

 当然といえばそうかもしれませんが、「コスパ・経済性」は特徴差232%で突出しています。
(※特徴差:フィットネスクラブ・ジムに対するイメージ全体との差)

 その他の項目も新しいサービスにありがちなものが青数字=特徴差が上になっていますが、逆にそれ以外の項目についてはほとんどが平均を下回っていました。

Knowns Biz調べ:イメージ分析 chocozap

 たとえば、上記についてはこれまでのジムのイメージにありそうなものかと思いますが、いずれもわずかながら下回っています。
 参入間もないためまだ目新しさのイメージが強く、実用性のイメージ定着にはまだ繋がっていませんが、その一方で「個性的・他にない」にも多く入っている点から、他ジムとの差別化に繋がっているともいえます。

 そもそも、他ジムとは異なり「利便」「コスパ」を重視している形態であることから、これはコンビニジムとしてのメリットがしっかり表れている結果のではないでしょうか。

今後は認知度のさらなるアップが優先?

 チョコザップの7Journey分析を見てみます。

Knowns Biz調べ:7Journey chocozap(ちょこざっぷ)

 なお、上記図では「未認知70.6%」となっていますが、下図のように期間ごとの回答でみると、
 2022年:13.7% → 2023年1-3月:26.1% → 4-6月:45.4%と上昇し、今年7月以降だけに絞ると65.6%になっています。

Knowns Biz調べ:時系列分析 chocozap(ちょこざっぷ)

 ここまでCM(※)もいくつか展開し、その他プロモーションと相まって一気に認知が広がっているようです。

 ちなみにチョコザップのCMはRIZAPのCMにあったスタイリッシュなテイストと異なり、コミカル、とっつきやすいイメージにしています。
 これも初心者向けという点からのプロモーションなのでしょう。

 また、チャンス層(認知はしていて利用はしていないが、今後は利用したいと思っている層)が15.7%と一定数存在すること、離反者も少ないことから、認知アップ→利用促進によりロイヤル層(今後も継続利用意向のある層)の増加も見込めます。

 ただ、上記時系列分析では購買意向率が認知に比して上がっていないため、「チャンス層」や「きっかけ待ち」層への一層の魅力づけが必要になりそうです。

 RIZAP自体の認知率はさすがの84%。他と比較しても圧倒的です。
 チョコザップの認知率アップについても、RIZAPブランドの認知率を活かし、さらに拡大していくものと思われます。

Knowns Biz調べ:満足率×認知率マップ フィットネスクラブ・ジムカテゴリ

 また、チョコザップ利用者はSNS、特にLINEとX(旧Twitter)利用者が多く、どちらでも公式チャンネルから情報を積極発信し続けるプロモーションとも相性が良いです。

Knowns Biz調べ:SNS利用状況 chocozap(ちょこざっぷ)

 今後はRIZAPを利用するほどでもない人を取り込んで終わり、ではなく、チョコザップをドアノック商品として、もっと本格的なフィットネスをしたい、というユーザーをRIZAPのジムに取り込んでいくのではないでしょうか。

 実際、RIZAPグループの中期経営計画の資料でも、グループのシナジーを活かしていくとの説明がありました。

引用元:RIZAPグループ 中期経営計画(2023年3月期〜2026年3月期)
引用元:RIZAPグループ 中期経営計画(2023年3月期〜2026年3月期)

 今後どうなっていくのか目が離せませんね。

Knowns Bizを使った資料を見てみたい方へ

まとめ

 ここまでのチョコザップについてのデータ分析は以下の通りでした。

・データ上は20-30代の男性の利用が多かったが、
 サービスのコンセプト上、高齢層や女性の利用も多くなる余地あり。
・認知率は急上昇中、さらに伸びる余力あり。
 また、満足率は他大手ジムよりも断然高い。
・ブランドイメージも「利便」「コスパ」が高く、コンセプトと合致している。また、斬新なイメージもしっかり伝わっている。

 4P的にまとめると、

・Product(製品)
 スマホひとつで通えるコンビニジム。
 入会、退会はもちろん、アプリを使うことで日々の健康管理までできる。
 コンセプトは 「来店して5秒で開始、5分で終える」 
 全店舗、24時間365日使い放題。

・Price(価格)
 月額2980円(税抜)のサブスク制。
 他同業態よりも低価格。

・Place(場所)
 すべて直営店舗。
 2023年7月末時点で817店舗。
 一部店舗がない県もあるが、拡大継続中。

・Promotion(販促)
 認知度は急上昇中。
 さらに、ライザップが持つ知名度(Knowns Biz上では84%)を活かせる。
 SNSの公式チャンネルに加え、CMも展開中。

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 「ガッツリ筋トレをするほどではないけど、ちょっと最近お腹周りが・・・」
 「既存のジムはちょっと敷居が高いけど、デビューしてみたい」
 「スキマ時間を活用して何か運動してみたい」

 などなど、きっかけは様々かと思いますが、少しでも思い当たる方にはピッタリなサービスかもしれません。

 かくいう私も上記にあてはまるので、調べていて興味が湧いてきました!

 これを機にジムデビューされてみてはいかがでしょうか??

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