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オーケストラの支援金獲得について考えてみた。

私は稀代の営業マンである。(嘘

というのは冗談であるが、はっきり言って営業は得意だ。キャリア的に金融・財務の経験が長いので、ファイナンスの専門家と思われることが多いし、もちろんそれはそれで今でも大事な看板なのだが、実は営業のスキル(というかマインドセット)が自分の一番の強みであると思っている。

営業スキルのうち、最も重要なのが、クライアントに刺さるセールストークを作るスキルである。これがないと、単なるどぶ板営業になってしまう。

一つの商品・サービスを、まったく違った切り口で説明することで、クライアントの心の抵抗を小さくすることができる。「ウチには予算がない」「他はもっと安い」などといった断りトークを防ぐことができるようになる。

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オーケストラの支援金獲得の営業

最近気になっているのが、オーケストラの支援金獲得の営業である。(そもそも営業しているのかどうかも不明であるが)

おそらく、①業務上何らかのつながりのある会社、②クラシック音楽に理解のある経営者のいる会社、③CSR的に文化・芸術に意を払っている会社、がターゲットであると思われる。

そして、クラシック音楽の素晴らしさを伝え、支援を募っているのだと思う。しかし、私の考えるセールストークはそうではない

奏でる音楽が素晴らしい点ではなく、オーケストラのチームワークを見せることで、組織マネジメントに何らかの示唆を与えることができる点をアピールすべきであると思う。

企業は組織マネジメントに課題を抱いている。これに課題を抱いていない会社はないと言ってよい。そして、これを解決するために、研修やコンサルに多額なコストを払っている。研修講師業や経営コンサルティングで報酬をもらっている私がいうのもなんだが、これは事実である。

その研修費・コンサルフィーの一部を支援金に回してほしい、というセールストークができるのではないか、考えてみたい。

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組織の悩み事はオーケストラを聴くと解決する?

企業のマネジメント上の悩み事は、属するメンバーのスキルやキャリアや性別や家庭環境が違い、モチベーションに凸凹があることである。また社内の部署がタコツボ化して、部署間の連携がないことである。連携がないどころか、へたするといがみ合っている

そして組織はバラバラに崩壊し、まったく実績も上がらず、社員が辞めて廃墟になっていく。

オーケストラも、置かれている事情は同じだ。

・ひたすら弾き続けるヴァイオリンと、短時間しか登場しないシンバルが存在する。

・目立つソロを弾く管楽器もあれば、耳を澄まさないと聞こえないコントラバスも存在する。

・たった一人で大きな役割を担うティンパニもいれば、グループで奏でるヴァイオリンが存在する。

こんなことウチの会社でもある、と思った人は多いだろう。こんなに置かれた状況が違う人が混在していて、いがみ合わないわけがない。

オーケストラもきっと葛藤があるはずだ。報酬に満足している人も少ないだろう。仲の悪い人もいるだろう。いがみ合っているオケもあるだろう。指揮者とうまくいかないこともあるだろう(小澤征爾のN響事件は有名だ)。

しかし、そんな葛藤を乗り越えて、素晴らしい音楽を観客に届けるため、気持ちを一つにして一所懸命に奏でている。それがオーケストラだ。

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「ウチの会社はなぜこうならないのだろう。」

これはオーケストラを聴いた後に多くの人が覚える感想である。私もいつもこう思う。独立した今は、「クライアント企業が、オーケストラのように心を一つにして商品・サービスをそのユーザーに届けたら、もっと良くなるのに」と思う。

組織は、そのメンバー全員が、ほんの少しだけfor the teamのほうに軸足を移せば、ぐっと良くなる。ほんの少しだけでよい。でも全員が変えることが難しい。

オーケストラを聴くと、for the teamについて考える契機になる。目の前で一心不乱に楽器を弾いているオーケストラを見ると、自然にfor the teamについて考えるようになる。

オーケストラに支援すると、特典としてコンサートのチケットがもらえる。それを新任マネージャーとかに渡せばよい。事前に、「オーケストラ鑑賞が、あなたのマネジメントに何らかの示唆を与えることを期待している」という趣旨を伝えればよい。

気づいたこと・感じたことの感想を書いてもらっても良い。より組織マネジメントに対する理解が深まるだろう。今風の会社なら、SNSで発信してもらうのも良いだろう。オーケストラにとっても、知名度アップにつながりありがたい話だ。

年に1回の社員総会とかに、オーケストラのメンバーを派遣して、多くの軋轢・葛藤を乗り越えて素晴らしい音楽を観客に届けるに至る組織マネジメントについてスピーチをしてもらうのも良いだろう。一曲披露するパフォーマンスもつければ拍手喝采だろう。

経営陣と指揮者・コンマスとのディナーなども面白い企画である。世の中にはタニマチ的な金持ちも結構多いので、ディナーで好印象を与えれば、翌年度からはさらに増額してくれるかもしれない。

こういった組織マネジメント上の課題解決に資する費用として、支援金を依頼すればよいと考える。巨額な研修費・コンサルフィーの一部を回してほしいという説得をすると、財布のひもも緩みそうだ。

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アイディアを思いつくままに書いてきたが、おそらくこれまであまり考えたことのないアプローチだと思う。機会があれば一度こんな議論もしてみたい。

『人の生涯は、ときに小説に似ている。主題がある。』(竜馬がゆく) 私の人生の主題は、自分の能力を世に問い、評価してもらって社会に貢献することです。 本noteは自分の考えをより多くの人に知ってもらうために書いています。 少しでも皆様のご参考になれば幸いです。