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「幸せ」へのスタート


仕事に行く途中の道で、紫陽花がお出迎えしてくれるようになった。

雨上がりのなんとも言えない匂いがする道を歩く僕を、彼女はほくそ笑むように見ている。


偏頭痛と戦いながら仕事していると、雨の中買い物に来たお客さんが、お目当ての物を買って、安堵した顔で帰っていく。


…僕の心の中にだけ、梅雨の中休みが訪れるのである。



幸せを考える瞬間は、いつの時でも訪れるものである。

去年幸せに結婚した友達は、いつしか冴えない顔をしていた。

去年の幸せな顔は、どこに消えたのか…


既婚の女性ともお話する機会があるが、どういう訳かパートナーの話をすると嫌気が差すらしい。


不思議だが、経緯を聞くと、あぁ…と妙に合点がいく。

尚更独身でよかったと、自嘲気味に思う自分がいる。



本当の幸せは、どこにあるのだろう?


結婚というbehaviorだけが、幸せなのだろうか?

総じて言えるのは、結婚は幸せになる手段じゃなくて、目的でしかないということである。

これはもう、アプリオリな事だと思っている。


人生の境目というのは、何かのスタートでもある。
それはいわば幸か不幸かの境目とも言えるだろう。

あくまで手段として捉え、何かのスタートと捉えられる人間こそが、人間的な幸福であることを感じることができると思う。



仕事が終わると、LINEが来ていた。

明日からまた新しい新人の子を担当することになった。


明日は明日の風が吹く。

明日というスタート地点に、僕は立っていた。


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