清見 苳子

詩をかきます。詩を朗読します。多摩川のまわりを歩いています。

清見 苳子

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記事一覧

詩#11 ハス

あわくにおうはなびらの白に すっ と赤いすじがのび それはふたつにわかれ 細くさらに細くへと入り組み たちまち はなびらのふくらみを覆う 血管のように 白い肌を侵食…

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詩#10 霧

静けさが 流れてくる 川のカーブに沿って そうして 橋のケーブルをぬらし 蟻の触角をぬらし 柘榴をぬらし 水の表面をぬらす まだ 夢の中だから わたしは紅い布をまとっ…

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詩#9 よろこび

たしかなものは 光と音 明日噴火する火山 やまない雨 終日寝ころびながら 古の書物と格闘し たどりついた私の考えなど 何になろう だが 生きていれば 腹もへるし 子ども…

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詩#8 魔法

火と 水と するどく光る刃物をあやつり わたしは二人の息子を育ててきた 今 わたしの両側に立ち 兄は煮えたぎる鍋に肉を放り 弟は胡瓜をうすくスライスする こまかな雨…

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6/15 ユリのつぼみ

ユリにつぼみがつくと、花が咲くときが待ち遠しくなります。 花が咲く、その瞬間を見てみたいと思っていますが、かなってはいません。 あのあでやかな花びらと匂いが、こ…

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詩#7 伝える

森に包まれ 鳥の声に耳をすます   ティルルルル   ツゥイツゥイ   ピジューピジュー いくつかある鳴き声を組みあわせ 鳥は鳥の会話をしていることがわかる うつく…

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6/14 きのこの出番

じめじめとした天気が続くと、きのこが生えてきます。 通勤途中の大きな切り株に、たくさんのきのこが生えていました。 普段より、種類が多いようです。 食べられそうに…

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6/13 一日中雨

朝起きて窓の外を見たら、雨が強く降っていました。 夜寝る前にベランダに出たら、やっぱり雨がぱらぱらと降っていました。 向こう岸がぼんやりとくもっています。 今日…

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6/12 なにかさっぱりしたもの

蒸し暑いと、なにかさっぱりしたものが食べたくなります。 昼ごはんに、冷たいうーめんを食べました。 温麺と書いてうーめんと呼びます。 素麺と似ていますが、原料に油…

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6/11 梅ジュース

窓をあけると、むっとした湿気の多い空気。  梅雨らしい灰色の雲が空をうめつくしています。 少しでもさっぱりしたくて梅ジュースを飲みました。 甘くて酸っぱくて身体…

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6/10 強い風

次々と雲が湧いて、風に流れてゆきます。 午後の風が、欅の枝を大きくゆらしていました。 ブラインドが波打っています。 自転車に乗っていて、帽子をとばされました。

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6/9 梅が色づく

熟して色づいた梅の実が落ちていました。 あたり一面いい匂いがします。 もうすぐ梅雨に入ると予報がでていました。 梅の木の影が、もうずいぶんと濃くなってきています。

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人をほめる

たとえちょっとしたことでも、ほめられて悪い気持ちにはならない。 たとえば、髪形を変えたとき、そのことに真っ先に気づいて 「雰囲気かわりましたね。とっても似合って…

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6/8 麦茶

暑い日が続くと、麦茶の出番です。 カフェインが入っていないので、夜も安心して飲むことができます。 煮だすタイプのものもありますが、わたしはお手軽に、麦茶ポットに…

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詩#6 旋律

終わりのない旋律のように 鳥は高く空につばさをひろげ かやの穂はあらゆる風の方角へとゆれる 表面の光はこまかな散乱と集合 土手の上から同じ流れをながめていても 私の…

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6/7 髪を切る

この暑さにたえきれず、とうとう髪を短く切りました。 襟足をさっぱりと短くしたので、首すじに風が吹くと、とても気持ちがいいのです。 毎年この時期には、中途半端な髪…

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詩#11  ハス

詩#11 ハス

あわくにおうはなびらの白に
すっ と赤いすじがのび
それはふたつにわかれ
細くさらに細くへと入り組み
たちまち はなびらのふくらみを覆う

血管のように
白い肌を侵食し
透けて 滲んで
痛みさえ感じるのだ

そうして 
用心深く
誘うように
花の中心を隠す

ああ 雨があがる
空には垂直の雲
燕がひくく旋回する

詩#10 霧

詩#10 霧

静けさが 流れてくる
川のカーブに沿って

そうして
橋のケーブルをぬらし
蟻の触角をぬらし
柘榴をぬらし
水の表面をぬらす

まだ 夢の中だから
わたしは紅い布をまとって
あの人に会いにゆける

詩#9 よろこび

詩#9 よろこび

たしかなものは
光と音
明日噴火する火山
やまない雨

終日寝ころびながら
古の書物と格闘し
たどりついた私の考えなど
何になろう

だが 生きていれば
腹もへるし
子どもたちはアイスが食べたいと言う

よしよし
土砂降りの中
わたしは濁流を超え
夕飯の買い出しに出かける

うれしいのだ
今日得た新しい知識と
その線上につながっている自分の存在とが

詩#8 魔法

詩#8 魔法

火と 水と
するどく光る刃物をあやつり
わたしは二人の息子を育ててきた
今 わたしの両側に立ち
兄は煮えたぎる鍋に肉を放り
弟は胡瓜をうすくスライスする

こまかな雨のしずかな夜
台所にはひとつあかりが点いて
とうにわたしの背を超えた二人の会話は
知らない単語や情報でいっぱいだ
アボカドの種をまるくくりぬきながら
わたしは黙ってそれを聞いている

たぶん
わたしが育ててきた というのは間違いで

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6/15 ユリのつぼみ

6/15 ユリのつぼみ

ユリにつぼみがつくと、花が咲くときが待ち遠しくなります。

花が咲く、その瞬間を見てみたいと思っていますが、かなってはいません。

あのあでやかな花びらと匂いが、このつぼみのどこにおさまっているのか不思議です。

詩#7 伝える

詩#7 伝える

森に包まれ
鳥の声に耳をすます

  ティルルルル
  ツゥイツゥイ
  ピジューピジュー

いくつかある鳴き声を組みあわせ
鳥は鳥の会話をしていることがわかる

うつくしい歌のように
しかし もっと切実で
鋭い 生きるための呼び交わし

木々に背すじをただし
わたしはわたしのことばを考える

おだやかに波うつ身体が
内側へとひらかれる

語りかけられた記憶
文字のむこうの見えない相手
耳の奥に蓄

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6/14 きのこの出番

6/14 きのこの出番

じめじめとした天気が続くと、きのこが生えてきます。

通勤途中の大きな切り株に、たくさんのきのこが生えていました。
普段より、種類が多いようです。

食べられそうにはみえませんが、きのこを見つけるとなんだかうれしくなります。

いつまでも見ていたくなる、不思議な存在です。

6/13 一日中雨

6/13 一日中雨

朝起きて窓の外を見たら、雨が強く降っていました。

夜寝る前にベランダに出たら、やっぱり雨がぱらぱらと降っていました。
向こう岸がぼんやりとくもっています。

今日は一日中雨でした。
一日中部屋でのんびりと音楽を聴いたり、家事をしたりしていました。

6/12 なにかさっぱりしたもの

6/12 なにかさっぱりしたもの

蒸し暑いと、なにかさっぱりしたものが食べたくなります。

昼ごはんに、冷たいうーめんを食べました。

温麺と書いてうーめんと呼びます。

素麺と似ていますが、原料に油を使っていないので、食欲がないときでもさっぱりといただけます。

6/11  梅ジュース

6/11 梅ジュース

窓をあけると、むっとした湿気の多い空気。 

梅雨らしい灰色の雲が空をうめつくしています。

少しでもさっぱりしたくて梅ジュースを飲みました。

甘くて酸っぱくて身体が生き返るようです。

6/10  強い風

6/10 強い風

次々と雲が湧いて、風に流れてゆきます。

午後の風が、欅の枝を大きくゆらしていました。

ブラインドが波打っています。

自転車に乗っていて、帽子をとばされました。

6/9 梅が色づく

6/9 梅が色づく

熟して色づいた梅の実が落ちていました。
あたり一面いい匂いがします。
もうすぐ梅雨に入ると予報がでていました。
梅の木の影が、もうずいぶんと濃くなってきています。

人をほめる

人をほめる

たとえちょっとしたことでも、ほめられて悪い気持ちにはならない。

たとえば、髪形を変えたとき、そのことに真っ先に気づいて
「雰囲気かわりましたね。とっても似合ってますよ」
と言われると
「ありがとう」
とにっこりと笑顔になってしまう。

仕事の成果や作品の出来に
「いいね」
「すごいね」
と言われると
「いえいえ、まだまだです」
なんて謙遜してしまうことも多いが、本当は素直に
「ありがとう、ほめて

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6/8 麦茶

6/8 麦茶

暑い日が続くと、麦茶の出番です。

カフェインが入っていないので、夜も安心して飲むことができます。

煮だすタイプのものもありますが、わたしはお手軽に、麦茶ポットにパックをぽんと入れて、冷蔵庫で冷やして作っています。

麦茶の香ばしい味は、まだ子供だった頃の夏休みの記憶とつながって、懐かしい気持ちにさせてくれます。

詩#6 旋律

詩#6 旋律

終わりのない旋律のように
鳥は高く空につばさをひろげ
かやの穂はあらゆる風の方角へとゆれる

表面の光はこまかな散乱と集合
土手の上から同じ流れをながめていても
私の見る世界とあなたの見る世界とは
へだたり そして重なり
また離れながらゆらぎあって

私は
あなたの横顔の輪郭をしっかりと目に記憶する
ともに在ることのよろこびには
いつも別れの影がうっすらとつきまとってきた

途切れた旋律のあとにひ

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6/7 髪を切る

6/7 髪を切る

この暑さにたえきれず、とうとう髪を短く切りました。

襟足をさっぱりと短くしたので、首すじに風が吹くと、とても気持ちがいいのです。

毎年この時期には、中途半端な髪の長さがうっとうしくなって、発作的に髪を短くしてしまいます。

でも職場の人に、新しい髪形をほめられて、とてもうれしかったです。